第328話 危険海域 - 迫りくる恐怖、絶望と絶望と絶望 -
三日掛かるかと思われた、船旅。
イクラパーティをしていれば、船体が激しく揺れまくっていた。いったい、何事かと外を見ると――
「おいおい……もう太陽島『サンデシマ』に到着っていうか、座礁か?」
俺が焦っていると、メサイアも大慌てだった。
「ナニコレ……!」
「さあ分からん。危険なのは確かだ」
また、黄金龍・シャイネンドラゴンが襲って来たワケでもなかった。空に変化はないし、となると、海だ。
下に何か、いる?
注視していると、バカデカイ影が動いた。
「……うそだろ」
昔こんな映画を見た。
めちゃくちゃ大きな鮫が暴れ回るヤツ。
まああれは、ハゲのおっさんが何とかしちゃうんだが――まて、この鮫モンスター、あれよりデケェぞ。メガロドン級、それ以上だ。
尚、船体がグラグラ揺れる。
異常を察知した、フォルとリースも駆けつけてきた。
「兄様、これは!」
「こ、怖いです……」
「メガロドンだ。海中に全長40メートル以上のバケモンがいる」
千里眼で捉えたから間違いない。
ここは慎重に行くべきだ。
「みんな、動くなよ……絶対に動くなよ……!」
「サトル……」
「兄様~…」
「サトルさん」
みんな俺に寄ってくる。
みんな良い匂いがするな~…ってそんな場合ではないっ。あのクソデカ鮫野郎を何とかせねば、死ぬだろう。
今も海底で泳ぎ続け、様子を伺っているらしい鮫モンスター。どうやら、名前は『ハイパーメガロドン』というらしい。
なるほど、まさにハイパーだ。
物音を立てないよう静かにしていれば、またグラッと船体が揺れた。……それから、静かになって。
「……お? 諦めたか?」
しーんと静かになった。
なんだ、案外あっさりだった。
「ふぅ」
「サトル、あんな超デカイモンスター初めて見たわよ。あんなの、海に生息しているのね……」
「あ、兄様……アレはなんです!?」
「…………」
メサイアもフォルも顔を青くして震えた。リースは恐怖に支配されているようで、今にもぶっ倒れそうだ。俺が支えた。
「ハイパーメガロドン、レイドボスに匹敵するみたいだな」
「マジ? そんなの倒せないわよ。しかも、相手は水中の生物。勝てっこないじゃない。もう、さっさと太陽島『サンデシマ』へ上陸しましょう。あと少しだから」
メサイアの指さす方向には、島があった。
なんだ、あとちょっとだったんだな。
予定より早く到着したらしい。
だが、その前に鮫モンスターだ。
アレを何とかしないと――
『バシャアアァァアァァァァァァァァ……』
「え……」
いきなりあの『ハイパーメガロドン』が水中から飛び出して、船へ突進してきた。
「で、でけえええ!!! なんてデカさだ……」
つーか、まずい。
このままだと船が沈められるどころか、そのまま飲み込まれるわ!! なんとかして、ヤツを撃破せねば……何か方法はないか。
オートスキルか、スターダストか。
それだ!!!
「うおぉぉおおおおおおおおおおおお!!」
みんなを庇いつつ、俺は両方を――――
「――――へ」
あのハイパーメガロドンが船体を飲み込もうとした――その時。
『ブッシャアアアアアアァァァドドドドドドドドドドド…………』
などと、けたたましい音が上がって――なんとあの更にバカデカイ鮫が『ハイパーメガロドン』に喰らいついてしまった。
「うああああああああああああああああああ!?」
でけぇ……あの40メートルを超えるハイパーメガロドンを……更に超える鮫だと!?
ありえねえええええええッ!!!
ハイパーメガロドンは捕食されて、あの更にでけぇ鮫は海底へ。
「「「「…………」」」」
俺もみんなも沈黙。
…………なにが起きた?
千里眼で分析。
「なるほど……」
「なるほどじゃないわよ! サトル、今のなに!?」
「アルティメットメガロドンというらしい」
「あ、あるてぃめっと!?」
「やべぇよ……40メートルを超えて100メートルはあったぞ……」
デカすぎて怪獣かと思ったわ。
てか、あのデカさのモンスターは、さすがにやりすぎだろう。特撮怪獣映画じゃあるまいし、やりすぎだろう……。
などと突っ込んでいる場合ではない。
あの100メートル級アルティメットメガロドンは、船底をウロウロしているようだ。今度こそおしまいだァ……!!
「サトル! もういいでしょ、スターダストで願いなさいよ。あんなのに襲われたら、ひとたまりもないわよぉぉぉぉお……」
メサイアがめっちゃ取り乱していた。これはこれで、面白……いや、これでも、俺もかなりビビっているから、そんな余裕はねえ!!
わんわん泣き叫んで縋り付いてくる女神。そうだな、メサイアの言う通り、スターダストでヤツを排除するしか――。
ドボォォォォォ、と、あの100メートル級アルティメットメガロドン、船底からそのまま飛び出して来ようとしていた。
「やべええええええええええええええ!!」
まさか船ごと飲み込む気か……!!!
させるかあああああああああああああ!!
が、
が――――しかし。
『ドゴォォォオッォオオォォォオオオオオオボボボボボ……!!!!!!!』
その寸前で、100メートル級アルティメットメガロドンが喰われてしまった。更に更にバカでかい鮫が出現したらしい。
「え…………ええええええッ!!!」
「どうしたの、サトル!!」
「今度は……1000メートル級レジェンドメガロドンだ……」
「………………は?」
「こんなの倒せるわけねええええだろおおおおお、スターダスト!!!(血涙)」
喰われる前に、俺は【スターダスト】で願った。
メガロドンはもうイヤアアアアアアア~~~~~~~!!!
――――そうして、
やっと、太陽島『サンデシマ』へ到着したんだ……。
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