第323話 黄金龍・シャイネンドラゴン
突如として現れた黄金龍・シャイネンドラゴン。全身が金で眩しい。翼も当然ながら黄金で、その金の翼で飛び込んでくる。
それから、口を大きく開けて――
「――させるかよぉぉッ!!」
メサイアに作ってもらった船を、いきなり破壊させてなるものか。この女神、聖女、エルフのビキニ美女に囲まれた最高の船旅、ここで終わらせるワケにはいかねぇんだよぉぉぉぉ……!!
「そっちが黄金のドラゴンなら、こっちは黄金の槍……きやがれえええええええ、ロンゴミニアド!!!」
飛び跳ね、俺は黄金の槍を生成した。
右手に召喚される最強の聖槍。
その輝きを掴み取り、ブン投げた。
『――――――真・覚醒聖槍・ロンゴミニアド!!!!!!!!!!』
絶対に守るという想いを乗せ、投擲すれば聖槍は一直線に向かって行く。見事な黄金線を描き、ドラゴンへ。
……が。
ドラゴンは一気に急降下。
俺の黄金の槍を辛うじて回避しやがった。
「なん……だとォ!!」
ウソだろ、あのドラゴンの機動力……パネェ。なんて動き。ただのドラゴンじゃねぇぞ。黄金龍は羽ばたいて距離を取る。
俺はその間に船の甲板へ。
「……く」
「サトル! 言ったでしょう、知能が高いって」
「ああ……そうみたいだな」
メサイアの助言通りだった。
あのドラゴンは相当頭が良いらしい。こっちの動きを読んでやがる。
「兄様、ご支援をお掛けます」
フォルから『グロリアスブレッシング』と『グロリアスアジリティ』が掛けられる。もとい、皆に掛かる。これはパーティやギルド単位に支援が掛かるのだ。
おかげでステータス補正も移動速度もアップ。
敵の動きを追っていると、リースが前へ出た。
「あたしが大魔法で」
「おーけー。一度、リースに任せるぜ」
「はいっ、がんばります」
杖を取り出し、構えるリース。
赤、青、緑、黄、四つの魔法陣が宙に展開された。かなり大きいぞ。これは、以前に比べると魔力が上がっているな。
しかも、僅かに詠唱もあった。
無詠唱ではない!?
『四属の啓典、寵愛にして慈愛の瞻仰、ホーリーグレイル――――――!!!!!!!!』
四の陣から放たれる大魔法。
破壊的というよりは、まるで聖女の敬虔な祈りに近い。これは、愛そのものだ。
四色は空を駆けていく。
飛べば飛ぶほどにその威力を増大させていき、シャイネンドラゴンに命中する。
『グォォァァァァァァ……!!!』
ついにドラゴンは墜落。
海へ落ちていく。
「やったな、リース! さすが愛の魔法!」
「えへへ……」
照れて笑うリースは可愛かった。
頬をあんな赤く染めて、天使だな。
そして、大儀であった!
「これで……」
ドラゴンの身体が海へ激突しようとした、その時。ヤツは意識を取り戻して、ギリギリで羽ばたいた。なんてド根性……! あのドラゴン、なんて耐性持ちだよ。
「だめか……」
リースの大魔法を以てしても、あのドラゴンを倒せないのか。まだ体力も残っているのだろう。完全に撃破せねば止められないという事か。
いいぜ、なら息の根を止めてやる。
「メサイア、フル支援だ。フォル、お前は二人を守れ。守護スキル・グロリアスサンクチュアリの展開を頼む」
「分かりました。わたくしのグロリアスサンクチュアリならば、どのような物理攻撃も魔法も無効化されますから、安心下さい」
そう、フォルの最強守護スキルだ。
メサイアとリースを頼んだぜ。
「サトル……」
「心配すんな、メサイア。俺は必ずお前の元へ帰って来る。誓うぜ――もう二度と、離れ離れになんてならない!!」
そんな決めている時に、敵のブレス攻撃。
黄金の息吹・シャイニングブレスが飛んできた。
「この金ピカ、邪魔すんじゃねえええええ!!!」
オートスキルの発動を感じた。
いける、これは出やがる。しかも、ひとつじゃねえ。複数だ。とんでもねぇ数が飛び出る予感。
『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』
絶対氷結の魔法が弾けて、飛び出て敵のブレスを凍らせた。まさか、こんな花火のように出るとはな。カチコチに固まった黄金の塊は、海へ落ちていく。うあぁ、あれ売ったら高いだろうなあ……などと、欲に塗れている場合ではない。
いまだ……!!
『世界終焉剣・エクスカイザー!!!!!!!!!!』
剣を振り、赤黒の波動砲を撃つ。
一瞬で到達する終焉エネルギー。大出力のそれは、今度こそドラゴンに命中。これは確実に命中した。間違いない。手応えがあった。
『グオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアア……!!!』
シャイネンドラゴンの雄たけび。
激しい断末魔。これは決まったな。
「っしゃあああああああぁぁ……!!!」
完・全・勝・利
「ふぅ」
甲板に戻ると、メサイアとリース、フォルが走って来るなり、抱きついてきた。わーわーと喜びを分かち合った。
「サトル、お疲れ様♪」
「さすがサトルさんですぅ!」
「兄様、カッコよすぎです~♡」
「……フフフ、フハハハハ、フゥハハハハハハハハッ!!!」
俺はもう笑いが止まらなかった。
最高の船旅だねっ。
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