第313話 能力奪取スキル - 全てを奪うグルーミーⅡ -
二本の暗黒剣を構える裏切りの騎士・ユーウェイン。
俺はそれに対し、真・覚醒聖槍を構えた。
「みんな、俺の後ろにいろ。あの老騎士も動くかもしれんからな……。俺はユーウェインを倒す。それから、ヤツに天帝の情報を吐き出して貰うぜ」
メサイアは少し緊張の面持ちながらも、
「分かったわ。こっちは任せて」
と、リースを守るようにした。
フォルもまた同じように。
「ユーウェイン、こっちは黄金の槍だ。言っておくが、属性的には『聖』だからな。闇とは相性がお互いに悪いぞ」
「クク……そうだろうなァ。だが、それはお互い様だ。闇は光を飲み込む。光もまた然り。――だが、私の力を見縊らない方が身のためだぞ。我がダークスキルは、天帝より賜りし究極の闇に迫るもの」
「なん……だと……」
天帝から与えられたのか。
今までの大幹部もかなりの力を持っていたが……。
油断していると、ユーウェインが突進してきた。
「きええええええええええ!!!」
「……くっ!! このワカメ野郎がああああッ!!」
交わる暗黒剣と黄金の槍。
激しい火花を散らしていく。なんて威力。敵の剣が重い……しかも二刀流。こっちは一本槍だからな、それで対応せねばならんのだが――だが!
『――――――ニトロ付与開始!!』
俺は、槍の穂先に『ニトロ』を付与。
これで敵に命中する度に爆発を起こすようになる。
「ぐおっ!! 槍が爆発しただぞ……ふざけるなあああああッ!!」
ギンっと槍が響く。
野郎……力の限り振りかぶって来やがって!!
「サトル、こっちも補助するわ! レイジブースト!!」
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
【Skill:レイジブースト】Lv.10(最大)
【Effect】
対象:自身/対象1名限定
心の奥底から憤怒を爆発させ、
物理・魔法ダメージを1度のみ10倍にする。
移動速度も大幅に増加する。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
「助かった! 更に、聖者スキル・トランセンデンスと死神スキル・オーバードライブを発動だああああ!!」
これでステータスは一気に『200倍』アップした。
「……クククク、それを待っていたああああああああ!!」
「なに!?」
「グルーミーⅡ発動!!!」
「なっ……!」
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
【Skill:グルーミーⅡ】Lv.5(最大)
【Effect】
対象:対象1名限定
対象の能力値を全て奪うダークスキル。
代償としてグルーミーⅠの使用不可。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
手を向けてくるユーウェインは、そのスキルを発動し、俺の力を奪った……。ステータスのスティールスキルだと……!
「クハハハハハハハ……!! グルーミーⅠは、暗黒剣の生成スキルだが、既に発動済み。大した代償ではない。これで私の能力値は200倍……それと、レイジブーストの恩恵を永続的に受けた。つまり、私の物理魔法ダメージは、永遠に10倍だ」
「馬鹿な、一度切りのはず……」
「試してみるか……小僧ォォォォ!!!!!!!」
物凄いスピードで接近してくるユーウェインは、暗黒剣を俺に向けて来た。……やべぇ、何も見えねえ!!
「ぐおおおおおおおおおおおおおおああああああああ!?」
一気に吹っ飛ばされ、神殿の奥へ突っ込む俺。
まず……久々に大ダメージを受けた。
「兄様!!」
叫ぶフォルは、急いで治癒スキルを発動した。
『グロリアスヒール!!!』
久しぶりにヒールを受けた。
あっぶねぇ~、フォルの回復がなければ死んでいたな。
なんとか上半身を起こし、周囲を見渡す。
「くそ……ユーウェインめ! って、どこだ!?」
「ここだああああああああ!!」
既に上に飛び跳ねているクソワカメ野郎。
よくも俺の能力値を奪いやがったな。
「この…………え」
ドシャっと俺は身体が落ちた。
「…………あれ、俺……足がねぇ」
「フハハハハハハハハ!! さっき貴様の両足を吹き飛ばした……終わりだな、サトル!! 今度はその両腕を斬り落としてくれるわッ!!!」
あー…こりゃ参ったな。
能力差があるだけで、これほど違うのか。
だが、俺は【オートスキル】使いだ。
発動しろ……発動しやがれ!!!
「ぎゃあああああああああああああああああ!!!」
俺は両腕を斬り落とされた。
…………しまった、運悪く発動しなかった。
両腕、両足を失った。
「……サトル! そんな……うそ……」
メサイアの声が聞こえたような。
あー…泣かせちまったな。
「……呆気ない幕切れだったな、サトル……。これが天帝様のお力なのだよ」
「…………」
「よし、今なら助けてやろう。ただし、天帝様に絶対の忠誠を誓うのならな。それならば、お前の命だけは助けてやろう。あの美女たちは全員犯して全員殺すがな……クハハ」
ふざけんな、ボケ。
俺はまだ諦めちゃいねぇよ。
確かに両手両足を欠損した重症だ。
ここからの逆転は厳しいかもしれん。
けどな……。
忘れてないか?
俺にはチートアイテム【スターダスト】があるんだぜ。
「ユーウェイン、お前の負けだ」
「そうか……残念だ。……トドメだ、死ねええええええええええ!!」
「サトル!!」「兄様!!」「サトルさん!!」
剣が俺の心臓を貫こうとする。
だが、
『――――――オーディール!!!!!!!!』
「ばかなあああああああああああああああああああああああああ、なぜ動け……ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
スターダストの願望で、俺の手足は復活。
そのまま吹っ飛ぶユーウェインの頭を掴んだ。
「!?」
「てめぇ、俺の女神を泣かせてんじゃねぇよ!!!」
そのまま地面に押し込んだ。
「ごぶぅぅうぅぅぅぅぅぇっ!?!?」
地面に大きなクレーターが出来る。
次第に神殿は崩れていく。
「リース、テレポートしろ!!」
「了解ですっ!!」
メサイア、フォルは、リースのテレポートで退避した。
あとはユーウェインを――!!
「させませぬぞ……!!」
「老騎士か! てめぇも潰す……」
「…………サトル、貴様はこの顔も忘れているようだな」
「なん…………だと」
『世界終焉剣・エクスカイザアアアアアアアアアアアア!!!』
……こいつは、コンスタンティンか!?
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