第312話 パラディンキング - 現す正体!! 裏切りの騎士 -
オロル神殿に到着早々、囲まれた。
パラディン軍団のご登場。こちらの動きは読まれていたようだな。
「サトル、やられたわね。罠だったのかしら」
背と背を合わせてくるメサイアは、ぽつりとつぶやく。そうかもな、どこから監視していたか知らんが、俺たちの行動も筒抜けだったのかもな。
だが、そんなのは関係ない。
「兄様、筋肉モリモリのパラディンが50人はいますよ」
「なんだ、フォル。俺の筋肉より、パラディンの方が気になるのか?」
「ち、違いますって。そんな嫉妬なさらないで下さい。わたくしは、兄様の筋肉しか愛せない身体になってしまっているんですから」
ふんすっとヘンタイ聖女は興奮した。
「あの、サトルさん……ここは大魔法で」
「おう、リース。そうだな、ここはリースに活躍してもらおう。俺の【オートスキル】じゃ、この周辺をぶっ壊しちまうからな」
ちなみに、リースの大魔法は【無詠唱】なので、一発で放たれる。
だ・か・ら。
『――――――怒りのプロミネンス!!!!!』
俺たちの周囲に炎の竜巻が発生。
それはパラディンたちへ襲い掛かった。
「なんだこの炎は!!」「うあああ、逃げろおおお」「トゥース様あああああ」「うぎゃああああああ」「これは大魔法だ!」「詠唱なしとかありえんだろ!」
逃げ惑うパラディンたち。
この隙に俺たちは神殿の中へ侵入した。
◆
神殿の中にもパラディンが大量だった。
ギヨティーネがこれほど戦力を付けていたとはな……。トゥースとかいうヤツは、それほど支持者を集めていたのか。
それとも……。
「侵入者だああ!!」「殺せええええええ」「ここを通すな!!」「トゥース様をお守りしろぉぉぉ」「うおおおおおお」「死ねええええ!!」「皆殺しだあああ」
虫のように群がってくるパラディン。
まったく、キリがねえ。
だが、こっちの力も圧倒的。
『覇王天翔拳――――――!!!!!』
破壊的な拳が飛ぶと、複数のパラディンを一気に吹き飛ばした。こっちには、最強の聖女もいるんだぜ。
奥義を飛ばしたフォルは、どんどん加速し、宙を飛び跳ねパラディンに拳を入れていく。それだけではない、蹴りもだ。
――そうか、あれはサイネリアのキックスキル。
習得していたのか。
俺も負けていられないな。
「メサイア、補助を頼む」
「ごめん、サトル……」
「え」
「キャロリーメイトがとまらなくて……」
「おま!?」
よく見ると、メサイアはキャロリーメイトを頬張っていた。ハマりすぎだろう……。こりゃ、メサイアは役に立ちそうにない。
仕方ない。
面倒くせぇからこれでいく。
『――――ニトロ!!!』
ど~~~~~~~~~~~んとパラディン達の胸元で爆発し、吹き飛ばした。これでは、まるで無敵状態のボンバー男なのだが、爽快である。
パラディンを倒し、どんどん先へ進む。
そうして、やっと奥へ辿り着く。
「…………ここか」
大きな扉があった。
そこだけ『黄金の扉』があった。
「すげぇな……これ売ったらいくらになるんだろうな」
「金の扉……」
メサイアは驚いていた。
「メサイアさん、これって……」
リースは、メサイアを神妙な顔で見た。……なんだ、この扉がどうかしたのか?
「ええ……。色はともかく、デザインね。ここに描かれている『世界地図』は、古代のものよ」
「古代の?」
俺がそう返すと――扉が開いた。
そこから、人影が現れ――
「ようこそ、オロル神殿へ……。ここまで来るとは思わなかったが……こうなってしまった以上は仕方あるまい。トゥース様の元まで案内しよう」
そこには、パラディンの装備とは明らかに違う老騎士がいた。……騎士だと。あれは、まるで……。
黄金の扉を突き進む。
道中、なぜかフォルが俺の服を掴む。
「……兄様」
「……フォル、この感じ……どこかで」
覚えてはいない。
遥か昔の、いや、別の世界のような感覚。
通路を抜けると、そこは神殿の奥。
花の楽園があった。
「――――――」
そこに佇むひとりの男。
紫色の長い髪の男。
目つきはかなり悪い。
あれが、キングパラディンと呼ばれる『トゥース』なのか。
「お前が……」
「フフフ……久しぶりだな、サトル」
「なんだと……」
コイツの顔に見覚えはないぞ。
初めて見ると……思う。
「貴様と会うのはこれで四度目だろう。最初はコンスタンティンとの決戦前の大集結時、その後のアーサー王の祝杯。それから……。その先は言うまい」
「お前は誰だ……」
「トゥースは仮の名。キングパラディンもただの偽装に過ぎぬ……。私は元円卓の騎士がひとり……『ユーウェイン』である」
ユーウェインだと……?
覚えてねえ。
でも、円卓の騎士だって? 嘘だろ……裏切者がいたのかよ。
「てめ、アーサーを裏切って……」
「フフフ……当然だろう。私は常に強い者の味方。アーサーも強かったが、天帝様は更に上をいった。あのお方は、私に聖地の半分を下さると言ってくれたのだからな」
そうか、そんな甘い言葉に釣られて……コイツは。
「ねえ、サトル。さっさとぶっ飛ばしましょう。コイツ、最悪だわ。円卓の騎士を裏切るだけでなく、アーサーさんまで裏切っていたとかさ……世界に対する裏切りよ、これ」
ああ、メサイアの言う通りだ。
アーサー本人が知れば悲しむだろうな。
それから、フォルは震える手で俺の腕を――
「どうしたんだ、フォル。お前、変だぞ」
「わたくし……あの方を知っているんです……」
「え……」
「どこかで……分からないですけど、でも分かるんです」
どういう事だ?
なにが起きている。
ユーウェイン、奴はなんて言った?
『貴様と会うのはこれで四度目だろう。最初はコンスタンティンとの決戦前の大集結時、その後のアーサー王の祝杯。それから……。その先は言うまい』
四度目?
四度目って何だ。
決戦前は確かにいたのかもしれない。
祝杯も当然、全員が集結するから居たのだろう。
だが、三度目。
三度目はいつだ?
「ユーウェイン、お前は……何者なんだ」
「……私は復讐者だ。お前をこの二本で剣で殺す」
いきなり二本の暗黒剣を生成するユーウェイン。
なんだ、あの禍々しい剣。
そして、ヤツはこうつぶやいた。
『ダークスキル……グルーミー』
聖なる騎士が……ダークスキルだと!?
「お前……闇に染まったな」
「クククククク……クハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」
それに対し、俺は――
『真・覚醒聖槍・ロンゴミニアド!!!』
黄金の槍を生成した。
ヤツをぶっ倒す……!!!
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