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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第七章 世界ギルド

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第309話 レメディオス事変 - 小さき女神の想い -

※ネメシア視点です

 レメディオスはいつも通り平和でほのぼの。


 邸宅(うち)もいつもの風景で何も変わらない。ヘデラもいる。彼女は窓辺に腰掛けて外の風景を眺めていた。今日も綺麗な銀髪が風に(なび)いて――わたしはそんなヘデラに見惚(みほ)れていた。



「…………」



 フォルトゥナお母さんの魂を借りているだけあり、あの容姿はズルすぎる。わたしより肌が透き通って、手もスラっとして……本当にズルい。けど、あれがヘデラ。全部が愛しくて、とても頼りになる存在。



 女性なんだけど、まるでお父さんみたいな安心感があった。だから、たまに抱きしめられると、何故かドキドキして……心の底から嬉しいと思えた。



 何故だろう。


 何故、ヘデラに抱きしめられると安心するんだろう。



 信頼しているから?



 それは勿論だけど、もっと何か違う……感情があるような。



「どうした、ネメシア」



 わたしの存在に気づき、ヘデラはアクアマリンの瞳を向けた。海のように()んでいる。いつもながら、わたしはドキっとした。



「ヘデラ……あのさ。キャロリーメイト食べる!?」



 最近、ママのマイブームらしい『キャロリーメイト』を取り出した。棒状の栄養食なのだけど、これが意外と栄養価が高くて美味い。



「キャ……キャロリーメイトぉ……」



 怪訝(けげん)な顔をしてヘデラは、渋々(しぶしぶ)と取った。

 ……なんだかんだ優しいんだから。


 で、嫌そうながらもボリボリ食していた。



「ね、ヘデラ」



 わたしは顔を近づけた。

 すると、キャロリーメイトを(くわ)えているヘデラは顔を真っ赤にして――



「ちょ、ネメシア。顔が近いぞ……」

「その(くわ)えているキャロリーメイト、半分だけ食べていい?」

「……んぁ? なんだ、つまり……ポッケーゲーム的な?」


「ポッケーゲーム?」


「あー、ネメシアは知らんよな。二人が両端を(くわ)えて食べ進むゲームなんだよ。ていうか、これは恋人同士でやるものだぞ」



 腕を組み、ヘデラは困惑した。

 そんな表情が素敵だった。もっといろんな表情をわたしに見せて欲しい。だから……。



「じゃあ、ヘデラ。それやってみよ?」

「え……マジ!?」


 嫌そうでもなく引いたワケでもないけど、ヘデラはやっぱり困惑していた。


「大丈夫大丈夫。配信はしないから」

「あ、当たり前だ。こんな所を世界ギルドに見られたら、俺……さすがに大炎上じゃ済まないと思う。投げ銭(ウルチャ)も一切途絶えるだろうなあ」



 世間の目を気にするヘデラだけど、別に女の子同士なんだし、問題ないって。わたしは思ったけどね。ということで……!



「ん~」

「お、おう……」



 ヘデラの(くわ)えているキャロリーメイトの端を、わたしも加えた。すると、端と端でバランスが保たれた。あとは食べ進めていくのだけど……。


 ……いざヘデラと顔を合わせると……



 こ、これは……!



「…………」

「お、おい。ネメシア、今更顔真っ赤にするなよ……俺だってめっちゃ恥ずかしんだぞ。こんな所をトーチカとかエコに見られたら……あ!?」



 わたしの背後に視線を移す彼女は、目を見開いた。え、背後にまさか……?



「にゃああああああ~~、ヘデラ様ぁぁぁちゅ~るぅ下さい~!」



 エコだ。

 ちゅ~るぅを求めて全力疾走しているようだ。



 気配的に跳躍したのだろうか、エコの気配がわたしの背後に! それから、ドンと押され――わたしは勢いでキャロリーメイトを頬張ってしまう。ていうか、一気にヘデラのあの唇に~!!



「~~~~~~っ!!」

「!?」



 ――――あっぶない。


 辛うじて回避した。



 危うくヘデラとキスしちゃうところだった……。

 そ、それはそれで……何を言ってるのわたし!



「……ネメシア、大丈夫か?」

「う、うん……」



 冷や冷やしたようなドキドキしたような。

 はぁ~と溜息を吐く。



「ヘデラ様~、ちゅ~るぅ!!」

「ああ、分かった分かった。後でな」

「ありがとうございますぅ~」



 エコは去った。

 相変わらず元気な猫ちゃんだ。



 それから入れ替わるようにして、トーチカがやって来た。相変わらずの虚ろな目。あれは、生まれつきらしいけれど。



「ヘデラ、ネメシア。冒険行く」



 そして、相変わらずの淡白さ。けれど、これもトーチカの魅力のひとつ。あんな感じだけど、仲間想い。わたしも彼女を認めているし、友達と思っている。



「あ~、ギヨティーネは大丈夫だ」

「大丈夫?」

「ああ、そっち(・・・)は任せろ。俺にはスターダストがあるからな。なんとでもなるよ」



 と、ヘデラは何故か自信満々に言った。

 どこからそんな自信が沸いて出てくるのだろう。でも、確かにスターダストなら、なんでも(・・・・)願いが叶うし、うん、きっと何とかなるわよね。



「そう。じゃあ~西の『ルイス』へ行こう。今、季節が冬のはずだから、雪が積もっていると思う。雪合戦しよ~」



 珍しいトーチカの提案。

 でも、ルイスかー。遠いのよねぇ。



「そうだな、たまには息抜きを――」



 ヘデラが(うなず)いた瞬間だった。

 外に大きな光が――




『ドォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン!!!!!!!!!!!!!!!!!!』




 ――――と、何かが上空で大爆発を起こした。




「……え、なになに!?」


 わたしは慌てて外を見る。

 ヘデラやトーチカも近くに、と思ったのだけど、ヘデラはわたしを抱きしめて守る動作をした。


「ヘデラ……」

「ネメシアは俺が守るからな」

「……うん」


 かっこいい~。ヘデラはわたしの為にこうやって守ってくれる。いつも危険に遭遇すると直ぐに(かば)ってくれる。だからこそ、そんなヘデラが好き。



「こんな大規模な爆発は、エクサダイトしかない」



 トーチカは分析していたのだろうか、そんな断定をした。……エクサダイト。そういえば、聞いた事がある。武具の精錬とかに使えるエクサニウムと、希少価値のあるエクサダイトがあるって。そっちは爆発するから扱いは慎重にと聞く。



 でもどうして、そんなモノが大爆発を起こしたのだろう。しかも上空で……。



 世界ギルドが動いている……?



 ちょっと不安が過る。

 そんな不安が襲って、わたしはヘデラの顔を覗いた。


「……」

「ネメシア、心配するな。俺がいる」

「…………ヘデラ」



 ぎゅっとされて、わたしは嬉しかった。

 ああ、やっぱりお父さんみたいな……暖かさ。



 心があたたかい。

いつも応援ありがとうございます。

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