第308話 守護する聖者 - 千里眼スキルで全てを見通せ!! -
俺には初期からある全てを見通す力があった。それは……『千里眼』であった。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
【Skill:千里眼】Lv.1(最大)
【Effect】
対象:自分
見えない場所を見通したり、
透視する能力。視力もアップ。
使用時、回避力が増加する。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
このスキルがあれば、トゥースの場所を暴けるかもしれない。なので、俺は女パラディンを見通す事に――。
「サトル……そのパラディンの裸を見ようとしてない?」
ぺしっと後頭部を軽くチョップされた。
ジトっとした目で見られ、俺はちょっと興奮。メサイアのあの赤い目で見られるとタマランのだ。
「そんなワケあるかよぉ~」
「なんか声が上擦っているわね」
「大丈夫。信じてくれ、俺はコイツの思考を透視して、読み取るだけだ」
「分かった。任せるわ」
俺は女パラディンを見つめ、『千里眼』を発動した。目がピカッとロボットのように光ってフラッシュした。
「っく……」
顔を顰める女パラディン。
「抵抗しても無駄だぜぇ、ぜ~~~ぶ見てやる。お前の全部をな!」
「お、おのれぇ……私を見るなああああ!!」
ちょっと怪しい現場になっとるが、相手を思考を見通しているだけなので悪しからず。……さて、おぉ、なんか見えて来た。
どうやら、パラディンの思考を経由して、外の世界を見せてくれているようだ。やっぱり万能スキルだなこれ。
そうして現れ始める『トゥース』の居場所らしき建物。
これは――天空帝国・デンの――
「ん!?」
「どうしたの、サトル」
「いや……これって」
これは……参ったな。
トゥースらしき男が風呂に入っている。
裸の女を囲んで。
なるほど、お楽しみ中だったか。
ほうほう。これは少し覗いておくか――ぐふっ……。
「サトル! 顔がいやらしいわよ」
肘で横腹を突かれ、遠見のビジョンが消えた。
「いいところだったのに~」
「あんたね……昨日の私じゃ満足出来なかった?」
なんて、メサイアはつぶらな瞳を向けてきた。そんな顔されてはな! 仕方ない女神様だ~! そこがいいんだが。
「メサイア……」
俺はメサイアを抱き寄せた。
「サトル……嬉しい。あんたってズルいほどの包容力あるわよね。私はそういう所も気に入ってるの。ずっとこうしていたい」
「そうか。じゃあ、ベッド行くか」
「うぅ……いいけどぉ」
なんてイチャイチャやっとると、女パラディンが叫んだ。
「私の目の前でのろけるな! 目障りだぞ! くそっ……トゥース様の居場所を知られてしまったか。ならば、自爆してやる」
「なんだと!?」
女は悪魔のように笑い、こう言った。
「エクサダイトだ……世界最強の爆発力を誇る爆弾鉱石。こんな事もあろうかと、私は体内に仕込んであったのさ……。トゥース様とはお別れになってしまうが、だが……お前たちを道連れに!!」
「てめぇ……」
「クハハハ……ざまぁみろ! トゥース様には敵わなぬのだと知れ! 貴様如きには世界は救えぬ。元の世界には戻れない。天帝に味方する方が得だと何故気づかない! だから、貴様たちは愚かなのだ!!」
激しく叫ぶと、女はついにエクサダイトを起爆を――
「兄様~♪」「サトルさ~ん」
フォルとリースも来た。
まずい、みんなを巻き込む。
このままでは、メサイアも……させるかよ。やっと手に入れた幸せだぞ!! ふざけるな、みんなを絶望なんてさせない。泣かせたりなんてしない。あるのは希望だけ。みんなの笑顔があれば、俺はもう満足なんだ。
俺たちを邪魔するヤツは、容赦しない!!
「リース、黙っていてすまない! 三日前、添い寝して貰った時にテレポートを無断でコピーした!」
そう白状すると、リースは顔を真っ赤にして項垂れていた。
「そ、それは言わない約束ですよぉ……」
「リース! 兄様と添い寝を!? ずるーい、わたくしも添い寝してくださいまし~!」
照れている横でフォルはそんな要求を。
お前は腹筋ペロペロを止めたらな。
て、そんな悠長に突っ込んでいる場合ではない!
「メサイア、みんなを頼む!! 俺はテレポートで女パラディンと飛ぶ!」
「飛ぶって、どこへ!?」
「なぁに、俺は死なん……!!」
「サトル、無茶しないでよ……お願いだから」
「俺を信じろ!!」
「…………うん、信じているから死んではダメよ。サトルは、みんなの希望なのだから」
ああ、エクサダイトの爆発如き、負けるつもりはない!
そして、女はエクサダイトを起爆させようとした。
「死ねええええええええええええ!!」
「させるかあああああ、テレポート!!」
◆◇ ◆◇ ◆◇
空が青い。
――――そう、俺と女パラディンは上空にいた。
ここは天空帝国・デンの遥か彼方。
天空帝国だから、空は広いぜ。
「そ、そんな……馬鹿な……上空にテレポートだと!! くそ、くそ、くそ、くそ、くそぉぉぉぉぉおおおお、このままでは……うああああああああ」
女は泣く。
きっと後悔しているのだろう。
だけど、俺に止める術は無かった。
エクサダイトは、彼女の体内のようだった。
それは千里眼でも分かったからな。
そして、
『ドォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
大爆発を起こすエクサダイト。
まるで俺が昔いた世界の核爆発に匹敵した。……まてまて、どんな威力のエクサダイトだよ。ここまでとはな。
まずい、このままでは爆発に巻き込まれる……! その前に緊急脱出あるのみだ。だから、俺は――
「テレポート」
◆◇ ◆◇ ◆◇
リースのテレポートをコピっておいて良かったと心底思った。もしも、テレポートでなければ逃げられなかっただろう。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
【Skill:イミテーション】Lv.1(最大)
【Effect】
対象:自分
あらゆるスキルをコピーする。
相手に触れた場合、そのままの効果を。
見ただけの場合は効力が半分に落ちる。
記録メモリは無限大。
消去はされない。
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
これがチートスキルすぎるな。
最近大活躍である。
ボリボリ頭を掻いていると――
「サトル!!」
「おっと……メサイア、ただいま」
「約束通り帰って来てくれたのね」
嬉しそうな顔をして、メサイアは抱きついてきた。フォルとリースも。
「兄様、一瞬とはいえ心配しましたぁ!」
「サトルさん、あたしもです~(泣)」
そうして俺は押し倒され、みんなに伸し掛かられた。女神と聖女とエルフに。なんて贅沢な帰還だよ。あ~、この笑顔を守れて良かったあ――。
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