第304話 天空帝国・デン - 潜伏先を暴き出せ!! -
リースのテレポートで『ギヨティーネ』の潜伏先らしい天空帝国『デン』へ向かう事にした。
天空と言っても浮いているワケではない。
高い山に位置する国なのだ。
――で、到着。
「ほー、見晴らしが良いなぁ」
雲海の上にある広大な国。
気持ち良すぎる程の清んだ空気が心地よい。
なんて場所だ……。
街が至る所に広がってやがる。あっちこっちも建物がギッシリ缶詰状態。なるほどな、こりゃあ潜伏先としては絶好の場所なわけだ。
現在、デンの高台にいた。
「わぁ、キレイな国ですね~」
手を合わせ、感動するリース。
金の髪が風に揺れる。
「兄様ぁん♡」
おっと、フォルを抱えっぱなしだったのを忘れていた。首に腕を回され、キスを迫られた。
「ん~♡」
「回避っ」
「あぁん……兄様のいぢわるぅ♡」
ヘンタイ聖女を地に下ろした。
それから俺は、赤い瞳で街並みを一望する女神を見た。なんだかメサイアのヤツ、遠くを見つめて……お腹を鳴らした。
『ぐぅ~~』
「なんだ、メサイア。お腹減ってたのか」
「…………っ。仕方ないでしょ、何も食べてないし」
漆黒の髪を弄りならがら、メサイアは顔を赤くした。そうだったか、そういえば早朝直ぐ出たからな。弁当も何も持ってきていない。
だが、
メサイアは女神だ。
「ホワイトから食べ物を取り出すわ」
ネメシア同様の女神スキル『ホワイト』が扱えるのだ。これが万能で、アイテムストレージになっとる。さらにその中には家があったり、住むこともできるチートスキル同然なのである。
で、メサイアはゴソゴソとキャロリーメイトを取り出した。うわぁ、この黄色い棒状の見たことあるー!
「お前……」
「な、なによ。これしか在庫がないんだもの……料理とかしている暇もないし。これで我慢してちょうだい」
配られるキャロリーメイト。
俺は渋々頬張った。美味いけどね!
◆
街を歩けば、見行く人に振り向かれる。
やべぇ、怪しまれてんなぁ? いや、そうでもないのか……余所者だから珍しいと思われているのかも。
スタスタと歩き、ギヨティーネの潜伏先の情報を入手する為、俺たちは酒場に入った。名前を『えんじょい28号店』といった。
――ん。
まて……『えんじょい』ってドコかで!?
レメディオスにもなかったか?
「う~~~~~~~~~~~~ん……」
俺は腕を組み、記憶を呼び起こした。
するとネメシアの顔が浮かび――。
ゲロォォォォっと吐いたシーンを思い出した。
「あ!!」
そうだよ。
ネメシアと出逢った初めにレメディオスのぼったくりバーへ行った。その酒場の店の名が『えんじょい』だったはず。なんだあの店ってチェーン店だったのか。すげぇな、28号もあるのかよ。いやそれ以上か。儲かってるんだなぁ。
「どうしたのですか、兄様」
腕を絡めて押し当ててくるフォルは、首を傾げた。
「いや、昔を思い出してね」
「昔、ですか」
「ネメシアが紹介してくれた店と同じ名前だったからな」
「ああ、レメディオスの」
そっか、フォルも知ってるか。
「あの店は世界進出していますからね。有名なのですよ」
「へぇ……」
そりゃ知らなかった。
意外な事実に驚いていると、いきなり攻撃を受け……それに対し【オートスキル】が発動して、勝手に反撃した。
発動したのは定番の『血の煉獄』だった。
炎が俺とメサイアたちを守った。
「……突然だな」
「サトル、敵よ。それも複数」
キャロリーメイトを頬張りながら言われてもなぁ……緊張感ねぇ~!! ていうか、この女神はいくつ食ってんだよ!? そんなに腹が減っていたのかよ!
「……ここは神聖なキングパラディン『トゥース』様の支配する国。貴様たちのような余所者は排除する……」
ひとりのフルプレート男? が、前へ出て来た。
なるほど、ギヨティーネのパラディンか。
「そのトゥースを探している。天帝の情報を寄越せ」
「断ると言ったら……?」
「そりゃあもちろん……てめぇらをギタギタのボコボコのズタズタにしてオークのエサにでもしてやらぁ!!」
パラディンの男は不敵に笑う。
「……クククククク、フフフフフ、フハハハハハハ……」
俺も負けじと笑う。
「ダゥ~~~ウゥアアアアアアハハハハハハハハハ!!!!!!」
笑い合っていると、男は、
「貴様ァ!! なにがおかしい!!!!!!!!!!!」
と、理不尽にブチギレて剣を抜いた。
……いや、先に笑ったのそっちだろ!?
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