第302話 チートアイテム - スターダストで願え!? -
ギヨティーネのメンバーをぶっ倒した俺たちは、一度【レメディオス】へ帰還した。家へ戻り、すっかり夜。
「夜か……」
俺はひとり自室で星空を眺めていた。
今日もオリオン大星雲もどきが眩しいぜぇ~。
それはいい。
今はネメシアやトーチカ、エコは疲労でぐーぐー寝ちまっている。……チャンスだ! この時を俺は待っていた。
こっそり窓から外へ――。
◆
【レメディオス - 街】
夜の街を歩くのは久しぶり。
しかも今日は『聖女』ではなく、本来の俺の姿。
だから今日は男の姿の『サトル』なのだ。
ある家の前に来た。
そこは、今や女神、聖女、エルフの住処。ま、つまり、メサイアとフォルトゥナ、リースが住んでいるんだな、これが。
ずかっと入って見た。
家の中に勝手に入ると、フォルがいた。
「よっ、フォル」
「こ、こんな遅くにどうなされたのですか、兄様。ていうか、わたくしお風呂から上がったばかりで……全裸なんですけれど」
そう、フォルはすっぽんぽんだった。
なにも身に着けていなかった。
なんてラッキー!
「って、そういえば! 兄様! 元の姿です!!」
ぴょーんと飛び跳ねてくる聖女。
俺は裸の聖女を受け止めた。
そして、ぎゅっと抱きしめた。
「ん~、イイ感触ぅ」
「兄様♡ 兄様ぁぁぁぁぁぁん♡」
「よしよし、フォルは可愛いな」
んなことしてると、リースがやって来た。
「え…………サトルさん!?」
「うぃっす、リース」
「うそ……信じられない!! 本当に!? これ現実!? 夢!? 幻!? もうなんでもいいや、やったあああああああああ!!」
ぴょーんとリースも飛び跳ねてきた。すげぇ嬉しそうにワイワイとお祭り騒ぎ。おいおい、そんなくっ付かれると大変だぞ。けど、天国だ!
「リースも久しぶりだな。こんな可愛くなって……髪伸びたし、スタイルもすげぇ抜群。エロさマシマシだなあ」
「サトルさん、あたし寂しかったですぅぅ」
わんわん泣くリース。
俺は裸のフォルとリースを抱いた。
――で、本命登場。
「あのさ~、フォル。私のシャンプー………え」
シャンプーを落とすメサイア。
赤い瞳が揺れ動いて……
滝の如くダバーと泣いた。
「サトル!!」
今度は女神であるメサイアが飛びついてきた。なんだこの超天国!! 最高か!! やっぱり、男は男の姿でいいな!!
幸せすぎんだろ!!!
「よし! みんな、落ち着け!」
ひとりひとり引きはがし、横に並ばせた。
って……フォルが危険すぎる姿だった。
さすがにそのままもな。
「フォル、服を着ろ」
「いやです」
「ちょ……拒否んな!」
「わたくしは生まれたままの姿を兄様に見て欲しいのですっ」
そうムキになるフォル。
「フォルちゃん。サトルさんが困ってるよ。さあ、早く修道服に着替えて。ねえ、メサイアさんからも言って」
「そうね、さすがに全裸はまずいから」
「そうですか……リースと姉様がおっしゃなるのなら……」
トボトボと着替えに行った。
さすがヘンタイ聖女だぜ。
この未来においても健在だったか。
◆
「で、サトル。スターダストは使わないの?」
椅子に座り、足を組むメサイア。
真っ白なムチムチふとももが眩しい。
「うーん……そうだな、チートアイテム同然のスターダストを使えば一瞬だろうけどな。だが、それでは俺の気が晴れんのだ」
「そうは言ってもね~」
なにか懸念事項があるのか。
「なんだ、メサイア」
「あー、ほら。万能の願望星屑【スターダスト】と言っても、賞味期限とかあるかもしれないじゃない」
「ショウミキゲン? お前は何を言ってるんだ。これは食品か?」
突っ込むと、リースが困った顔をした。それから、手をポンと可愛らしく叩いて提案してくれた。
「サトルさん、そのスターダストを使って過去へ戻るとかは?」
「それは俺も考えたよ。でも、それはできない」
「どうして……」
「わたくしが説明しましょう」
修道服――いや、なぜかバニーガールのフォルが現れた。なぜバニー! てか、似合いすぎだろ!! あの超激可愛いフォル欲しいなあ。
「いいですか。過去に戻ってその事象を解決しても、それはただ分岐するだけ。別の世界線が形成されるだけ。この今は何も変わらないんですよ。だから、余計なことをすれば、逆にメチャクチャになってしまいます」
「詳しいな、フォル」
「ええ、ずっと勉強していましたからねっ」
可愛くウィンクするフォル。
「あーそれ、私が教えたの」
なんだ、メサイアが教えたのかよ。
ま、それなら納得。
そう、だから俺は過去は顧みない。
今を見るべきだと思った。
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