第290話 女神復活 - 二人の女神・無限増殖の願い -
俺は考えた。
世界各地を巡るには時間が足りなさすぎる――と。
世界は元々『聖地』が散らばっており、それが今では別の名として点在してる。その箇所は『10』以上。地図に乗っていないのも合わせれば『100』はあるだろう。
サイネリアは『聖地巡礼』をしろ的な事を遠回しに言っていたが、いちいちそんな事をしていたら『シニガミ』や大幹部を対処できない。
そこで俺は考えた。
――この【オートスキル】を応用できないだろうか?
「なあ、ネメシア。お前のホワイトってテレポート的なことも可能なのか?」
「テレポート? それなら、リースママの方が得意かな」
「そうか! リースか」
俺は邸宅のどこかにいるであろう、リースを探した。……つっても、あの気配は独特でな。すぐ分かる。
「いた! リース。話があるんだ」
「サ……ヘデラさん。お疲れ様です」
ぺこっとお辞儀するリース。
その美しい瞳で俺を見てくれる。
「あのさ、リース。相談があるんだが」
「いいですよ。なんでも仰ってください」
なんでも!?
――もうそのくだりはいいな。
「実は……ゴニョゴニョ」
「ヘデラさんの【オートスキル】をテレポート!? 無理ですよ~。いくらなんでも、テレポートでスキルを飛ばすとか不可能です」
そうか、やっぱり無理か。
「――でも」
「え」
「でも不可能を可能にするのが、ヘデラさんです」
そんな超期待の眼差しを向けられてもなぁ。
……ああ、出来るさ!(半分ヤケクソ)
「ま……ぶっちゃけ【スターダスト】使えば一発なんだけどな」
「あ……そうですよ。もう三つ揃われたのですよね」
「ああ、女王様から預かったヤツ、ホワイトの中で手に入れたヤツ、――で、聖女コンテストの優勝賞品。これで全部だ」
ネメシア曰く――【シュテルネンハオフェン】、【アマデトワール】、【エンハンブレ】というそうだがな。
だけど『小包』はまだ開封していないんだよな。
「で、では……願いを叶えてみては如何でしょうか!?」
「そうだな……よし、開封してみよう」
◆
俺は全員を食堂に集合させた。
「ヘデラ、ついにこの時来たのね」
ネメシアは不安げに俺を見た。
「ああ、とりあえず二つある。あとは『小包』だが……よし、開けるぞ」
全員が息を呑み、その中身に注目した。
「いくぞ」
ゆっくりと紙を破っていかず、
大雑把にビリビリと毟り――――
「こ、これは…………」
その中身は…………
・
・
・
急に視界がブラックアウトした。
なにが起きたのか、サッパリ分からない。
そして、突然また『白い』ものに誘われ――――
★ ★ ★
11100011 10000001 10011111 11100011 10000001 10100000 11100011 10000001 10000100 11100011 10000001 10111110
★ ★ ★
――突然、そんな数字の羅列が埋め尽くした。
その意味はいったい、なんだろうか。
「 」
「――――え」
「サトル」
「メサイア、お前なのか……この白い空間はなんだ?」
この声は確かにメサイア。
でもその存在は見えない。
「理よ、ここはすべて」
すべて?
「さあ、あなたの『願い』はなに? なんでも三つ叶えてあげる」
俺は…………
「お前が欲しい……戻ってこい、メサイア!!」
すると姿が現れた。
「メサイア……!」
「サトル、久しぶりね。貴方をずっと待っていたわ」
メサイアが俺の頬に触れると『聖女・ヘデラ』としての姿は消え――本来の、男である姿を取り戻した。ちょっと名残惜しいけど――仕方ないな。
ああ、もうギルドの【ウルチャ】も貰えないかもな。
でもそう、これが本当の俺だ。
「聖女の方がよかった?」
「じゃあ、残りの願いで俺をいつでも女体化できるようにしてくれ。あの姿、可愛くて割と気に入っていてね。あとふたつあるだろ?」
「でもちょっと待って。そんな願いでいいの? ほら、世界の人たち困ってるし、天帝とか消さなくていいの?」
「あ、それもそうだな。けどさ、【スターダスト】で天帝ぶっ倒しても味気ないだろ。この手でぶっ飛ばさんと気がすまんからな、俺は」
「そう、やっぱりサトルね。分かった。でも本当にその願いで良いのね」
「じゃあ、こうしよう。願いを増やしてくれ。なんでも叶うんだろう?」
メサイアは呆れた顔で溜息をつき、俺を見たが、
「欲深いわねぇ、サトル。でも、あなたが神様だもの。なんでもありよ。本当ならここでおしまいって手もあるんだけどね」
「言ったろう。俺はこのゲンコツで天帝を殴らんと気がすまん」
「分かった。そうするわ。じゃ、願いを『無限増殖』させるわね」
「はっ、そう聞くとなんだか『チート』みたいだな! おもしれぇ、女神が復活した以上、なんでもありってことだな!?」
「うん!!」
と、自身たっぷりにメサイアは笑顔を向けてくれた。
「あ、そうそう。ネメシアを呼ぶわね」
「え!? ……ま、待ってくれ。ちょっと恥ずかしいだろ、この姿だし」
「いいじゃない~。家族水入らずで」
「ダメだ! まだ心の準備が……『ヘデラ』にしてくれ」
「仕方ないわね。分かった、サトルがそう言うのなら!」
俺は再び『聖女・ヘデラ』の姿へ戻った。
すっかり慣れた姿なせいか、こっちが落ち着く~!!
「…………へ? ここ、どこ? え、ヘデラ!? え……そこにいるの…………マ、ママ!? はいぃ!? どーして……」
状況が呑み込めていないネメシア。
「ネメシア、よく頑張ったわね」
「ママ……。ママ!!」
メサイアに飛びつくネメシアは、泣いて飛びついていた。子供の様にわんわん大泣きして……大粒の涙を流し、再会を喜んでいた。
こりゃ、俺の入る隙はないな。
あ……そうそう、もらい泣きしたのはナイショだ。
★ ★ ★
――――こうして、女神は完全復活を果たした。
しかも『メサイア』と『ネメシア』だぞ。
二人もだ。
二人も『女神』がいるのだ。
更になんでも願いが叶う【スターダスト】の願いを『無限増殖』させ、もう俺のやりたい放題。最強だ。無双だ。超覚醒だ。
さあ、行こう――――。
――――みんなが待っている。
◆あとがき
ここまで本当にありがとうございました。
以上【女神復活編】は完結となります。
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余談ですが――
途中にあった謎の数字の意味はバイナリデータで『ただいま』です。
※二進数なのです




