第287話 聖女の黄金の槍 - 容赦も妥協もしない力 -
突如として現れた【ダークスター】の怪物。いや、超人か。
形容しがたい全身真っ白の人型っぽいモンスター。天使の輪っかを持ち、薄い天使の羽を生やしていた。アレは何だ……? 天使族なのか?
「ソクラテス……だと!?」
『そうとも。それが私の名である。
よく聞け、聖女・ヘデラ……! 所詮、貴様には何も出来ん! なにも守ることは出来んのだ!! この世界の【理】はただひとり……唯一無二の存在である『天帝・ツァラトゥストラ』様であるのだからな!!』
ツァラトゥストラ……?
それが『天帝』の名前か――。
「ありがとよ。天帝の名がやっと分かったぜ。この真っ白ヤロー!!!」
先制攻撃あるのみだ。
俺はダークスターの大幹部・ソクラテスに対し【オートスキル】を強制発動。それを力の限りぶつけた。そう、容赦も妥協もしない。それが俺だ。俺なんだ!!
『――――――巨人の力・ギガントマキアー!!!!!!』
『……ホホホホ、巨人の力か。しかし温過ぎてアクビが出ますな――――』
嘲笑い、余裕をぶっこくソクラテスだが、
『――――――ホーリーグレイル!!!!!!!』
『秘奥義!! 覇王轟翔波――――――!!』
なんと、リースとフォルが己の持つ最強のスキルを発動していた。レインボーの大魔法出力と、赤黒い波動砲が放出され、ソクラテスへ向かってゆく。
……ナイス、フォロー!!
だが、敵はそれを片手で受け止めていた。
なんてヤツ!
『おのれぇ……! さすがに数が多い。まあ、今日は挨拶にやって来ただけでね。聖女よ、いよいよだ……いよいよお前の仲間たちを全滅させる時が来たのだ!!』
「どういうことだ!」
『天帝・ツァラトゥストラ様は、ついに『シニガミ』を量産なさった。今や世界中に放たれ、各地を襲っている。さあ、どうする……聖女よ。あのバケモノが世界を覆うのだ……ホホホホホホホ!!』
なんだ……たいした話じゃねぇ!!
「…………クク、クククク……。フフフフフ、フハハハハハハハ!!!」
『な……なにがおかしい! 気が狂ったか聖女!!!』
「どうするぅ!? そんなの決まっているだろ……!! 全部ぶっ潰してやる……天帝・ツァラトゥストラだかなんだか知らねえけどよ……!」
『潰すだと? 聖女、貴様如きに何ができると――――!!!』
俺は、ネメシアをおんぶし――全力で助走をつけた。
『――――――真・覚醒聖槍・ロンゴミニアド!!!!!!!!!!!』
女神の力を付与してもらい、手に持つ『黄金の槍』を放った。
『――んなああああああああああああああ、いきなりとは卑怯だぞォォオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!! ウギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!』
ソクラテスに完全命中した。
――――が。
「チッ……まだ生きてやがるか」
「ヘデラ。すごい判断能力だったわね。まさか敵の会話中にわたしを頼ってくれるとか……。びっくりしちゃった……」
「当たり前だろ。俺にはネメシアの力が必要だ。お前じゃなきゃダメなんだ」
「ヘデラ……嬉しい。ほんと……あんたってば……」
ぎゅぅっと抱きついてくるネメシアは顔を真っ赤にし、まるで子供の様に抱きついて来た。めっちゃ嬉しかった。ていうか、宇宙一可愛かった。
さて、ソクラテスだが――。
宙に飛び逃げ、左半身を失っていた。
『…………ぐぉぉぉぉぉのれぇ、まさか、いきなり攻撃を仕掛けてくるとは思わなんだ……。撤退だ。貴様を甘く見過ぎていたようだ……こ、これは私の失態。クソッ、ストラ様にどう顔向けすれば……おのれええええええええええ!!!』
悔しそうに叫び、ソクラテスは瞬間的に消え去った。
どうやら追い払えたようだな。
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