第280話 女神の涙 - スターダスト・ついに全てそろう!? -
ハーデンベルギア。
王に認められし『聖戦士』だ。
俺の従妹でもある。どうしてか同じ世界にいる。なんでだっけな……細かいことはさておき、あのネメシアと同じ、片目隠し。思えば、ベルを真似たんだろうな。
銀髪……きめ細かな白い肌。
あれ、ちょっと痩せたかな、輪郭スッキリしてないか?
体格も心なしか以前よりも、細りとしているように見受けられた。恐らく、ずっと眠っているせいだろう、やつれたんだな。
こんなところで、どうして――。
「にしても、ビキニアーマーのまま眠りこけているとはな。起きないのか」
「起きないよ」
ハティが即答した。
「なぜだ」
「お姉ちゃんと一緒。魂を生贄にされちゃったから……」
「ど、どうしてそれを」
少女は答えない。
口を閉ざし、沈黙した――かと思えば、俺を真っすぐ見た。
色の濃い赤い瞳が、俺を捉えて離さない。
「……お姉ちゃん、あれ」
ベルを指さすハティ。……ん、手元?
「ま、まて……ベルのやつ、なにか持ってる、のか」
俺は眠っているベルに恐る恐る近づき、そっと手を重ねた。……冷たい。まるで死体のようだ。でも、ハティのあの感じからすると死んではいない。もしもこれが死体だったのなら、こんな風に放置しておくはずがないからだ。
――そして、手をどけると――
「こ……これは……【スターダスト】か!?」
それは、赤い涙のような星屑だった。
うわぁ、ちょっと不気味。でも美しいとも思えた。そうか……これが『女神の涙』ということか。なぜ赤なんだかな。……血涙ってことか?
「これでぜんぶ」
「え……」
「あとは『聖女コンテスト』のだね。あれは配送が遅れているみたい」
「なぜ分かる! キミはいったい何者なんだ……ハティ」
「そのうち分かるよ。今はまだ――」
「ハティ! ちょ、うああああああああああ!!!」
いきなり『ホワイト』から追い出された。
そんな強制的にっ!
……くっそ、まだ話したい事色々あったのにな。
★
ぶわっと『ホワイト』から排出され、俺は王の間に戻った。
「……ふぅ。って、おい、ネメシア!」
「ご、ごめーん。だって、ヘデラってば女王様をくしゃみで吹き飛ばそうとするんだもん。緊急事態よ、仕方ないでしょ」
「そりゃそうだけどー…」
「ん、ヘデラ。どうしたの?」
「いや……あとで話す」
「??」
「それより、女王様。相談がある」
「なんじゃ、ヘデレよ」
「ヘデラな」
「うむ、言うてみ」
「約束通り【スターダスト】が揃った。つっても、一個は『聖女コンテスト』の優勝賞品で、未配送なんだ。でも、一応こちらに二つある。だから、一度、女王様のも預かりたい。揃い次第、願いを叶える。そして、女王様の【呪い】も解く」
「――――そうか、ついに」
女王は米粒ながらも、感慨深そうに腕を組んだ。
小さいから分かりづらいけどなっ!
それから、女王は言葉を続けた。
「いいじゃろう。お主にはいろいろと借りがあるでの。この【レメディオス】を幾度となく救ってもらった。その礼もせねばならんかった。なれば【スターダスト】を持ってゆくが良い」
「マジ! いいんだな!?」
「――ああ、パエリア」
女王がパンッと手を叩くと、アマゾネスが現れた。
「こちらでございます」
た、谷間から!? そんなところに隠していたのかよ。おいおい……それ中々に不用心じゃないか。セキュリティ的にどうなんだそれ……盲点だったけど!
「この赤いの……【スターダスト】で間違いない。ホンモノだ」
「へぇ、これが【スターダスト】なんだ」
横からネメシアが観察していた。
……む?
「ネメシア、お前は初見か?」
「え、スターダストを? …………あ」
なんだそのウッカリみたいな反応。
やっぱり、知っていたんだな――ベルのこと。
「……ネメシアさ~ん、ちょっとこっち来い」
「ヘ、ヘデラ……さっきの優しさは何処へいったの~! 引っ張らないで~!」
「大切な話がある! 聞かせてもらうぞ!」
「ひぃぃぃぃ~~~…!」
俺は、ネメシアを隅に引きずった。
さ~て、聞かせてもらおうか!!
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