第275話 消えた修道服 - 新コスチュームで心機一転 -
「へっくち……!」
――しまった。
服を着ておらず下着すらつけていない。何故か全裸だった。
「……って、ヘデラ。あんた、ハダカじゃない……。って、そっか! 治療していたから、わたしが全部脱がせたんだっけ。ごめんごめん」
「ネメシアだったのかよ。まったく、風邪引いちゃうじゃないか……」
俺は裸のままベッドを出た。
ネメシアは顔を赤くして、視線を逸らしていた。
「どうした。女同士だろ」
「そ……そうだけど……。意識しちゃうのっ」
「えぇ……」
まあいいや。服着よう……ん、いつもの修道服がない。行方不明だ。
「あれ、俺の服が……」
「ヘデラの服は、エコが食べちゃった」
「は?」
トーチカがとんでもない発言をした。俺の服を食べた? まて、あの化け猫は、本当に化け猫だったのか。ちなみに、どんな趣味だよそれ。
「だから、あたしのメイド服着る~?」
「トーチカのメイド服かぁ、まあ、フリフリのミニスカで可愛いけど……俺の方が胸があるし、サイズがキツイかな。う~ん、どちらかといえば、ネメシアのゴスロリの方がいいかな」
「わ、わたしの? うーん、これ特注で一着しかないからなぁ。というか、ヘデラの修道服はもうないから、これでいっか」
ネメシアは『ホワイト』を発動し、白い靄に手を突っ込んだ。
あれは『アイテムストレージ』になったり、その中にある『邸宅』に入ったりできる女神スキルだ。便利すぎて羨ましい。
「はいっ、これ」
差し出される服。
服つーか……セーラー服?
だよな。これ。
「もっと他にないのかよー」
「えぇ? あとは、ナースとか巫女さん。スク水とか体操着もある。うーん、浴衣にハロウィンの衣装、サンタさんもある」
「おいおい、どれもコスプレ衣装じゃないか。まともなのないのか?」
「じゃあ、アイドルとかは!?」
なぜそこだけ目を輝かせるのかなぁ!?
俺にそんな趣味はねぇ!!
「却下だ。――仕方ない、魔法少女にするか」
「え、ヘデラ……あんた……うわぁ……」
「まて、なぜ魔法少女でめっちゃ引いてるのー!?」
どうやら、お気に召さないらしい。
仕方ない、これでいっか。
「じゃ、これにするかな」
いそいそと下着をつけて(慣れたものだ!)、それを着た。
「わぁ、それ、赤茶のスチームパンク風ね。わたしとちょっとだけ被るけど、そっちの方が派手でカッコイわね。うん、いいと思う」
感激するネメシア。どうやらこれは好評な模様。俺的にもこれはシックリきた。可愛いというよりは、カッコイイ。鏡で見るとビシっと決まって凛々しいな、俺。
「ヘデラ、お洒落。そっちの方がよく似合う」
お、トーチカも虚ろな目を輝かせている。これは手応えあるな。
「にゃー! どうしたのですか、ヘデラ様。イメチェンですか!?」
いつの間にか戻って来たエコも、俺の姿に仰天していた。
「おう、エコ。どうだ、かっこいいだろ」
「ええ、修道服よりも、そちらのスチームパンク風がよくお似合いです。胸元が大胆に開かれ、谷間のポイントが非常に高い。ミニスカですし、白いふともともがよく強調されていて、エロいですよ!」
猫に興奮されても、嬉しか……嬉しかった。
にしても、聖女から程遠くなってきたな。まあ、仕方ないか……俺はもともと聖女ではなかったのだから。こうやって、本来の俺に戻していく(?)しかない。いや……むしろ、悪化した!?
「ま、ちとスースーすっけど。慣れるだろ。よし、エコ、俺の肩に乗れ」
「はいっ♪」
これで、かなりそれっぽくなったろ!
さっそく外出するか。
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