第269話 ダークスター - 復活した死神・現れた大幹部 -
「分かったわ……!」
ネメシアは、いきなり声高らかに叫んだ。
声でけぇ、耳がキーンとしたぞ。
「なにが分かったんだよ」
「あのバケモノの正体よ」
「バケモノの正体……だと?」
あのウネウネのグニャグニャの、顔が五つもあるバケモノの正体? あんなのに正体もクソもあるのだろうか。だが、ネメシアは何かを悟ったようで、それを説明してくれた。
「あれは『死神』よ」
「し、死神? って、あの死神か……鎌とか持ってる」
「そう、その死神よ。レッドウォー以前は、死神の時代があったらしいわ。フォルお母さんがよく言っていたもの。この気配は確かよ」
彼女の言う通りだった。
それがいきなり現れたからな。
××× SUPER DANGER ×××
【?サ?ア】
【ス?ー???『シニガミ』 1体 を 討伐せろ?!】
【報酬期待度:デト?モ?セ】
××× SUPER DANGER ×××
うわ、なんかバグってる!!
メチャクチャだなぁもう。
しかも、超危険か……こんな危なすぎる警告は今まで無かった。つまり、アレはマジで危険らしい。……いや、危険度マックスだ。あれほどの極悪で邪悪なオーラは、見たことも聞いた事もない。『悪』そのものだ。
「サイネリア! 俺たちも助けに入るぞ!」
「それは助かりますわ。わたしの仲間はご覧の通り、もう起き上がれないほどに重症ですの。グーパーの回復も出来ればお願いしたいのです」
「分かった!」
幸い、聖女としての力も残っている。
『ヒール!!』
グーパーコンビを治癒した。
ただし、聖女スキルは『SPG』という制約があり、これがゼロになると発動できなくなる。なぜこんな厄介な仕様なのか。それは恐らく、俺は聖女ではないからだ。無理やりこの姿にさせられているから、そんな特典付きなのだろう。
だけど、何もできないよりは数百倍マシだ。
「トーチカ! 遠距離攻撃よろしく」
「ラジャ。魔弾で決める」
駆けだしていく、ネコミミメイドことトーチカ。鮮やかにジャンプし、空から魔弾を放った。まずは素の状態で様子見か。なので、今は指弾か。
指で銃の形を作ると、
「ショット……!」
魔弾が飛び出した。
彼女は野菜を食うと、それを魔力に弾を生成できるという特殊能力を持つ。しかし、それだけでは敵にダメージは与えられていなかった。ダメか!
「む、効かない。では、【アパッチ・ナックルダスター・リボルバー】を使用する」
それを迅速に変形させ、両手に嵌めた。
おぉ、でたでた。あのカッケ~、ナックルダスター。威力も倍増だ。トーチカは、その状態で改めて、ガンスリンガースキルを発動。
『――――――スラムファイア!!!!!!』
って、それ『暴発』だよな!?
けど、トーチカのスキルは違った。その魔弾は、あの『シニガミ』へ一瞬で到達すると、魔弾が飛び散り、暴発というよりは爆発した。なるほど、あれは言ってしまえば『スラッグ弾』だろう。ショットガンスキルってか。イイネ! カッケ~!
『グォォォォォォォ――――!!!!!!』
叫ぶモンスター。
よし、効いてる効いてる。ダメージは通っているようだ。良かった、あんななんちゃら神話に出てくるようなトチ狂った姿をしているからな。てっきり、無敵かと思ったのだが、そうでもないらしい。倒せるんだ。
「エコ、ネメシアを頼んだぞ」
「ヘデラ様はどうなされるので?」
「ここで決める……!」
「わ、分かりました。こちらはお構いなく!」
俺は【オートスキル】をセット。
全速前進しようとしたのだが――――。
ドンと何か落ちて来た。なんだ!?
「我は、天帝様から【ダークスター】の地位を拝領した『コウシ』という者。このバケモノ……シニガミと貴様たちの戦いを見守りに来たのだよ……」
「ダークスターだと?」
「ああ……言い換えれば大幹部だ。あのゴータマもそうだったがな」
「なんだと……!!」
まさかの『大幹部』が登場か。なら……
「たいしたこねぇな。ゴータマはそれほど強くなかったしな!!」
「あんな雑魚と一緒にするな、聖女よ。我は貴様狙いでね……。もちろん、お前を倒した後はあの女神だ。あれを殺せば、今度こそ女神族は絶滅する」
「どうして、そんなに女神を目の敵にしているんだ!」
「さぁな。そればかりは、天帝様のご意思であるからな。我々には計り知れぬ、というわけだ……。さあ、もう話はいいだろう。見守りに来たとは言ったが、あれはウソだ。この我が自ら相手になってやろう……!」
クソ……!!
あのシニガミですら手古摺っているってーのに、大幹部まで!!
「ぶっ倒す……。俺の全てを奪ったお前たちを……絶対に許さない……!
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ここで、負けるワケには、いかねぇんだよォ!!!
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