第268話 レメディオス死守 - 超怪人接近・国を守り抜け!! -
俺はネメシアの小さな背中を追いかけた。
早くも追いつき抜き去った。
「って、ヘデラ!? なんで抜き去るのー!!」
「おぉ、すまん。力が入りすぎた。止まれ、ネメシア」
「わたしは止まってるわよ。ヘデラ、あんたがブレーキ掛かってないのよ!」
「うああああああああ……本気でダッシュしすぎたああああ!!」
足に力を込めて、俺は急ブレーキを掛けるのも面倒だったので、後ろに飛び跳ね――ネメシアをお姫様抱っこでゲットした。
「うわあっ、ヘデラ……なにするの」
「みんなの所へ戻るぞ。いいか、今はバラバラになっている暇なんてないんだ。みんなで力を合わせて最後の【スターダスト】を探し出すんだ。そして、世界を正常に戻すんだ。それが俺たちの使命じゃないか」
「…………うん、そうよね」
やっと持ち直したのか、ネメシアは笑顔を見せた。
ついでに、お腹も鳴らした。
『グ~~~~~~…』
「…………ぁ、だって、まだ朝なにも食べてないもん……」
赤面して、ネメシアは言い訳した。
今のシーンで【ウルチャ】が『10万セル』入ったけどな。
★
トーチカたちの所へ戻ると、あのサイネリアとグーパーコンビが居なくなっていた。帰ったのか?
「あれ、いない」
「あの三人ならもういない」
「どういうことだ、トーチカ」
「国の外で何かあったみたい」
「なにかって…………うぉ!?」
いきなり只ならぬ気配が【レメディオス】全体を覆った。
……な、なんだこのピリピリした空気。息苦しくなってきやがった……。
「ヘデラ様、緊急事態かもしれません」
「分かるのか、エコ」
「ええ、東門の外に巨大な力を感じます。これは、なんでしょうか……。分かりません」
「お前が分からんなら、俺にも分からんな。だが気掛かりだ……もしかしたら、サイネリアたちも、そこへ向かったのかも。よし、みんな飯を食ったら向かおう」
「そんな悠長でいいんですかぁ」
「腹が減っては戦はできんだろう」
「一理ありますね」
速攻で肯定するエコ。お前も腹が減っていたんだな!
★
なぜか、ぼったくりバー『えんじょい』で朝食を済ませて、俺たちは東門へ向かった。朝っぱらから酒場とはな――まあいいや、スクランブルエッグ美味かったし!
レメディオスの外へ出ると――
グーパーコンビが倒れ、あのサイネリアは何とか持ち堪えていた。……な、なんだあの敵の姿は――。禍々しいというレベルではない。吐き気を催す邪悪。グロすぎる。エグすぎる! 誰だあんなモン放った奴は!
「……おえ」
「ヘデラ、あのモンスター以上にモンスターなバケモノは何よ」
「俺が知るかいっ! ネメシア、お前は後方にいるんだ」
「守ってくれるの……?」
「当たり前だ。俺にとってお前は……」
「うん」
→『すまん、今は考えられない……』
『すまん、今は考えられない……』
『すまん、今は考えられない……』
ここは三択。
どれにするべきか……って、なんでギャルゲー風の選択式なんだよ!? しかも、なんで全部『すまん、今は考えられない……』なんだよぉ! どう考えても、ネメシアをまた泣かせるルートじゃねーか! こんなのバッドエンドだ! 却下だ! あと、そんなワケの分からんシステムはいらんっ!!
「なにブツブツひとりで言ってるの、ヘデラ」
トーチカに指で頬を突かれた。
おっと、これでは変人ではないか。
「いいか、ネメシア……俺は……」
「お前が大好きですにゃ~~~~~~~~~~~~!!!!!!」
猫が勝手に告白しやがった。
「エコ、おまええええええ~~~~~~!!」
「ご、ごめんなさいですにゃ~。顔が怖いですよ、ヘデラ様」
「そ、そうだったんだ……ヘデラ、わたし、嬉しい」
「いや、ネメシアよ、今のはエコが勝手に言っただけだ。――っていうか、遊んでいる暇はねーぞ……!!」
グロモンスター(?)がのた打ち回るように激しく動き回り、接近して来ていた。動きもキモイな。それの相手をするサイネリアもスゲェけどな。てか、足攻撃……。
そう、サイネリアは蹴りで攻撃をしていた。
へぇ――しなやかで優雅だし、珍しい体術だな。
うん、まるでフォルのような格闘術だ。カッコイイ。
『アメイジンググレイス・シャイニング・ウィザード!!』
うわ、技名なげ~な。
しかも、なんつう閃光。足がピッカン光ってらあ。うおまぶし。
「ヘデラ、あのサイネリアさんはね、キッカーなの」
「キッカー?」
「うん、蹴り技を専門としたご令嬢よ。すっごく強いんだから」
だろうね、あの意味分からんモンスターを軽々と相手してるし。うん、ありゃスゲェよ。あっちこっち動き回っては、足蹴り。動き回っては足蹴りを繰り返している。そのひとつひとつの威力もかなり重く、敵の体をエグっている。ありゃ、大ダメージは間違いない。
――でも、あのバケモノもなんちゅう体力だ。
ぜんぜん倒れる気配がないぞ!
「みんな、サイネリアに加勢するぞ!! いいな!!」
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