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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第五章 女神復活

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第267話 レッドウォー - 変わり果てた世界の真実 -

 どうやら、サイネリア&グーパーコンビは、単に襲い掛かって来たワケではなさそうだ。ネメシアと知り合いのようで、なんだか重い話を交わしていた。


「ネメシア、あなたの女神の力が大きくなりつつあります。それは、この方……ヘデラ様の『覚醒(・・)』が発端(ほったん)となったのでしょう」


 そうサイネリアは、俺を意味有り気に見つめた。


「俺かよ。俺、ネメシアに何かしたっけなあ」

「ちょっと、ヘデラ。こっち来て」


 ――と、ネメシアは俺の腕を取り、みんなと離れた。


「おいおい、ネメシア。どうして皆から離れる」


「…………」


「黙っていても分からんぞ」


 で、急に抱きつかれた。


 ……うぉ。甘い匂いとか、柔らかい感触とか……ぅぅ。


「い、いきなりなんだよ、ネメシア。今この状況で百合(ゆり)は勘弁してくれ」

「違うの。わたし、ちょっと怖くて……」

「怖い?」

「ううん、気にしないで。少しの間だけこうさせて」


「…………」


 しばしの間、俺はネメシアを優しく抱きしめた。



 ★



 サイネリアから世界の裏事情を聞いた。


 まず、先の大戦『レッドウォー』だ。

 これは、全世界規模の大戦争だったらしい。聖者にして英雄とされた『ある男』が消え去って以降、世界は地獄と化し、突如(とつじょ)として出現した『スターゲイザー』が聖地を塗り替えたのだとか。その戦争であまりにも多くの血が流れたという。



 だから『レッド(・・・)』と言うらしい。



 それから、全滅した聖地は『パロブ・サンディエゴ・ホセ・フランシス・ステラ・パウラス・ホアン・ネポムセイノ・マリア・デイ・エロス・レメディオス・クリスピア・クリスティーナ・デン・ラム・サンデシマ・トリニダート・ルイス・イル』と分断された。そして、世界は『ヒカソ』と名を変えられたのだ。


 ――でも、それでも抵抗した者たち……『円卓の騎士』たちのおかげで、スターゲイザー側も七人のうちの六人を失っていた。で、その一人――自らを神と名乗る『天帝』という存在が、この世界を支配しているという。



「このレメディオスは、もともとは『花の都』といいましたの。クリスピアは『星の都』でした。聖地は『アーサー』、『ランスロット』などたくさんありました。それが本当の(・・・)世界の(・・・)姿だった(・・・・)のです……」



 少し悲しげにサイネリアは教えてくれた。


 そうか、そういう事だったのか。また少し記憶を取り戻した。……少しずつパズルのピースが埋まっていく。そして、なんとなく分かったぞ、俺はこの女性(ひと)と会った事があるんだ。かなり昔にな。でも、俺は何故か記憶がなくて――。



「ヘデラ様、このサイネリアさんのお話したことは全て事実です」

「エコ。そや、お前は長生きしているんだっけ。元はエルフだし」

「いえ、途中(・・)からですけどね。でも、世界が変わったことは理解していますよ。私はずっと見守っていましたから」


「ふむ……。だとしたらさ、【スターダスト】を集めればいいじゃね。それで『天帝』ってヤツを消してもらうとか、元の世界に戻すとか願えば……」


 その方が早いと俺は思うけどね。

 だが、サイネリアは首を横に振った。


「無理でしょうね」

「なぜだ!」

「その【スターダスト】は、別名を『女神の涙』といいますの。ある偉大な女神が残したものですけれどね。わたしたちも散々探しましたけど、見つかりませんでしたわ」


「いや……この国にふたつ(・・・)あるぞ」



「…………はい?」



 サイネリアは、ポカンとしていた。想定外だったらしい。


「ひとつは女王様のとこ。もうひとつは大会の優勝賞品だったよ。まだ送られて来てないけどな」

「はぁぁぁぁ!? そんな事ってありますの……ネメシア、どういうことですの」



「あははは……ごめんなさい、サイネリアさん。わたしも元々は【スターダスト】を探して旅に出ていたつもりだったのだけど、この聖女・ヘデラと出逢ったの。それから、ふたつ見つかった。もう希望はそこにあるの」



「そうでしたの……。さすがですわね。――となると、あとひとつ(・・・・・)ですのね。なるほど、これも『フォーチュンの導き』でしょうか」


 フォーチュンの導き? なんだそれ、うまいのか?

 でも、ネメシアは(うなず)いていた。どういう事だろうか。


「そう、あとひとつ見つけ出せば、元の世界に戻せるかも……でも」


 あれ、ネメシアのヤツなんだか悲しげだな。う~ん、なんかギコチナイっていうか、ソワソワしているっていうか。


「ネメシア、俺は世界を正常に戻したい。俺は断片的ではあるけれど、記憶を取り戻しつつあるんだ。今も大事だけど、かつての仲間たちも取り戻したいんだ。我儘(わがまま)ですまない、でも、そうしなければ俺は前へ進めない気がするんだ」


「――――――」


 顔をそらすネメシアは、やっぱり悲しそうだった。

 ……どうして、そんな顔をする?


 今の俺には、彼女の気持ちが理解できなかった……くそっ、俺のアホ。いや、違うな、理解してあげようとしてないだけだ。



 考えろ。


 俺の頭の中には、脳味噌(のうみそ)が詰まっているだろ。



 ない思考でもいいから、巡らせろ。



「…………」



 ――――うん、わからん。



「ネメシア……答えが出なかった」

「うああああああああああああああああん、ヘデラのアホおおおおおおおおおおおおおお…………!!!!!」



 ネメシアは走り去った。



「えー…」



「ヘデラ、ネメシアを泣かせた」

 トーチカは、いつも以上に虚ろな目で俺を見つめた。ヤメテ!


「これはヒドイですね~。あれでは、乙女心ズタズタでしょう」

 あの猫でさえ引いていた。てめーはあとでシャミセンスペシャルコースだ。



 クソ~、やっちまったなぁ俺。

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