第262話 夜襲 - ヘンタイ貴族を撃破せよ!! -
敵はいきなり現れた。
「う、迂闊だった……」
「だが、いい。スターゲイザーに繋がるヤツだからな」
そう、現れたのは丁度、トーチカに教えてもらったばかりの例の貴族だったのだ。そいつは、トーチカを尾行し、やって来たのだ。ていうか、正体バレれてんじゃねーよ、トーチカ~~~!!
「フッフッフッフッフ……。久しぶりだな、聖女よ」
「黙れ、ヘンタイ貴族! というか、そのバレリーナみたいな衣装はなんだ、気色わりぃ!」
ふくよかな男は、毛むくじゃらの全身を純白のバレリーナ衣装で身を包み、俺を睨んでいた。……おえええええええええっ!!
「…………う、わたし、ちょっと気分が」
顔面蒼白になったネメシアが、パタリと倒れた。
「ネメシアアアアア!! くそ、よくもネメシアを!!」
「これか? これは、私の真の正装でねェ……!」
「キモイわっ!! 近寄るな!」
「そうはいかん。聖女……いや、お前よりも先に『女神』をあのお方に献上せねばらん。お前の後ろにいる、その変わった髪の女を渡してもらおうか……!!」
ネメシアを?
ふざけるな、コイツは俺の大切な仲間だ。いや、それ以上の存在だ。俺はあのゴータマ戦で少しだけだが、記憶を取り戻した。
だから今なら、ネメシアがいかに大切な存在か分かる。
コイツは俺にとっての――。
「アレクサンドリア! いや、長いので……改めてヘンタイ!! 貴様にネメシアは絶対に渡さん。逆に、スターゲイザーの内部情報を洗いざらい吐いて貰おうか!!」
「フフフフフフフ…………よかろう」
「だろうな、断ると――――へ? いいんかいっ!!!」
「ああ、その女神を黙って渡すのならばな……!」
「そういう事か。ならば、お前は俺の敵――ゴミ野郎だ!」
もう会話を交わす必要もない。
徹底的にボコったら、徹底的に吐かせる。それだけだああァ!!
俺は貴族へ突進していく。
「トーチカ!! ネメシアは任せたぞ!!」
「ラジャ」
敵はどんな能力を持っているか分からん。とりあえず、家にいるのは危険だ。だから、外へぶっ飛ばす――――!!
『――――――オートスキル任意発動!!!!!!
パニッシャートライデント!!!!!!!!!!』
助走をつけ、俺は思いっきり槍をブン投げた。
「なにいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!! いきなり槍が現れただとおおおおおおおおお!! だがああああああッ!!!!」
あのクソ貴族、俺の槍を素手で……掴みやがった!!!
だが、俺の槍の衝撃は凄まじく、敵は外へ吹っ飛んでいった。
まだ本調子じゃないのか、俺。
たいしたダメージは与えられていないな。しかし、なんて野郎だ。ただのヘンタイではなかったか。伊達に秘密結社に所属しているわけではないという事か。これは、一気に畳みかける必要があるかもしれん。
「にゃー」
「エコ!」
「ヘデラ様、私も補助いたします」
「助かる……振り落とされないよう、頭にしっかり掴まっていろよ!!!」
夜の外へ――!!
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