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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第四章 未来

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第256話 最強聖女 - フォーチュンの加護を受けし者 -

 決勝戦の最中、あのウェイトレスが『覆面』を脱ぎ捨てた瞬間、ネメシアがかつてないほど驚愕していた。目が飛び出ているぞ……それほどか。いや、確かに俺もあの素顔にはビックリしたけれど!



「てか………………誰?」



 俺がそうポツリとつぶやけば、司会が叫んだ。



『お~~~~~~っと! これは意外すぎた!! 今回は出場しないと思われていた……世界最強(・・・・)を欲しいままにした連勝無敗(・・・・)の『聖女』が登場です!!』



「え……まじ?」

「そうみたいですよ、ヘデラさま。あのウェイトレス、つまり『チャンピオン』みたいですよ」


「おいおいおい!! 俺はそんなのと戦っていたのかよ!!」



 てか、ネメシアはなんであんなに驚いた?



「おい、ネメシア。この超絶綺麗な銀髪ポニーテールのウェイトレス、知り合いか? めちゃくちゃ美人だし、ぼいんぼいんだけど。てか、ちょっと……いや、だいぶ俺に似てるな!?」


「………………」



 しかし、聞いてもネメシアは口をあんぐりさせるだけ。

 そんなにショックなのか!? てか、ショック受けすぎだろ。なんか絶望的な顔しているぞ。彼女の中でいったい何が起きたのか……。


 こりゃしばらく意識が戻ってこないな――とか思っていたら。



「……………お母さん(・・・・)



 だらんとした声で、ネメシアはそうウェイトレスを呼んだ。


「お母さん……? おい、ネメシア。あの女性(ひと)まさか……」



『司会である私が紹介しましょう!!

 この覆面いえ、ウェイトレスは――『フォルトゥナ』様だあああああ!!!!! 正真正銘の『聖女』であり、偉大な【フォーチュン】の加護を受けし者です!! かつて世界を救った、あの聖女さまです!!」



「なにィ――――――――――!?」



 情報量が多すぎる!!!

 誰かこの状況を整理できるヤツがいたら、ぜひ頼む!



 これ、どういうこと!?



「お久しぶりですね、ネメシア。ずいぶんと大きくなった。ですが、あとでお尻ペンペン3000回です。覚悟しておきなさい」



「いやああああああああああああああああああああッ!!!」



 絶叫し、取り乱し、滝の涙を流すネメシア。

 あー…あの親しげな感じ、母親ってのは本当らしいな。



「で、あんた……『フォルトゥナ』だっけ。……あれ、なんか、この名前……懐かしいような……いや、そんなわけないか?? ……ま、まあいい。ネメシアとの関係は分かったけど、なんで素顔を(さら)したんだ」



 なんて聞くと、ネメシアの母親は頭を深く下げ――



「……わたくしは『フォルトゥナ』です。どうか、あなたのお名前をお教え戴きたい」



 自己紹介をしてきた。……うわ、イメージ通りに礼儀正しい。あれが真の聖女の風格ってヤツか。姿勢も凄くいいし、只者じゃないぞ。って、そりゃそうだけど。



「俺は『ヘデラ』です。あそこで泣きまくってるネメシアとは懇意(こんい)にさせてもらっています!」


「……なるほど」


 ――と、フォルトゥナは(うなず)き、なにかを勝手に納得した。

 なにを納得したんだ。



「ヘデラ様、あなたはネメシアが好きなんですか」

「え……」

「どうなんですか。はっきり言って欲しいのです」

「いや……好きも何も、彼女のおかげで俺は今がありますから……当然好きです」

「そういう意味の好きではなく、恋とか愛の方です」


 こここ恋!? 愛!? ちょ、まて、まてまて。このネメシア母は何をおっしゃっているんだ。いかんでしょ、仮にも母親がそんな発言しちゃあ!


 だけど、けれども――ここは正直に気持ちを打ち明けるべきじゃないだろうか。だって、このままだと俺殺されそうだし。



「……お耳をいいですか」

「いいでしょう」


「ネメシアのことは……だ、大好きです」


 ――と、ネメシアには聞こえないように最小限のボリュームで伝えた。



 が、



「ネメシア~~~! このヘデラって娘、あなたが大好きですって~~~!!」



 とか大声で言いやがった。



 オ~~~~~~~~~~~~~~イ!!!!!!!



「あ、あんた! 何を!!」



 むかついて俺は『レンブラント』を投げた。

 しかし、手のひらでそれを(つか)まれ、クシャクシャに丸め込まれ捨てられた。



「ちょ……俺のスキル、紙屑扱いかよ……」



「さて、無駄話はここまでにしましょう。ヘデラ様、あなたを一撃で(ほふ)って差し上げます。いえ――わたくしの愛の重さを思い知らせて差し上げます」


「――――え!?」


 なんのこっちゃと思っていると――



『奥義!!』




 まず……また、あの奥義を!?




『――――覇王龍星拳!!!!!!!!!!』




 違う。今度は別の奥義だ!! いくつ奥義あんだよー!!



「くそおおおおおおおおおお!!」


「ヘデラさま、まだ諦めてはなりません!! これを!」



 エコ!!


 それはネメシアがくれた最後の『SPGミナギール』と『スキルポイントが1つ増える不思議なドリンク』――!!



 俺は超特急でそれを服用した。




『…………ぶふぁぁ!!! まずうううううううううううううううう!!!!! うええええええええええええええええええ!! うああああああああああああああ!?』




 ――なんか様子がヘンだった。


 あれ…………おれ。


 なんか全身が…………まっくろに。



「にゃ!? ヘデラさま……これはまずい! 私は退避をををを!!!」



【 ―――― 聞こえるか ―――― ではない ―――― 】



 え……誰。



【 ―――― 聞こえるか ―――― 思い出せ ―――― 】



 あー…前にもこんな事あったな。あれは『おでん』の時の――。



 俺は……なんか、力がバキバキにみなぎってきていた。

 スキルもひとつ覚えた。



「…………」


「やはり、あなたは……【理】(ことわり)なのですね」




 ネメシアの母親がなんと言っているかもうワカラナイ。


 トニカク、ブッタオサナキャ――う……まて、意識を持ってかれる。どこに?




 ――――【コトワリ】――――




「ぐぅ……!!」


 気合で意識を引き戻し、俺は向き直った。


「ぁ…………くそ、全身真っ黒……そうか、これがネメシアが前に言っていた『暴走』の正体か……くそがああああああああッ!! こんな不気味なものに俺を取られてたまるかってーの!!!」



 今は勝つことだけに集中しろ。


 俺だって聖女だ! こんな悪魔みたいなもの屁でもねぇ!


 何より、ネメシアの為に勝ちたいんだああああああああああ!!



 今この状況なら出来る気がする。

 体がそうしろと言っている。だったら、やれよ、俺。栄光を掴むために!!!




『オートスキル【血の煉獄】――――――!!!!!!!!!』




 相手の奥義に反応し、それが発動した。


 これは『ほーりー☆くろす』――いや、それを上回る火力だ。紅い炎が勝手に燃え盛り、勝手にフォルトゥナの方へ向かっていた。


 なんて濃い血の炎、肌に感じる程の猛炎。



 なんだ……俺にこんな情熱というか、力があったんだな。なんだか、聖女のイメージとはかけ離れているような気もするけれど、どこか懐かしくて……これが本来の俺(・・・・)であったような気がした。



 力を使いすぎて意識が朦朧(もうろう)とする中、


 ネメシアの母親が何かを言っていたような――。




『おかえりなさい…………兄様』




 ――――光と血の炎が会場を包んだ。




 あー…………ドウナッタンダ。

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