第252話 聖女世界大会 - アルティメットヘルレーザー -
待機所でひと悶着あったが……『聖女コンテスト』は始まった。
『レディ~~~~~~ス&ジェエエエントルゥメエエエエエエエン!!』
司会のテンション無駄に高いなオイ。
とんでもねえ巻き舌だし。プロだな。
「さあ、いよいよ『聖女コンテスト』改め……『聖女世界大会・コメット』開幕だ!! この戦いは各国『パロブ・サンディエゴ・ホセ・フランシス・ステラ・パウラス・ホアン・ネポムセイノ・マリア・デイ・エロス・レメディオス・クリスピア・クリスティーナ・デン・ラム・サンデシマ・トリニダート・ルイス・イル』からの参加者もいる! まさに『世界』ってことだ――」
司会はそこで腕を掲げた。つーか、よく各国の名前を噛まずに言えたな!
「真の『聖女』の称号はこの戦いを勝ち抜いた者……一名のみに与えられる。さあ、心の準備はいいか! つかみ取れ!! 天上天下唯我独尊聖女を――!!」
おいおい、めちゃくちゃだなぁ。
一方、会場は……
『『『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!』』』』』
すげえ盛り上がってるー!!
「では、【第一試合】を始める!! 『パウラス』出身、恐怖のゴースト飼い女……! 『アルセイス』! 対するは……『マリア』出身、覆面ウェイトレスの『匿名希望さん』です!!」
どうやら俺は当たらなかった。
てか、あの『覆面ウェイトレス』は匿名希望なのか……覆面だけどさ。
まあいいか、俺の出番じゃないし。どんな試合か見守っていよう。
★ ★ ★
第一試合が終了した。
白熱した戦いとはまさにこの事か。
あのゴースト飼い女が勝つと俺は思ったんだがな。まさかの『覆面ウェイトレス』の勝利。むちゃくちゃ強かった。てか……ワンパンかよ。
最初こそゴースト飼い女が優位に立ち、一方的な攻撃を繰り広げていたが……追いつめられたと思った『覆面ウェイトレス』がいきなりヤバすぎる猛反撃。
人間とは思えない、とんでもない動きを見せ、ゴースト女を一撃で沈めていた。
てか、あのウェイトレス、戦闘民族か何かか?
で、第二、第三試合が終わり……第四ときて、やっと俺の出番がやってきた。闘技場へ向かい、舞台に立った。
「次は第四試合! 『レメディオス』出身の最強聖女『ヘデラ』! その相手をするのはな~~~~~と! ん……ふむふむ」
なんだ!?
スタッフがやってきて、司会に何か耳打ちしている。
「なんとここで緊急のお知らせです。この第四試合ですが……ヘデラ選手の相手が試合前に空へふっ飛び、棄権したため……ヘデラ選手の不戦勝です!!」
「ええええええええええええ!?」
てか、空にふっ飛んだって……まさかあの巨人女だったのか!?
おいおい、ネメシア。俺の相手を先に倒すなよ。ありがとぅ!
俺はなんとくネメシアの方へ向いた。
「…………あはは」
笑って誤魔化すんじゃね~~~!!
いやいいけどさ! 楽できたし!!
なんとネメシアを見つめていると、
「きゃー! ヘデラさま!」「あ、ヘデラさまがあたしを見た!」「ヘデラさまデートしてー!」「ヘデラさまああお慕い申しております!」「ヘデラお姉さまぁぁ!」
「なぬ!?」
なんか多数の女性から声援を戴いた。
いや、決してキミたちを見つめたわけじゃないよ、俺は。――いやでもファンがいるのは嬉しいものだ。なぜか女ばかりだけど! 男は!? あー…でも男よりは女の子の方がいいかな。
さて、戻るか。
★ ★ ★
それからも試合は続き……早くも俺の出番が再び。
「はやいなぁ。よ~し、行くか」
体を慣らして、俺はまた舞台へ。
「次は第十五試合目……最後です! これが終わると準々決勝となります。では、いきましょう。
『レメディオス』出身の最強聖女『ヘデラ』! その相手をするのはな~~~~~んと! 『トリニダート』出身、鬼女……『サクラ』だあああああ!!」
ああ、あの『燃える鎖』の!
今も尚、サクラとかいう鬼女は鎖を纏わせているというか、浮かせていた。その鎖はメラメラと常に燃え続けていた。しかもその鎖を使い、歩行もしていた。こわっ!
「おいおい、その『鎖』すげえ便利だな」
「よろしくやえ~。ヘデラはん」
「それでは――試合開始!!」
試合開始のゴングが『カンカン』と鳴った。
……はじまった。ついに試合が。
俺と鬼女……サクラとの睨み合いが続く。俺もあいつも出方を伺っている。だったら俺は……先に動く! 先制攻撃あるのみ!
ヤツとの距離を取りつつも、俺は構え、スキルを発動した。
「――――――レンブラント!!」
『SPG2』と消費も少ない低燃費の聖属性魔法スキル。
これなら何度かは使用ができる。
しかし、サクラは鎖で俺のスキルを払いのけ、更に炎を爆発させた。
「うわっ、なんだこのエクスプロージョンみたいな大技……! くそ、熱いな」
飛び出した『鎖』が円の形になり、その輪から炎が飛び出してきた。
「円環の炎――――――やえ」
「げえ!! んなのアリかよ」
やべえ、あの輪いっぱいの炎が押し寄せてきやがる。俺は『水属性魔法』とか使えないから消火は出来ない…………ん。そうか、目には目をってな。
俺の『SPG』は現在最大【6】ある。さっきの『レンブラント』で【2】を消費して、残り【4】だから……これが使える」
【クローチェ Lv.1】……聖なる猫を召喚する。SPG4消費
「クローチェ発動! こい、エコ!!」
『要請を受諾いたしました!! 召喚に従い、私ここに参上いたしまする!! レッツ、にゃー!』
「よし、エコ来てくれたか! 語尾の掛け声はスルーさせてもらうとして、いけええええエコ!! お前の最強兵器『アルティメットヘルレーザー』をお見舞いしてやれえええ!!」
「え?」
「え?」
「あの、ヘデラさま。私のビームはそんな陳腐な名称じゃありませんけど」
「陳腐とかいうな!! いいから撃ってえええ!! 早くせんと燃えるぞ!!」
「その前に『ちゅぅ~るぅ』ください!」
「あとで食いきれんほど食わせてやる!! だから!!」
エコは目をかつてないほど輝かせると――
『アルティメットヘルレーザー!!!!!!!!!!』
って、やっぱりその名称じゃねえええええええかああああああああああああ!!!!
『――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
いつもの三倍は威力のあるビームというかレーザーが炎を圧倒し、敵を駆逐した。会場の皆様を少し巻き込んだが、許せ!! まあ幸い、死者は出ていない。奇跡だな。
「選手戦闘不能および場外! 勝者……ヘデラ選手!!」
……勝った!
これで次は『準決勝戦』だ。
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