第241話 奴隷解放 - レメディオスへ帰還せよ -
貴族の『奴隷』だった四人の女の子たちは解放した。
というよりは、ラナンが請け負ってくれることになった。
「では、女の子たちはこちらでお預かりしますね」
「ああ、頼んだ。俺たちは目的も果たしたし【レメディオス】へ帰るよ。ラナンはもうそのままお城へ戻るのか?」
「ええ。僕はいったん城へ戻ります。
【秘密結社】に繋がる大きな収穫こそはありませんでしたが、【闇オークション】なるものを見過ごすわけには参りません。しかも、『奴隷』の売買を行っていたなんて……これについて王へ早急に報告したいと考えています」
「分かった。その元奴隷のコたちも頼んだぞ」
「はい。お任せください。……ではヘデラさま。どうかお元気で。またどこかでお会いしましょう」
「うん。また遊びに来るよ。あのスケベジジイが居なければな」
「あはは……。では、ネメシアさん、トーチカさん、あと猫さんも。またいつか」
王子は礼儀正しくお辞儀をし、元奴隷の四人を連れてこの場を去った。
「行っちゃったね」
少しは名残惜しいのか、ネメシアがそうつぶやいた。
「なんだ、ネメシア。ラナンに惚れていたのか? まあ確かにイケメンだしな~」
「ち、違うわよ! どうしてそうなるの。短い間だったけど、同じパーティだったじゃない。あと、ここまで良くしてくれたし」
そうだな。それは確かだ。
王子が――ラナンがいなかったら【建築スキル】は決して入手できなかった。
「よし、帰るか」
俺たちの王国【レメディオス】へ。
★ ★ ★
また例の秘密の通路へやってきた。
まーたいるよ、あのジジイ。
「どうしたの、ヘデラ。あたしの後ろに隠れて」
「すまん、トーチカ。お前を盾にはしたくないんだが、この場所では許してくれ」
「うーん。分かった。ヘデラのためならいいよ。じゃ、あたしが守ってあげるね」
エエ子や。さすがネコミミメイド。いや、トーチカさま!
俺を本気で守ってくれるようだ。最強のボディガードである。
「うう……ジジイ、こっちみんな」
「…………ほ~ぅ。今回は頼もしそうなメイドの影に隠れるとは……じゃが、詰めが甘いの」
「なに!?」
「ワシは今はこの白黒のお嬢ちゃんのお尻の方が興味があるのじゃ!」
カッと目を見開くジジイは、先行していたネメシアのお尻に触れていた。
「キャアアアアアアアアアアア~~~~~~!!!!!」
でまあ、ネメシアはスゲェ叫んだ。なんつー絶叫。
あんな大声も出るモンだなぁ。
「お、おじいちゃん何するの!!」
ネメシアはジジイを一本背負いで投げ飛ばす。『ブォ~ン』と凄い勢いで飛ばされて、ジジイは地面に仰向けに倒れた。
「ぎょほっ!!」
ざまぁない。自業自得だ。
ていうか、ネメシアのヤツ、腕力あったんだなぁ。いや、火事場の馬鹿力かな。
「今のうちにいくぞ。クソジジイと遊んでいるヒマはねーんだ」
俺はトーチカの後ろに隠れながら、通路を歩いて行く。
だが……魔の手が忍び寄っていた気配がした――!!
うわ、あぶねっ~~~!!
あと少しのところで俺の尻に触れられるところだった。
「チッ……」
「チッじゃねーよ! ボケ!」
俺はジジイの顔面を踏んづけた。
「どぶっ……!!」
グリグリと今までの分をお返ししておいた。
だが……。
「ひゃひゃひゃ! こんな絶世の聖女さまから踏んで戴ける! この人生で最高の瞬間じゃ!! ハッピーじゃあ! みんなに自慢してやろっと!! ついでに、パンツは『黒』かぁ! かぁ、なぜ『白』とか『桃』じゃないのか、まったくそこは減点じゃなあ」
ジジイのヤツ、めちゃくちゃ喜んでいた。
うわっ……目がやべーし、気色わるっ。
「………………」
「おぉ! なんという蔑視。そんな蔑むような目で見られては……ビクンビクン!!」
だめだ、このヘンタイジジイ……もう手遅れたッ!!
「行くぞ、みんな」
「なんじゃ、つれないのぉ~。じゃが、気を付けい……秘密結社は動き始めておる。そして、お前たちを見えぬところから常に監視しておるだろう。油断はするんじゃないぞう」
「そうか、そりゃヤベーな!」
俺はゴミクソジジイの忠告を特に気に留めず、その場に捨て置いた。
そして、秘密の通路から出た。
……やっとあの魔の通路を抜けた。
頼むから【クリスピア】よ、『鎖国』をやめてくれないか……切実に。
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