第239話 血と汗と涙の結晶 - 聖女の荒稼ぎの秘密!! -
ここまで本当に苦労した。
【闇オークション】なんて物騒すぎるものに参加した挙句、悪趣味貴族との入札バトルが勃発。
激しい応戦を繰り返した。
こちらの資金は圧倒的に不利だったが、仲間の資金提供もあり、俺は無事に勝利を得た。
「これが【建築スキル】の『パープルスター』か」
どうやらスキルは、星の形をした紫色の結晶に閉じ込められているらしい。それをセットすれば使えるようになるんだとか。
「これが【31,420,000セル】かぁ、高いなぁ」
「いいじゃない。それで王国を救えるのなら安い買い物よ~」
ポジティブ思考のネメシアは、手をヒラヒラさせてもっともらしいことを言った。さっきはあんなヤバイ顔をしていたけどな。
そこで、エコが俺の肩に乗ってきた。
「しかし、ヘデラさまが【10,000,000セル】をお出しになられるとは。そんな資金、どこから拠出されたのですか?」
「あー…それな。実は……ネメシアに緊急で協力してもらってな……」
思い出したくもない。
出来れば、あの過去はもうなかったことにしたいくらいだ。協力してくれたネメシアも顔をほんのり赤くしている。くぅ!
「ヘデラ、どうやって落札したの」
起きたのか、トーチカが目をこすりながら疑問を投げかけてきた。そんな絶妙なタイミングで起きなくても。
「僕もすっごく気になります。ヘデラさま、なにをされたのですか?」
「私も気になります!」
王子と猫もずいずいっと顔を寄せてくる。
ああもう、みんな顔が近いな。
「う……。聞きたいのか……?」
みんな、うんうんと頷く。
えー…そんな気になるかぁ。けど、これは説明しなと引いてもらえそうにない。あー、もう、仕方ないな。では、ネタバラシといこうかチキショウめ!
「……ほら、ネメシアって配信しているだろ。【ウルチャ】だよ。あれを最大限に活用したのさ。それだけのこと」
「それだけのこと? あやしい」
ずいっとトーチカも顔を近づけてくる。
うわっ、息が掛かってるって。近い近い。もうちょいでキス寸前だぞ!?
「ヘデラ、みんなにきちんと説明しないと、納得してくれそうにないわよ」
「そうは言うがな、ネメシア……。ああ、もう分かったよ。説明するよ。みんな、実はな……ネメシアの配信を使って、俺は……少し、いやちょっと……ギリギリで胸とか……やらしいポーズを映してもらったんだ」
そしたらどうだ。
【ウルチャ】のジェットストリーム。ネメシアいわく、もはや、荒らしではないかと思えるくらいに、投げ銭一色に染まったようだ。勢いはまったく衰える気配がなく、その結果が【10,000,000セル】だった。
だから――『血と汗と涙の結晶』というわけだった。
あー……。
すげぇ恥ずかしかった……なんで、聖女が大事な体を売らなきゃならんのだか。けどま、おかげで【建築スキル】は落札できたんだけどな。
「はぁ、なるほど。その手がありましたか。その美しい美貌、豊満な胸をお持ちのヘデラさまであれば、男性リスナーを落とすなど、雑魚モンスターを倒すよりも容易いことですね。つまり、脱いだんですね!?」
「脱いでねーよ。胸元をちょっとチラっと出しただけだ!」
そう、下着がギリギリ映るか映らないかで何とか攻めた。あまりに過激だと、配信が『BAN』されちゃうとネメシアがしつこいくらいに五月蠅かったので、俺は問題ない範囲で攻めたわけだ。
「ヘデラ、えっち」
「う、うるさい。次はお前が脱いでくれ、トーチカ」
「いいよ~」
「いいのかよ!?」
じゃ、次はいざとなったらトーチカのえっちなポーズに期待しておこう。下手すりゃ俺を超えられるんじゃないか。猫耳メイドだし。可愛いし。
「…………」
ん。そや、王子がなんか固まっているな。
顔を赤くして。
「おーい、王子?」
だめだ、反応ねーや。
どうやら、俺のなにかを想像していたらしい。それで、こうなっちまったと。おいおい、勝手にイメージして勝手に固まるなって。
まあ、なにはともあれ、これで王国【レメディオス】に帰って倒壊した家屋を直し、復興してやるんだ。
帰ろう。
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