第236話 スキル市場 - 建築スキルを購入せよ!! -
秘密の地下通路を抜けると、目映い光が。
その先には王国【クリスピア】の街並みがあった。
「水路が至る所にあるのね。流れる水が澄んでいてキレイ~」
「そうなんですよ、ネメシアさん。この【クリスピア】は、灌漑のために用水路が非常に発達しているんです」
ラナンはそう説明するが、
「え。かんがい……?」
ネメシアは知らんらしい。俺も知らんけどな!
なんだその隠し技みたいなの。
「解説はこのエコにお任せを!
灌漑とは、農地に水を供給するシステムのことですよ。ですので、【クリスピア】は農業に力を入れているってことです」
「なるほど。へえ、道理で、水路の他に畑とかも広がっているわけだわ~」
俺もネメシアもシンクロして頷いた。
「で、ラナン。俺たちは【建築スキル】を買いたいんだが、どこへ行けばいいんだ?」
「そうですね。それでは、市場がありますので案内しますよ」
★ ★ ★
スキルが売買されているという、市場へ向かった。
その場所に近付くにつれ、人の往来も多くなる。
ほー、『鎖国』している割には人口密度が高いな。まあ、国の中は当然か。経済も回さなきゃならんだろうし。
市場へ入ると、ラナンが、オーナーだかに問い合わせに行った。
――しばらくして。
「……みなさん。お待たせいたしました」
「どうだった!?」
「それが……。スキルは、もう無いみたいなんです」
「ない!? おいおい、この国あったんじゃなかったのかよ」
「ええ。昨日までは在庫があったみたいです」
「昨日か……。一歩遅かったか」
どうやら、誰かが買ってしまったようだ。
「ちなみに、売値はいくらだったとか聞いたか、ラナン」
「はい、一応聞いておきました。オーナーによると【1,500,000セル】ですね」
「ひゃ、ひゃくごじゅうまん!? たけぇか分からん」
スキルの相場とか知らないんだよね。
「ヘデラさま。一般流通しているスキルでは、高額な方ですね」
「そうなのか、エコ」
「はい。もちろん、スキル需要が高まれば、高騰する場合もありますけどね。今回は、そのようなケースだったのかもしれません」
タイミング悪し。
運が悪かったな。
「うーん。困ったな。せっかく隣国まで来たのに……徒労に終わるのかよ」
「いいえ、まだ諦めちゃダメです」
「え、ラナン?」
「実は、オーナーから有力な情報を戴きました」
「有力な、情報だって?」
「ただ……参加するなら、相応の覚悟は必要です」
尋常ではない汗をにじませるラナンの顔色は、決して良くなかった。おいおい、そんな血相を変えるほどの『有力な情報』って……。
まさかな?
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