第222話 最強のナックルダスター - URの武器を手に入れた!! -
あの青年のことは一旦忘れ、邸宅へ戻った。
それから直ぐに風呂に入って体を温めた。
「ふぅ……あったかい。風邪を引くところだったぞ」
「そだね、まさかヘデラが噴水に落ちるなんて。おっちょこちょいなところもあるんだね」
「ネメシアさんや、一応聞いておく。ちなみに俺のずぶ濡れシーンは……」
「あ、それね、なんか【レッドスター】の貢物の方が多かったわよ」
「ん? 【レッドスター】~? なんだそれは」
なんて疑問符を頭上に浮かべていると、
「それは私が説明しましょう~」
「あ、エコ。いたのか」
「いましたとも。私はこう見えて綺麗好きでしてね。まあ、それはいいとしまして――【レッドスター】ですが、これは『10個』集めるとレアガチャが引けるんですよ~。さっきの『噴水』あったじゃないですか。そこです。あそこに投げ入れると、ガチャれるんですよ~」
あの場所かよ!
俺が落っこちた、あの噴水。
ああ、そうか。
なんか赤いモノが落ちてるなと思ったんだよな。あの正体が【レッドスター】だったとはね。つーか、あれ、ネメシアの髪飾りについてるも同じヤツだ。
「へえ、ガチャると何が出るんだ?」
エコに聞き返すと、風呂の中から人影が現れ――
『ジャボーーーーーーーーーーーーン!!』
トーチカが現れ、俺に抱きついてくる。
「うわ! トーチカ! 風呂の中で泳ぐなッ」
「ごめんなさーい。ちなみにね、【レッドスター】は武器とか防具が出るよ。あと、たまにヒトとかモンスター、爆弾とかゴミとかハズレも出るよ」
なんだか、そう聞くとレアアイテムが出る気はせんな。0.125%とかそんな確率になっているんじゃなかろうな。てか、爆弾って……これがホントの爆死ってか。いや、死ぬわ。
「じゃーん、これ」
急に何かを見せびらかしてくる、ネメシア。なんだ、自慢か?
「なんだそのナックルダスターみたいなやつ」
「うん。これはね【アパッチ・ナックルダスター・リボルバー】っていう、超レアアイテムよ。レア度で言えば『UR』。つまりウルトラレアね」
「へえ、見た目はただのナックルダスターにしか見えないけどな。しかも、左右ちゃんとセットなんだな」
「これね、こうすると――」
ナックルダスターを、カチャカチャと変形させるネメシア。するとそれは――おお、なんだって……!
「ほら、凄いでしょ。『銃』にもなるし『ナイフ』にもなるの」
「カッケエ。それ、ガチャで出たんだな」
「うん。実はさっきこっそりね。これは売っても高いわよ~」
売却を考えているらしい。
いや、まてよ。
「これは、トーチカにプレゼントでいいんじゃないか」
「あーうん。もちろん、扱える人がいるなら、それでもいいわ。トーチカ、使ってみる?」
「…………」
トーチカは、なぜか無言つーか、目を星のように輝かせていた。いや、目が星になっていた。紛れもなく星だ。……うわ、めちゃくちゃ欲しそう! 喉から手が出るほど欲しそうだ。
これは決定だな。
「ネメシア、いいの〜?」
「うん、いいわよ、トーチカ。これはあなたのモノよ」
「ありがと、ネメシア♪」
ネメシアから【アパッチ・ナックルダスター・リボルバー】を受け取るトーチカ。顔が赤いし、とても嬉しそうだ。ま、トーチカの装備が強化されたわけだし、なにひとつ損はない。
「ねえねえ、試し撃ちしていい?」
「いいんじゃないか。外へ向けてやるんだぞ」
「はーい!」
クルクルと器用に二つのナックルダスターを変形させ、トーチカは『銃』モードで構えた。へえ、指銃よりもカッコイイじゃん。なんか、ガンマンみたいだな。――あ、みたいじゃなくて、ガンスリンガーだったわ。
さて、見せてもらおうか……
新装備になったコックガンスリンガーの実力とやらを!
『ドドドドドドドドーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!』
………………へ。
なんか、ミニガンのようなヤベェ連射をしていた。
うぉい! とんでもねえ連射力じゃねーか!
ハンドガンの連射力じゃねぇ~~~~~~~~~!!!!!
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