第220話 超緊急クエスト - 大量のゴブリンを討伐せよ! -
それは唐突に起こった。
『ドドドドドドドドドドッ!!』
「何事!?」
なにやら『城門』の方から、只ならぬ地響きが。
「ちょ、あれ、モンスターの群れよ!?」
「む、ネメシア。分かるのか」
「ええ、わたし、『ホワイト』を空に展開しているから、そこから観測したわ。アレは『クラウンゴブリン』よ」
「クラウンゴブリン? なんだ、王冠でもつけてるのか~?」
目を凝らしていると、
「違う。道化師のほうだよ、ヘデラ」
「ああ、ピエロか。ないす補足、トーチカ。……って、なんかピエロみたいなゴブリンが大量に向かってきとるー!!」
===== !!WARNING!! =====
【国の存亡を懸けた討伐】
【通常モンスター『クラウンゴブリン』 1500体 を 討伐せよ!】
【報酬期待度:☆☆】
===== !!WARNING!! =====
「は……ちょいまてコラ。なんだよ『1500体』ってよ! 多すぎるだろ……!」
「ヘデラ、どうするの。さすがにあんたの【ほーりー☆くろす】でも倒しきれないんじゃ……」
「ああ……俺の【ほーりー☆くろす】は『Lv.1』で、有効レンジが1000体まで。ゴブリンは、その数を上回っているからな。けどま、連射すればいいだろ」
「いや、無理でしょ。SPG足りないんじゃ」
「え、SPGなんてあんの! そや、この前から回復はしてないな……げ! 俺、SPG空じゃん。どうしよ。これじゃ、スキル発動できない」
「ちょ……やばいって!」
「ネメシア、お前の『ホワイト』は攻撃は出来ないのか?」
「出来ないこともないけど……うーん。仕方ないわね。消費SPGが膨大だから、あんまり使いたくなかったのだけど」
あるにはあったのか。
「じゃ、いくわよー…」
すぅ~っと息を吸って、ネメシアはスキル『ホワイト』を力強く発動、自身の背後に大きな穴を展開した。そして、それを放った。おお、すげえ。
「ホワイトアロー!!」
複数の矢を【ホワイトホール】から放っていた。
いや、ありゃ矢の雨だぞ!
『ホワイトアロー』は弾丸に匹敵するスピードで、ゴブリンたちへ襲い掛かり、かなりの数を倒した。ナイスゥ!
「やったな、ネメシア。お前やれば出来るじゃないか!」
「それほどでも~♪」
えっへんとネメシアは胸を張った。うん、マジでよくやった。……けど、ゴブリンはまだそこまで減っちゃいない。
「任せて!」
「お、トーチカ!」
野菜を食い終えたトーチカが猛スピードで走っていく。足はええな。
ダブル指銃で魔弾を乱れ撃ちし、ゴブリンを次々と倒していく。へえ、なんかシューティングみたいで楽しいな。
しかし、ゴブリンは次から次へとやってくる。キリがねぇ!!
しかも、
「まずい! 子供が取り残されているぞ……! トーチカ!」
「イエッサー。任せて。子供を救助する」
ぴょーーーんと飛び跳ね、一回転。いや、十回転以上はしたか。トーチカは、一気に子供の地点に移動した。はやッ!
子供を抱えつつ、トーチカは片手で魔弾を撃ちまくる。いやぁ……なんつーか、戦う猫耳メイド――かっけええな。俺女だけど、惚れそうだ。
「よくぞ戻った、トーチカ」
「楽勝。けどもう、残弾が……。はぁこれだから、【拡張マガジン】が欲しいんだけどな」
「へえ? それがあれば、もっと魔弾を撃てるのか」
「うん。でもね、【拡張マガジン】スキルは取るのが大変でね。あとお金も掛かるし」
「分かった。今度検討しよう」
「ほんと? やった、ヘデラ好き♪」
そうトーチカは抱き着いてくる。
猫耳メイドの『コックガンスリンガー』……まさかここまで強かったとはな! パーティに迎え入れて正解だったな。
「だが、これでも全滅ならずか。ネメシア、SP回復アイテムとかないのか?」
「あ……そか。忘れてたわ!」
「あんのかよ!?」
ネメシアは『ホワイト』に手を突っ込み――
「SPG回復剤の『SPGミナギール』~♪」
俺はそれを即奪い、蓋を開け――飲んだ。
「ああもう説明させてよね~! それはね――」
「いや、説明いらんだろ。それより、SPGが全回復したぞ。これなら!」
俺は構え、そして、
「ほーりー☆くろす――――――!!!」
『ドドドドドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!』
空から一斉に『光の十字架』が落下するや、クラウンゴブリンは塵となった。
【 クラウンゴブリン 1500匹 討伐完了! 】
= リザルト =
【 6,660 の 経験値 を 獲得しました 】
【 19,800セル を 入手しました 】
【 ゴブリンのツメ × 1230個 を 入手しました 】
「いいね。今回はウマウマだな」
「お疲れ、ヘデラ。やっぱり、あんたは最強の聖女ね」
ドロップしたお金と収集品を『ホワイト』に突っ込みながら、ネメシアは褒めてくれた。そや、それストレージになるんだよな。便利だなーホント。
「そうか。あんまり実感ないけどな」
「ううん。あれが証拠よ」
そう、ネメシアはどこか指刺す。その方向に――
「うわ、街の人たちがたくさん!」
「子供をありがとー!!」「すげえよ、聖女さま!」「あんたたちはヒーローだ!!」「聖女さまバンザーイ!!」「スライムもゴブリンも倒してくれるなんて!」「あの三人がいれば、この王国は安泰だな」「聖女さま、好きだー!!」「俺は、あの白黒髪の女の子がいいなぁ……」「え、おまえ、そこは普通、猫耳メイドさんだろ」
……などなど、すごい大盛り上がりだった。
うわ、こりゃビックリだ。
あ、そっか。
前のスライムの時はすぐに移動しちゃったし、人々も逃げ惑っていたからな。そんな余裕はなかったわけだ。
しかも今回は、街への被害もゼロ。完璧な討伐だった。
「よし、みんな帰るか」
「「おー!」」
……アレ。
なんか忘れているような。
まあいいか!
いつも応援ありがとうございます。
もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。




