第214話 女王様、巨人になられる - 秘密結社の謎 -
ビキニアーマーのアマゾネスに取り囲まれた。
その人数、百を優に超えた。多すぎ!
なんという肌色。しかも、どのアマゾネスも美人揃い。壮観すぎる……俺がもし男だったのなら、かなり嬉しい光景だった。しかし残念ながら、今の俺は『聖女』なので、これっぽっちの魅力も感じない。
いや、それよりだ。
アマゾネスたちが激怒している。俺が女王様をクシャミで吹き飛ばしたからだ。
「よくも女王様を吹き飛ばしたな! この反逆者め!」
「いやだから、わざとじゃないってば。たまたまクシャミが出ちまったんだ」
「黙れ! どんな理由であれ、女王様に手を挙げた。この大逆の事実がある以上は、お前たちを重大な敵とみなす! 処刑だ! 晒し首だ!」
ぐぐっと圧が掛かってくる。やっちまったなぁ、俺。
万事休すかと思っていたら――
『まて。待つがよい。そう怒るでないぞ、パエリア』
女王様の声が聞こえた。
パエリア? ああ、あの美人アマゾネスのリーダーか。
「お……どこだ! 女王様、どこにいる! 小さくてどこにいるか分からん。頼むから、俺たちこのままだと処刑されそうだから、何とかしてくれ」
『うむ。なんとかしよう。じゃがこれではな――』
困った。
米粒サイズの女王様を探すなんて、難易度高すぎる。
しかも、俺たちは今、アマゾネスに取り囲まれている最悪な状況だ。
「うーん……。エコ、なんとかならないか」
「なぜ困った時の私なんですか……。私はひ弱な猫ちゃんですよぉ……」
「頼む」
「頼むって仰られても。もう、仕方ありませんね」
「あ、やっぱり何とか出来るんだ」
「ええ。あくまで『一時的』にですけどね」
尻尾を振るエコ。すると、魔法が城全体に広がり――
『ボンボンボ~~~~~ン!!』
なんて変な音がするや、女王様が大きく膨れ上がった。
ん――まて。
どんどん大きくなっていくぞ!
『ボンボンボ~~~~~ン!!』
「うぉい! 猫! 女王様が城の天井突き抜けて巨大化していくぞ!!」
「あ……やりすぎちゃいました、テヘッ☆」
「てへじゃねえええええええっ!!!」
「ちょ、ちょっと! ……ヘデラ、これヤバイんじゃない!」
「緊急事態……」
ネメシアもトーチカも逃げた。
「「「きゃああああああああああ!!!」」」
アマゾネスたちも突然の出来事に、大慌てで逃げ惑っていた。
『ボンボンボ~~~~~ン!!』
おいおい。女王様が百メートル級の巨人になっちまった。
「駆逐されないといいですが」
「誰にだよ! エコ、せめて普通サイズにしてくれ……」
「りょ、了解です」
★ ★ ★
なんとか女王様を普通サイズにした。猫が。
「おお! 三年ぶりにこの姿に戻れたのじゃ、感謝する。まさか、【死の呪い】が解けるとは、これはどの者の手柄じゃ?」
「あ、それ。俺の肩に乗っかってるこの黒猫のエコです」
「ほう、そなたが。不思議な猫じゃなあ」
「はじめまして、女王様」
「んなッ! 猫が喋りおったぞ。これは珍妙な。――して、このミニマムな【死の呪い】は解除されたと認識してよいのか?」
「残念ながら『一時的』です。その【死の呪い】は強力すぎて……あと数十分もすれば、また元に戻ってしまうでしょう」
「……そうか。残念じゃ」
肩を落とす女王様。
そや、普通サイズといえど、割と小さいな。トーチカと同じくらいだな。
て、そうだ、女王様の背はどうでもええ!
「女王様、とりあえず処刑の取り消しを!」
「おお、そうじゃ。アマゾネスたちは下がってよし。余の問題に口出しは一切するな。よいな」
アマゾネスたちは素直に頭を下げ、引き下がった。
なるほど、忠実なんだな。
「ほっ……。あとは本題だな。その【死の呪い】についてと【スターダスト】のことも教えて欲しいんだ」
「ほう、【スターダスト】とな。……うむ。どのみちこの【死の呪い】に直結する話じゃ。よかろう」
女王様は俺たちを見渡す。
咳払いし、話を始めた――。
「よいか、この最悪の【死の呪い】の原因……それはある謎過ぎる【秘密結社】が関わっておるのだ」
謎過ぎる【秘密結社】?
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