第210話 聖女限定補正 - 経験値もお金も稼ぎ放題 -
サポート猫のエコによれば、俺の【獲得経験値】だけ『倍率+100%』に設定されているらしいとのこと。よって、一気にレベルアップした――と、そんな驚きの説明をしてくれた。
聖女限定の補正らしい。マジっすか、経験値稼ぎたい放題じゃん! ラッキー!
「はへー…。俺、レベルもうこんなに上がったんだ」
「ヘデラすごい。残りの『ぶるぶるスライム』全部倒しちゃった。あたしなんか21体しか倒せなかったよー」
「いや、トーチカもカッコ良かったよ。あんなに野菜を食いまくって魔弾を生成するとかな。なるほど、『コックガンスンリンガー』の名は伊達じゃないってことか」
「うん。料理も得意だよ。もし冒険するなら、ごはんは任せて」
「よし、トーチカは使えそうだな。なでなでしてやろう」
「嬉しい♪」
俺がトーチカの頭を撫でていると、猫が肩に乗ってきた。
「聖女さま――いえ、ヘデラさま」
「どした」
「スライム討伐おめでとうございます。お疲れ様でした。エサをくださいにゃー!」
「なんだ、エコは腹が減ったのか。よし、じゃ朝食にすっか。いいよな、ネメシア」
だが、ネメシアは無言。
いや、顔面ブルーにして、ガクガクブルブル震えていた。
「ど、どうしたんだ……?」
「やば……」
「やば?」
「やばいわよ!! やばすぎるのよ!! 見てよこれ、すごい金額になってるの!!」
だあああああと慌てるネメシア。俺は表示されている金額を見て驚いた。
へ……?
【 合計:1,252,000セル の ウルチャ がありました 】
このたった三十分ほどで、それほどの金額になったようだ。
「すげ……。どうしたんだよ、こんなに」
「さっきの戦いでみんな大興奮だったみたい。わたしはその実況をしていたの!」
なるへそ。ライブ配信をしていたのか――っておい、勝手に!
いや、いいけどネ。
「すごい、すごいわ! ヘデラ、あんたは最高の聖女さまね!!」
嬉しかったのか、ネメシアは抱きついてきた。
「うわっ、めっちゃ甘い匂い!」
「今後も頼むわよ~、これでどんどん儲けて、わたしたちの家を買ったり――ブランドの服買ったり……優雅に暮らせるわぁ。あれもこれも買いたい放題ってわけね! あと、【星屑】ね…………って、あ、ついうっかり口を滑らせてしまったわ……」
「なに? 【星屑】? なんのことだ?」
「あー…今のなし。聞かなかったことに……」
「詳しく話してもらおうか」
「ひぃ~~~~~!!」
俺は、ネメシアが逃げられないようそのまま確保した。
「よし、トーチカ、エコ。宿屋へ戻るぞ」
「あい」「わかりました~」
宿屋へ戻ると……
ぶっ壊れていた。
……あ。こんなところにもスライムの被害が。
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