第209話 聖女の聖なる力 - 一撃必殺の聖属性攻撃 -
トーチカの指で作った『銃』から放たれる魔弾によって弾け飛ぶ『ぶるぶるスライム』共。その度にカビを周囲にまき散らし、さらに街の被害は拡大していた。
「倒してもなお面倒なヤツだな!!」
しかも、スライムはまだ大群のようにいる。
減らねー。ワラワラ現れやがって、一向に減る気配がない。まるで増殖しているのではと錯覚してしまうほどだ。
「ネメシア、お前お得意の『ホワイト』とかで何とか出来ないのか?」
「ふぇ!?」
「ふぇ、じゃない。って、お前なに食ってんだ……」
瑞々しいサンドイッチをもぐもぐを頬張るネメシア。小動物かっ! ちょっと可愛いけど、そんな場合じゃない!
「なんだ、お前もトーチカと同じ、そういうスキルがあるのか?」
「……あー美味しかった。ん? ないわよ、そんなもの」
「ないのかよ。ただ食いたかっただけか」
「だって、朝から何も食べていないんだもん。
それより、スライムを討伐しなきゃでしょ。もしゃもしゃ」
「ばくばく食ってるお前が言うな!?」
「いやー、だからね、これをあげるって。
えーっと、どこに閉まったっけな……うーん」
ネメシアは例の『ホワイト』から何か取り出そうとしていた。ガサゴソやっとるが、なかなか出てこないな。何を取り出そうとしてんだか。なんだか、こういう猫型ロボットを見たことがあるような無いような……って、俺は何を考えているんだ。
「……あ! あった! 『スキルポイントが1つ増える不思議なドリンク』~♪ これはね、飲むとスキルポイントが1つ増えるの。だからスキルが取れるのよー。すっごく貴重な激激激レアアイテムなんだけど――」
俺はネメシアの長ったらしい説明を聞く前に奪い、ドリンクを飲み干した!
クソまず!!
……おえぇ、なんだこの体中の遺伝子が爆発しそうな後味。ひでぇまずさだ。
「はやっ、もう飲んじゃったの。それで、聖女のスキル取ればいいよ」
「ナ……ナイスだ、ネメシア。けど、これはマズすぎるわ。味を変えておいてくれると助かる。まあいい、それじゃ――この【ほーりー☆くろす】にしてみるか!」
俺は【ほーりー☆くろす Lv.1】を覚えた!!
強力な聖属性の魔法を広範囲に降らすようだ。
ほー。これは強そうだな。
「じゃ、試してみるか――! ほーりー☆くろす!!」
すると……空が急に曇り始めるや否や『光の十字架』がゲリラ豪雨ように降ってきた。それらはスライムだけをターゲットにし、ホーミング。呆気なく仕留めていった。
おほー! 笑えるくらいグサグサとブっ刺さってる!!
そしてボンボンと連鎖的に爆発していくスライム共。キレイな花火だぜ。
「まじか! 一撃かよ!」
【 ぶるぶるスライム 1000体 討伐完了! 】
= リザルト =
【 3,000 の 経験値 を 獲得しました 】
【 6,200セル を 入手しました 】
【 カビ × 868個 を 入手しました 】
目の前に『リザルト』――つまり結果が表示されたから間違いない。つーか、カビいらねえええ! なんでこんな収集品なんだよぉ。売れるのかあ?
「おつかれー、ヘデラ」
ニカっと笑うネメシアのスッキリした表情に、俺はようやく実感を得ることができた。マジで倒しちまったらしい。俺が。この聖女が。
俺めちゃくちゃつえええええええじゃん!!
さっすが世界一可愛い聖女だな(←自画自賛)。
しかも、レベルも一気に【Lv.1】→【Lv.15】となった。
なんですとぉ!?
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