第204話 ウルトラチャット - え、俺働かなくていいの -
ネメシアによれば【ウルチャ】とは……
【ウルトラチャット】の略称らしい。
……うん、知らん!
そんな面妖な単語は聞いたことない。何語だよっ!
「なんだそれ」
「まー簡単にいえば『視聴者さんからの投げ銭』ね。わたしが何かしらの活動することによって、その対価っていうかノリ(?)で投げてくれるの。みんな面白がってくれるワケね。ただ、デメリットもあるけど。
例えば、若干の手数料は引かれたり。あんまり暴力的なのは『BAN』されちゃったり……なかなか苦労も絶えないのよね」
「なげせん……。温泉じゃあないよな。……あ! 投げ銭な。この異世界はそんなシステムがあるのか。へー、斬新で面白いなぁ」
でも、視聴者?
「それで、その『リスナー』つーのは何人いて、どこにおるんだ。俺には何も見えないけど」
「ヘデラには見えないよ。
けどね、ヘデラのこともバッチシ映ってるからね。うん。反応も相変わらず凄い。さっきからずっとチャットの嵐よ。【ウルチャ】もちょくちょく入ってる。――だからね、わたしに安易に手を出さないことね~大炎上するわよ~」
「あん? 俺は女ですが何か」
「あー…そうね。なんか、ヘデラは『女』って感じに思えないのよね〜。うーん」
まだ疑うか。
片目でジロジロこっち見んな。
ついてないもんはないのだから、正真正銘の『女』だ。自分で触ってみたけど、なかった。キレイさっぱり。マジで。
「でもね、ヘデラと接触してからお金がすごいの!
ヘデラってば大人気よ。世界中のみんなが注目している。すっごく可愛いからかな。いいなぁ、そのアイドル向けの容姿ならリスナーが飛びついてくるのも納得だわ。わたしが男だったら絶対に惚れてるし」
「ほー。そりゃ吉報だな。じゃ、俺がいるおかげで儲かっているわけだ?」
「うん。助かってる。だからさ、お金は自動で入ってくるし養ってあげるってば~悪い話じゃないでしょ?」
うん、確かに悪い話じゃないな。大変魅力的だ。
世の中ってーのはお金が必要だ。
お金は大事。お金がないとお腹も膨れないし、なにより遊べません。となれば、断る理由はなかった。
「決まりだな。しくよろ、ネメシア」
「交渉成立ね。しくよろ、ヘデラ」
お互い、笑顔で握手を固く交わし、契約を結んだ。
それを記念し、盛大にカンパイ。
酒を飲み干した――――のだが。
「ぶぅおえええええええええええええええ」
ネメシアがレインボーを大量に吐いた。
しかも俺の大切な一張羅……『聖なるシスター服』に。
この後めちゃくちゃ泣いた。
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