第201話 七度目の転生 - 女神さまありがとう -
展開上、理の名前が一時的に変更となります。(※そのうち元に戻ります)
時には追放された『勇者』。
時には追放された『魔王』。
あー…あとなんだっけ記憶が曖昧なんだよな。
確か追放された『テイマー』やったり、追放された『アルケミスト』にもなったけど、なんか気づいてたら終わってた。原因は忘れたけど。
そうそう……『悪役令嬢』にもなった。けど、それは二回前だな。なんかスゴく嫌な記憶しか残っていないはずなので思い出したくもない。
前回は『王様』だっけ。
でも追放されちゃったんだな~これが。王様なのにね。
残念ながら復讐叶わず、逆に拷問を受け、エグいバッドエンドを迎えような、そんな感じ。うん、たぶん。
つーか……
な ん で だ よ !
とはいえ――嘆いても仕方ない。気持ちを切り替えていこう。
ポジティブ精神は大切だ。
――で、今回ついに七度目。
おっさんの俺は人生、紆余曲折あり……、
ついに七度目の転生を果たしたのである。
次は、最高の転生になるといいな――――――。
………………。
目をパチクリさせ、意識を覚ますと『白い空間』の中にいた。真っ白だ。見渡す限りなにもない。……あれ、今までこんな何もない謎空間だったっけ。
しかも俺は『聖女』になっていた――。
デカデカと文字を記した懸垂幕があったから、間違いない。なんであんな『くす玉』風なんだよ。なんかの記念か当選かよ。
「って、聖女……?」
うわ、俺の声『女』になっとる!
自分で言うのもアレだが、なんかすっごく可愛い声だった。うわぁ、手もスラっとして……爪がピンクでキレイだ。おぉ、なんて健康的な。最高じゃん!
――って、あれ、目線が低い。背も低いかも。
うわ、なんか胸が重い。ふと視線を落とすと……
わぁ、胸があった!!
しかも、デ、デカイ……。
自分の手で自身の胸を揉んでみた。
「え。……やわらか……ホンモノかよ!」
てか、このやたら神々しいシスター服といい、なんか高級のブーツといい……なるほど、本当に『聖女』らしい。つーか、聖職者の聖女か。
へぇ~、今まで一番可愛いかも。
あれ。今気づいたけど、しかも銀髪ロング。
――などと自分のチュートリアルの大成功に驚愕していると、どこからか神々しい声が。
『気づきましたか、今度のあなたは『聖女』です。
新しい名前は【ヘデラ】――とても気高く、美しく、でも可愛い名前にしておきました』
なんだそりゃ。まあでも、変な名前にされるよりはマシか。
王様の時は『ぺけらぽー』とかいう散々な名前だったからな。おかげでまったく威厳もクソもなく――って、その話はいいや。
『それと以前の記憶は、要望通り【消去】しておきました』
いや、今消したろ!
なんかこの瞬間、過去の転生ことをキレイサッパリ忘れたわ、いろいろと!
今の俺の頭の中はとてもクリーンな状態になっていた。なんだろう、数々の思い出したくないトラウマを抱えていた気がするけど、今はまったく嫌な感じはしない! いいね!
『なお、知識はそのままです。ですからきっと不便はないでしょう。がんばってくださいね。あともう追放されないで下さいね! 超絶面倒なので!』
「あぁ、分かったよ。
てか、いつもの女神さまじゃないか。いつもと違う白い空間なんで分からなかった。顔の見えないあんた。甘い匂いするけど、顔の見えない女神さま。そろそろ顔を見せてくれ」
だが返答は――
「がんばってくださいね~」
「なあ、これが最後の転生かもしれない。だから、この際だから正体を明かしてくれよ」
「がんばってくださいね~」
「あんたはもう返答の余地がないNPCか! ……あぁもういいよ。
じゃ、行ってくる。またあのブラックホールみたいな穴に飛び込めばいいんだろ」
「がんばってくださいね~」
「もういいってば! 次回までに返答バリエーション増やしておいてくれよ。……まあもっとも、これが最後で、もうないかもしれないけどな。――ありがとう」
俺は、正体不明の女神に手を振り――穴へ飛び込んだ。
さ~て、次は【追放】されないように頑張りますかー!!
いざ、異世界へ!!
いつも応援ありがとうございます。
もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。




