第199話 スターゲイザー
謎のループをしまくっている俺は、今度はメサイアを助けるべく移動を開始した。……のはいいが、なぜこうなっているんだか!?
カオス化しちまう前のリースに、メサイアの居場所を聞き出した俺は、そこへ到着。なるほど、この店でケーキを食べているんだな。
やたら派手な店の中に入ると、そこにはケーキを頬張っているメサイアの姿が。なんて幸せそうに食っているんだか!
「あれ、サトル。どうしてここに? ベルとのデートは?」
「それは今度だ。それより、ここは危険だ! 行くぞ!」
「は? 危険? なにがよ?」
なんのこっちゃと分からんメサイアだが、そんなの関係ない。
引っ張り抱いてでも連れていく。
「きゃ……ちょっと、いきなり」
「みんなが危ないんだ。ミザールが襲ってきやがるんだ」
「え、ミザールが? え?」
よし、これでみんなを遠ざけた。
今度こそ……!
◆
またミザールが現れた。
今度は、都中のエルフを喰ったらしい。
けど、それでも俺は諦めなかった。
だったら、全部遠ざけてやる――――!!
★ ★ ★
「これでどうだ!!!」
『バカな……バカな!! 都に誰も残っていないだと!? これでは魔力の維持が……ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』
ついにミザールは消滅した。
長かった……ここまで本当に。
これでもうループする必要はなくなったな。全員殺られることもない。
終わったんだ。
やっと一息つけると思った――矢先だった。
「へぇ、ミザールを倒したんだ~」
「だ、誰だ!?」
気配もなく、そいつは現れたんだ。
「はじめまして。僕はスターゲイザーのひとり『スペクトル』っていう者だよ。
いやはや、まさか運命を変えられるなんてね。キミの力には恐れ入ったよ。けどね、運命を変えた代償は高くつく」
「なにを言っている!」
「君はいよいよ神様になろうとしている……だからね、そんな神は殺さなくっちゃね。でも、きっと君はすごく強い。強くて敵わない。でも、封印ならできるよねぇ」
ニヤっとそいつは笑った。
嫌な予感がする。
そもそも、気配もなく現れたんだ。なにをしてくるか分からん。
そんな時だった。
「サトル!」「兄様~!」「サトルさーん」「理くん~」
メサイア、フォル、リース、ベルがやってきていた。
「お前たちなぜ戻ってきた!!」
「なぜって、心配だからよ。嫌な予感がしたの!」
「馬鹿! 今、敵が――――ぐあッ!!」
「余所見はいけないなぁ。極星の力――魔導書モードⅠ・ヘルサモン」
――――なっ、こいつ、リースと同じスキルを。
いや、そうか、こいつが大量のモンスターを召喚していたのだ。
魔導書が、いや、ヤツが展開した魔法陣からワラワラ出て来やがる!!
『パニッシャートライデント――――!!!!』
「あらら、大量のモンスターが一撃で……へぇやるねえ。さすが神様候補だ」
くっ、人をおちょくりやがって!!
「けどね。極星の力――魔導書モードⅣ・メテオストライク」
な、無数の流星が降り注いで……!
まずい、仲間に!!
『させるかああああァ!! オーディール!!!』
流星をすべて破壊した。
「……ふむ、ここまでとはね。神殺しも楽じゃないや。まあ、封印しないと他の六人が五月蠅いしさ、うん、お遊びもここまでにしておこうか」
面倒なので、俺は槍を投擲した。
『覚醒聖槍・ロンゴミニアド――――!!』
「やれやれ、無駄なんだよ」
「こ、こいつ……死なないのか!?」
「まあね。七剣星のドゥーベとミザールの実験のおかげさ。彼女らの超人研究は、我々スターゲイザーの糧となり、『不死』の完成となった。けど、いろいろ不十分だったのでね……。今はスターゲイザーが総力をあげて『聖地』へ侵攻している。アレが邪魔でね~」
「なんだと!! 聖地を!?」
「ああ、あれは世界のバランスを保っているからね。……さて、もういいだろう。キミには消えてもらうよ」
ヤツは手を構える。
「極星の力――魔導書モードⅦ・シール」
魔導書に吸い寄せられていく。
なんて力だ……体が持っていかれる。まるで何でも吸い込むブラックホール。
まさか、あの中に……封印なんてされてたまるかよッ!!!
「サトル!!」
「メサイア、くるな! みんなも!! あれに封印されちまうぞ!!」
覚醒オートスキルを乱発するも、スキルも封印されてしまう。なんてこった、こんなのは初めてだぜ……。
やべぇぜ、やべぇぜ……!
かつてないほど焦りまくる…………
体がどんどん吸い寄せられて、ヤツとの距離が縮まってきた。
やべええええええええ!!!
――――なんてな!!
「貴様、なにを笑っている……!」
「なあに、この拳で十分なんだよ!!! スターダストナックル!!!!!!」
「ぶぅふぇあふぇえええええええッ!!!」
どうやら、付与スキルまでは封印できないようだ。
よし、トドメを……そう思った時だった。
『やめろ。神候補。そいつ……スペクトルはしくじったが、仲間でね』
『そうさ、我々スターダストは七人でなければならない』
『あたい、3000年ぶりに復活~!』
『…………』
『あれが理か』
『もう星の都なんてブッ潰しちまおうぜぇ~』
スペクトルを守るようにして、そいつらは現れた。
こいつらが『スターゲイザー』なのか!?
しかし、影でほとんどを視認できない。いったい何者なんだ!
その中でひとりがスペクトルを支えつつ、俺にこう言った。
「貴様を生贄に捧げる……」
「なにを言って――うあああああああああああッ!!!」
「サトル!!」
メサイアが俺に飛び込んでくる。
「私はいつだって一緒よ……」
「メ、メサイア……!」
「シアひとりに任せられないな、わたしも!」
ベル……。
「兄様、わたくしも!」
「あたしも!」
フォルとリースも飛び込んでこようとしたが、メサイアが止めた。
「二人はいい。私とベルがサトルを何とかするから、二人は……あのスターゲイザーとかいうヤツ等を何とかして! いいわね!」
そうして、俺とメサイア、ベルはどこかへ――。
よくわからない場所へ……堕ちた。
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