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第2話 オートスキル - 勝手にレベルアップ -

 こ、ここは何処だ!?


 目覚めると……宿屋らしき古ぼけた部屋にいた。

 うん、なんだか見覚えがあるような無いような。でもちょっと懐かしさもある。あー、これもしかして……【サクリファイスオンライン】の中? にしては、雰囲気がちょっと……いや、大分違うような気もする。



 部屋に、あんなハートの形をした植物はなかったし。



 つーか、なんだこのニオイ……。

 甘い香りと、それと、この部屋の古びた(ホコリ)っぽいニオイ。



 甘い香りの方は……うわっ!!



 ベッドにはよ~~~く見ると、少女が。

 それもとんでもなく美人の、それこそ女神のような……女神?



「――って、コイツ。『空中庭園』にいたヤツ!」



 ヨダレ垂らして……幸せそうに隣で寝やがって。

 へえ、こうして見ると本当に美人さんだな。あの時はマトモに見ている余裕がなかったが…………ん? コイツ、変なネックレスを。


 気になったんで、それに触れてみようとした――



「ちょっと失礼して……」



 さきっちょに触れた瞬間、少女がパチクリ目を覚ます。



「「……あ」」



 目と目が合う瞬間、俺たちは恋に――落ちるワケなかった。

 むしろ、少女は顔真っ赤に、涙目になっていた。


「きゃぁぁあああ! 私襲われるううううー!!」

「……な、違うって! 誤解だ! そのネックレスが気になったんだよ!」

「そ、そうなの!?」

「ま、まあな。それより、おい、女神だか何だか知らんが、俺は寝る……! おやすみ」


 ベッドに横になる俺。

 いや~、このベッドすっごくフカフカで気持ちがいい~。



「……って、あんた誰だっけ?」



 黒髪の女の子がベッドの横でハテナになっていた。



「いや、キミこそ誰だよ。なんか肌以外は全体的に黒いし。俺の記憶じゃ、キミは女神で、俺と契約したらしいけどね? てか、本当に女神~?」


「あ……あぁ~! そうそう。そうなのよ! ――で、冒険に出ないの!? せっかく便利な【オートスキル】を手に入れたのに、冒険に出ないだなんて勿体無(もったいな)いわよ」


 なんか少女があたふたしていた。

 勢いで俺に(おお)いかぶさるようにしてきて、黒いワンピースから大変程よい谷間が覗いてみえ――!!


 俺は目をそらした。エロはいけません。


「うっ……女体耐性のない俺には刺激が……。ととと、とりあえず、外の様子が気になるな。ちょっとどいてくれ」

「あ、うん……」



 謎の黒髪少女をベッドに放置して、俺は部屋の、扉の前に立った。



 この先は……ただの廊下だよな? だというのに、なんだこの無駄な緊張感。なんで俺はこうも足が震えるんだ! おかしい、絶対におかしいゾ。



「ええい、こういう時は勢いだ!」



 扉を開けると――とォ!?



 なんか外が広がっていた。こりゃ『草原フィールド』だね、うん。



 【草原フィールド Lv.50】



「へ……? なんか見えたぞ一瞬!」


 ゲームでよくあるヤツ! マップに出ると表示されるアレじゃないか! てーか【草原フィールド Lv.50】だってぇ? 俺らはそんなところにいるんだな。ふむ。



「って、なんだココ~~~~~ッ!!」



 周りはモンスターだらけ。

 それも【アクティブモンスター】の類ばかり。危険極まりない。



 これってもしかして――



「プギィイィィィィイイイイイイイ――!!」



 うわっ! あの無駄に黄金に輝きまくってるイノシシは『グリンブルスティ』じゃないか! なんでこんな草原にいるんだよ、アイツ。やっべーぞ、アレは気性が荒く、ターゲットを見つけたら死ぬまで猪突猛進(ちょとつもうしん)してくる面倒なヤツなんだ!!



「プギィイィィィィイイイイイイイ――!!」



 あ…………やば。



 俺は、例の宿……ではなく【ボロボロの小屋】に戻り、扉を必死に閉めた!



 ドゴッ!! ドッゴォン!!


 ……と、扉に衝突するモンスター。凄い勢いだ。

 てか、扉頑丈すぎだろ! 逆にそっちにビビったわ!


「あっぶねぇ~…。死ぬところだったぜ。……さて、疲れた寝よう」

「どうしたの~?」


 少女が不思議そうに顔を(かたむ)けていた。可愛い。

 ……じゃない。


「いや、外に出たらさ……凶悪イノシシモンスターの『グリンブルスティ』に襲われたんだけど」

「もう倒したんじゃ?」

「え? いや、俺なにもしてないし」



 扉閉めただけだし。



「倒したわよ。外見てきたらどう?」

「はぁ? 扉閉めただけで~?」


 そういえば、さっきはドカドカと扉の前が五月蠅(うるさ)かったが、今はその気配がまるでない。諦めて去ったのではないかと思ったが……?



「まさかな……」



 俺は、おそるおそる、扉を開けてみた。



 すると……。



「うっおっ!?」


 なんか勝手にレベルアップした!!



 【Lv.31】 → 【Lv.40】



 ステータスもかなり上がった。勝手に。

 ――で、モンスターもなんか勝手に丸焦(まるこ)げになって死んでた。しかも一匹でもなく、ざっと十五匹くらい。なんか残骸(ざんがい)が散らばっていた。なんだこの光景!!



「……ふむ。なるほど、よく分からん」



 いったい何が起きたんです?

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