第191話 全てを吹き飛ばせ - 最後の戦い -
全ては見切った。
このバトルロイヤルのフィールド、魔法の森【ブロセリアンド】自体が魔力源である。そうと分かれば、このドゥーベと森ごと破壊すればいい。
俺はリースのもとへ瞬間で向かい、みんなへ聞こえるようテレパシーを頼んだ。
『メサイア! 急なお願いですまん!! みんなを戦闘不能にしてくれ!!』
「ど、どういうこと!?」
『みんなを巻き込みたくないんだ……頼む! みんなも理解してくれ!』
「わ……分かったわ」
同時に、みんなの同意も得られた。
メサイアは女神スキルの大技を放ち、仲間へ戦闘不能になる程度で攻撃した。
「兄様、どうかご武運を」「サトルさん、あとはお願いします」「理くん、勝つんだよ」「サトル、向こうで会いましょう」
フォル、リース、ベル、サイネリアがそれぞれ離脱。
「サトルさん、では」「負けるな!」
スイカとアグニも去った。
そして、死神三人衆も。
「我々も外へ戻る――! あんな偽物はぶちのめせ!」
「サトちゃーん。じゃあね~☆」
「ではまた」
これで残りは――メサイアだけ。
その間にも、ドゥーベの攻撃は飛んできていた。
「自ら仲間を減らすとはな、馬鹿が!! おかげで私の有利となった……!」
飛び跳ね、闇を向けてくるドゥーベだが、俺は覚醒【オートスキル】で応戦。相打ちに出来た。やはり、向こうの魔力はどんどん上がってきている。この森から吸い上げまくっているのだ。なんてヤツ、さっさと魔力源を断ち切らないと、それこそ化物を超える何かになっちまう。
『――――――オーディール!!』
俺は敵の攻撃を回避しつつ、スキルを広範囲に向けて放った。
「どこを狙っている!!」
これでいい。
ヤツは気づいていないが、これで。
「メサイア、いったんのお別れだ」
「いやよ、私は最後まであなたの傍にいるの! ひとりぼっちになんてさせない」
あの目は本気だ。
……わがままな女神だ。だが、そこがいい。
「じゃあ、おんぶしてやる。絶対に振り落とされるなよ」
「ええ! こっちは女神の力を全開でいくわ!」
俺はメサイアをおんぶして、そのまま戦闘を続行した。
「はははは……滑稽! 実に滑稽! その役に立たん女神を背負ったままこの私と戦うだと!? いいぞ、楽しいぞ……二人まとめて心をズタズタに引き裂いてやろう」
物凄い勢いで飛んでくるドゥーベは、闇を大量に放出した。
しかし、メサイアのスキルによって全て防御あるいは回避した。さらに、完全回避もパワーアップしているため、ほとんど避けれていた。
『ダークニトロ!!!』
この世全ての憎悪を――ニトロを爆発させ、荒野を破壊していく。
「さっきからどこを狙っているんだ……まるで当たっていな――――」
ドゥーベは、そこでやっと気づく。
「貴様……まさか!!! 私の魔力源に気付いて……させるかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
ついに――『死の呪い』を放出させるドゥーベ。
マズイぞ、そんな事をしたら……メサイアに影響が!!
「……ぐ」
背中で苦しそうにする息するメサイアは、顔を顰めていた。
まさか『死の呪い』――こんなところで!!
「けどな!!」
呪いに反応して、覚醒【オートスキル】が火をふいた。
『血の煉獄』、『ホーリーブレード』、『ダークニトロ』、『ヒドゥンクレバス』、『パニッシャートライデント』、『アブソリュートサイレンス』、『聖槍・アンティオキア』、『聖槍・アルメニア』、『ライトオブジャッジメント』、『オーディール』、『聖槍・エクスカリバー』
オートスキルが荒野をひたすら削っていく、原型をどんどん失っていくが――呪いが大地に浸食してくる。それだけじゃない、ドゥーベも死の呪いに飲まれていた。
――あれはもう死神ではなく、ただの死だ。
『…………ウォォォォォォオオオオ!!!』
呪いに飲まれたドゥーベは、ついに醜い怪物になり、死を具現化させた。
「おいおい……そんなのありかよ。ボスの形態にしては、もうすでにラスボスだぞ、ありゃ」
「そ、そうね…………うぅ」
「メサイア! ちくしょう……このままだとメサイアが死神に戻っちまう。すまん、メサイア、お前を戦闘不能にするぞ!」
「…………い、いやよ」
「駄駄を捏ねるな! 俺はひとりでいい! お前が死神になっちまうくらいなら、俺はひとりで戦う!!」
「だめったら……だめっ!!!」
それでも、メサイアはかたくなに拒否した。
むしろ、腕にぎゅっと力を入れて、離れようとしなかった。
「いいのか、本当に。死神になっちまうかもしれないぞ。そしたら、またレイドボスも出てくるかもしれない。世界がメチャクチャになってしまうかもしれないんだぞ」
だが、
「世界より、サトルよ!!」
メサイアはそう強く、大声で返してきた。
なんて嬉しいことを言ってくれる……。
「分かったよ。その時は、その時だよな。俺がなんとかする」
「…………私もみんなも一緒よ」
「そうだな。それが正解だ」
『グォォォォオォォオオオオアアアアアアアア――――!!!!!』
ドゥーベだったものが突っ込んでくる。
「メサイア、魔力を借りるぞ!!」
「ええ、どんどん使って!!」
俺は『世界終焉剣・エクスカイザー』を1000本を一気に生成して、宙に浮かべた。そして、それを一斉に発射させた。
『ギョオオエエエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!』
死の断末魔。
勝ったか……!!
『マダダダアアアアアアアアアア!!!』
しつこい!!
これが、全力全開の俺の最大出力、本気の本気!!!!!!!
『――――――エンデュランス×3000!!!!!!!!』
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『ぶあふえふえふえうえうえべうえぶえうばべべえばばばばあガガハッハハゲゲゲババババババッベベベッベエアアアウエウエウエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアエエエエエエエエエエエエエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアエジェジゲブブブエベベベアアアアアア………………!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
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ドゥーベは――――
……いや、死はついに滅びた。
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