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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

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第181話 希望の星

※フォルトゥナ視点です

 忘れていたことがひとつありました。

 それは、黒猫です。


「リースの召喚した黒猫ちゃんを忘れていました」

「え……フォルちゃん?」

「彼か彼女か分かりませんけれど、この猫ちゃんも立派な仲間ですものね」

「フォルちゃん……ありがとう」


 すっかり元気を取り戻したリースは、笑顔で笑いました。

 良かった。あの黒猫が少しは、リースの気分を(まぎ)らわしてくれているようでした。しかし、あの猫はいったい……。

 リースの召喚スキル『ヘルサモン』から飛び出てきたのですが――兄様のSPを全て奪うや否や目からビームを出したり、とんでもない猫ちゃんでした。


 うーん……。


 黒猫を観察していると、猫は(おび)えて引っ込んでしまいました。


「……むぅ」

「あ、あの……フォルちゃん。あたしのエコがどうかしましたか」

「いえ、なんでも」


 リースは黒猫に『エコ』と名付けていた。

 ネコだから? よく分かりません。



 ◆



 森をひたすら歩いていると、生き残った貴族たちが出現。

 わたくしは容赦なくスキルを彼らに向けました。



『最終奥義・覇王武光拳――――――ッ!!』



「「「うあああああああああああああああああああッ!!!!!」」」



『ホーリーグレイル!!』



 リースもまた、魔法で補助をしてくれました。

 ミザールは役に立ちませんでした。なんですか、あのヤブ医者。


「すげぇな嬢ちゃんたち。オイラの出番はなさそうだな」

「あなた、ずっと棒立ちしているだけでしょう。か弱い少女に全てを(ゆだ)ねてばかり――少しは貢献(こうけん)してくださいまし」


「か、か弱いって……いやいや、お嬢ちゃんたち強すぎだべ。オイラの出る幕もねえ。だから、必然的に案山子(かかし)になっちまうんだべよ」


 とミザールは頭をボリボリ()きながら言いました。不潔(ふけつ)です。


 それより……兄様たちは一体どこへ。

 少し気持ちが沈んでいると、リースが(はげ)ましてくれました。


「フォルちゃん、元気出して。ほら、エコちゃんですよ~♪」


 黒猫の顔が接近してきました。

 あら、この猫――メスなのですね。


「ありがとうございます、リース。元気が出ました」

「……フォルちゃん」


 なぜかリースはエコを地面に置き、真剣な眼差しでわたくしを見つめました。


「あの、リース?」


 すると、リースは両手を伸ばし、(てのひら)をわたくしの胸に――――。


「はい?」

「げ、元気だしてってば! お願いだから! さっきのこと気にしてるなら謝るから! ねえ、いつものフォルちゃんでいてよ」


 だからと、わたくしの胸に触れる意味が分かりませんけれど。ですがきっと、リースなりの激励ってことですね。


「あっ、ごめんなさい! 本当は肩に手を置こうとしたのに……勢いで」

「そういうことでしたか。そうですね、いつものように――リース! わたくしの後ろに! ミザール、敵です! 防御態勢を……」


「………………」


 しかし、ミザールは動かなかった。

 耳が遠いのですか、まったく。


 動かないミザールは放っておき、わたくしは防御態勢に――――ぐっ!



『オーロラブレイド!!』



 いきなり、そんな剣技がわたくし目掛けて飛んできた。なんて速度。避けきれない――! こんな時、ミザールが――いえ、彼を頼るのは止めましょう。

 彼はどこか頼りないし、兄様と別れてからというものの様子が変です。



 だったら!!



『グロリアスサンクチュアリ!!』



 わたくしは鉄壁の絶対聖域を展開。

 なんとか敵の剣を(しの)ぎ切りました……。ですが、これはSP消費量の多いスキル。そう何度も使えるものではない。


「リース。わたくしから絶対に離れないこと、いいですね」

「う、うん……」



『これはすごい。ボクらの魔剣の一撃を受け止める奴がいるだなんてね』

『アルカイド、あれは聖女だよ。しかも、世にも珍しい武闘派聖女。面白いじゃないか――』

『そうだな、ベネトナシュ。殺し甲斐(がい)がありそうだぞ』



 この反響するような声。

 気配はひとつなのに、どうしてふたつの声が。



『こんにちは。聖女とエルフ。それと、ミザール』



「あなた……おひとりですよね。でも、違う声がしましたけれど」

『おい、アルカイド。説明してやれよ』

『そうだな、ベネトナシュ。ボクらはひとりでふたり。つまり、中に兄弟を宿しているってわけさ。声もそのせいでね』


 なんて(まぎ)らわしい。

 でもなるほど、あの人体に二人の意思が存在するということですね。ただのそんな単純なこと。驚くほどではありません。


「七剣星ですね」

『そうさ、ボクらは七剣星。でも、ボクらは二人。そちらの戦力も二人(・・)


「なにをおっしゃっているのです。こちらは、ミザールを入れて三人(・・)ですよ。ですから、こっちの方が有利――――」



 その時、ミザールは不敵に笑いました。


 まさか……!



「クククククク…………。アハハハハハハッ!! アハハハハハハハハハハハハハハハ!! キャキャキャキャキャキャアアアアア!!」


 まるで壊れた人形のように笑うミザール。

 この男……最初からそのつもりで……!



「サトルも女神もいなくなった今……我ら七剣星が有利!! 残るは聖女とエルフだけ。お前たちを潰せば……星の都はドゥーベ様のモノになる!!!」



「ミザール!! あなた!!」



『よくぞ言いました、ミザール。さあ、こっちへ来なさい』


 ミザールは悪魔のように笑い、アルカイド&ベネトナシュの方へ歩いて行ってしまった……。くっ……あのヤブ医者……こうなると分かっていて、わたくしたちに……絶対に許せない。



「兄様はあなたを信じていたのに!!」

「信じる~~~? アホか!! ()は最初からず~~~~~~~~~~~~~~~~~~~と七剣星なんだよ。騙される方が悪いんだバアアアアアアアアアカ!!」


 …………そうでした。

 彼は七剣星の男。残忍で無慈悲で……貴族たちと一緒。


 でしたら、こちらは本気でいくだけです。


『ほ~、こちらは三人だぞ。それでもやるというのか、聖女よ』

「わたくしは諦めが悪いのですよ。だから、いつだって必死で、兄様に振り向いてもらうために……全力で恋しているんですよ!!」


『フハハハ! これは面白い! 実に面白い! 聖女、貴様は生かしてやる! ただし、その両腕と両腕は斬ってやるがな――!!』



 襲い掛かってくるアルカイド&ベネトナシュ――そして、ミザール。



「聖女を舐めない方がいいですよ。リース! いざとなればお願いします」

「はいっ……その時は大魔法で補助します!」



 わたくしは全身全霊をかけて、いえ、すべての思いをこの手に。



「はぁぁぁああ――――!!」

『馬鹿が! 遅いわッ!!』



 あの魔剣のスキル『オーロラブレイド』が接近してくる。

 目で追い切れない速度で、凄まじいスピード。しかも、ミザールもおかまいなしに、突っ込んでくる。

 ――ですが、わたくしは何も接近戦ばかりではないのです。



『奥義――と見せかけて――!!』



「「なにィ!?」」


 二人、いえ三人は驚く。



『グロリアスエクソシズム――――――!!!!!!』



 本来、不死属性モンスターを浄化させる大技スキルですが、邪悪な心を持った者にも有効であり、その心が邪悪であればあるほど、効力を発揮する。


 今の彼らには『純粋な邪心』しかない。



『バ、バカなぁぁぁぁああああうあああああああッ!!』

『アルカイド&ベネトナシュ! 話が違うぞおおおおおおぉぉッ!!!』



 まばゆい聖なる光が森を包み込みました。

 これできっと、彼らを浄化できたはず。



「――――――ぐっ」

「フォルちゃん!?」

「だ、大丈夫……です。少し無理をしすぎました……」


 さすがに、大量にSPを消費するスキルを連続して使いすぎました。反動もでかく、このままでは……戦闘不能になってしまう。ですが、これであの三人は――。



『ウォォォォォ――――オーロラブレイド・改ッ!!!』

「なっ…………」



 まず……首筋に…………そんな、わたくしここまでなの……。もう二度と、大好きな兄様に会えない………そんなのイヤです!!!



 助けて…………兄様。



 そう強く願ったとき――


 鈍い音が。



 何かがオーロラブレイドを(はじ)いた……?



「え…………」

「おまたー」

「あ、あなた……どうしてここに!!」



 そこには――ベルさんと……あのヘールボップ家の令嬢・サイネリアが堂々と立っていたのです。


「まったく、無様ですわね」

「……サイネリア」

「ほら、手を伸ばして」


 彼女はそう笑顔で、わたくしを起こそうとしてくれました。


「ここから反撃に参りますわよ。フォル」

「あの……サイネリア」

「なんて顔していますの。せっかくの可愛い顔が台無しですわよ。ほら、あなたはいつもの堂々で、気高く、凛々(りり)しい姿が似合っていますから、立ち上がりなさい」


 わたくしは、彼女の優しくて、あたたかい手を取りました。


「さあ、反撃のお時間ですわよ、フォル」

「ええ、一緒に戦ってください。サイネリア」


 もう負ける気がしなかった。

 いきましょうか――兄様を助けに!!

いつも応援ありがとうございます。

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