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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

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第180話 聖女は諦めない

※前半は神王とメサイア視点

※後半はフォルトゥナ視点となります。物語の都合上、しばらく聖女視点です

 ――まるで心が星屑(ほしくず)になったかのようだ。

 心はバラバラに砕け散り、闇の中にその破片が散らばっていった。


 私はそれを悲愴(ひそう)の眼差しで見つめた。


「――――――」


 理。あなたは心を失くしてしまったのですね。

 一度壊れてしまった心を元に戻すことは容易(ようい)ではない。


 だが、女神ならきっと。


「私にできる唯一の救済はこれだけ――」


 メサイア様をこの場所に連れてくることくらいだ。


「申し訳ない。そしてお願いします。女神(メサイア)さま」


 ・

 ・

 ・


 気づくと、私はかつて見た闇の中にいた――。

 これは死神の力に近い。いや、そのものなのかもしれない。だけど、確証はない。ないけれど、ひとつ分かっていることは、サトルが突然消えてしまったこと。


 あの時、彼は突然倒れ、意識を失った。


 おそらく、敵のなんらかの攻撃を受けた。それが何なのかは分からないけど、これ(・・)を目の当たりにしている限り、心や精神への直接的なダメージがあったと理解できた。


「サトル……。今助けるわ……まってて」



 私は果ての無い闇の中をひたすら走り続けた。

 すると、ある場所で破片を見つけた。


 それはバラバラに砕け散った『心』だった――。



「これ……サトルの心? そんな…………どうして、こんな……」



 それを丁寧に、優しく(すく)い上げて、私は大切に包み込んだ。


 ……まだ少し、ほんのわずか温もりを感じられる。


「サトル、まだここにいるのね……。

 わたしは……あなたをひとりにはしない。どんな時も一緒よ」


 白い光を使って、私は闇を飲み込み――――。



 ◆ ◆ ◆



 ――兄様と姉様は、忽然(こつぜん)と消えてしまった。


「どこへ……どこへ行ってしまわれたのですか!?」


 リースはずっと、うずくまって泣いていた。

 ミザールはボケッとしていて役に立たない。


 この状況で唯一動けるのは、わたくしだけ。

 しっかりしなきゃ……。



 でも――。



「リース、いい加減にするのです!!

 泣いていても、何も解決しないのですよ!」


「フォルちゃん……そんな言い方はないじゃない! ……メサイアさんも、サトルさんもいなくなっちゃったんだよ!? 悲しくないの!?」


「悲しいに決まっています! ですが、ここで悲しみに暮れていても、兄様と姉様は戻らない……!! だから、バトルロイヤルを優勝するんです!」


「今更、優勝して何になるの!!」


 リースがそう自暴自棄(じぼうじき)になって……

 わたくしは、頭に血が(のぼ)ってしまいました。



「リース!!」



 大切な家族の頬を、掌で思いっきり叩いてしまった。



「………………っ!」



 突然のことにリースは驚いて、頬を押さえて痛そうにわたくしを(にら)み、今まで見せたことのない怪訝な表情を向けてきた。



「…………そう、フォルちゃんもエルフに暴力を振るうんだ。それって貴族たちと一緒だよね」



 そんな、いつもの温和な彼女なら絶対に口にしないようなセリフを吐いた。とても険悪な空気が場を包む。

 わたくしは悲しいと同時に、後悔もしました。


 ――暴力はいけなかった。


 それに、彼女の気持ちをもっと理解してあげるべきだった。一番辛い思いをしているのは、リースなのだから。


「リース、ごめんなさい。でも、わたくし間違ったことは言っていません。

 諦めたらダメなんです。投げ出したらダメなんです。

 挫折からの再起ほど難しいことありません。今ならまだ前へ進めます……その先にはきっと救いがありますから」



「…………。フォルちゃん、ごめん……あたし、そんなつもりはなくて……」



 リースはまた泣き出し、まるで子供の様に抱きついてきました。……わたくしもとても辛いです。……でもきっと彼は戻ってくる。

 いつだって、わたくしたちの前に帰ってきたのだから――。



 ◆



「――とにかく、勝ちましょう。リース、ミザールふたりとも力を貸してください」

「はい……」


「オイラはまぁ、七剣星は抜けちまったからなぁ。まさか、サトルくんと女神さまが消えちまうとは思わなかった。けど、これは恐らくドゥーベの『マインドスキル』だろうて」


「マインドスキルですか」


「ああ、サトルくんが消える前のあの症状は間違いない。つまり、どこかに潜んでいたドゥーベにやられちまったってことやね。本人の姿も気配も今はないが」


 どういうことなのでしょうか。

 人間(ひと)の心に干渉できるとでも言うのでしょうか。

 だとすれば、なんて強力なスキル。油断はできませんね。


「フォルちゃん?」

「ごめんなさい。行きましょうか。残りの七剣星は必ず、わたくしが成敗致します。リースは魔法で補助を、ミザールは……エクサダイトボディで防御?」

「んああ、そうするべ。やべー技の防御は任せろい」


 そんなワケで、わたくしとリース……そして、ミザールの三人でバトルロイヤルを続行です。



 必ず勝ちますよ、兄様。

いつも応援ありがとうございます。

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