表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

173/557

第168話 栄光聖女vs悪役令嬢

 まさかバトルロイヤルになるだなんて。


 残りは『259人』らしい。

 最後のひとりになったヤツが優勝だが、まだまだ人数は残っている。


 魔法の森【ブロセリアンド】の地に降り立ち、俺とフォルはフィールドを改めて見渡した。一面、森で代り映えなんてしないけど――


「なんだか見覚えのある場所ですね?」

「そうだな、俺たちこの森に来たことがあると思う」

「そうですよね、確か聖地の中間にあった……」


 そう、俺たちはかつて聖地での戦いの時に、この森に立ち寄っている。だが、あの時とはやや雰囲気が違うような。

 そもそも、外界と繋がっているものなのか。だとしたら、あの巨大洞窟はいったい。いや、そうじゃないのかも。もしかしたら、森には重大な秘密が……?


 とにかく、


「この周囲には敵はいないようだ。ゆっくり先へ進むか」

「はい、どこに敵が(ひそ)んでいるか分かりませんからね。気を付けて参り――」



 フォルが言いかけたところで、森の奥から(ただ)ならぬ気配を感じた。これは……猛スピードで何かが接近してきている。イノシシ!?



『アメイジンググレイス・サマーソルトキック』



 飛び出てきたソレは、フォル目掛けて猪突猛進(ちょとつもうしん)してきた。


 あれは、キックスキル――!


 ということはつまり、サイネリアか!!



「フォル!」

「大丈夫です。わたくしにお任せを!」



 サイネリアの重すぎるキックを細腕で防御し、フォルは姿勢を低くし、まるで対抗するように旋風脚をしてみせた。だが、サイネリアはフォルの足裏につま先で乗っかるや、その反動を利用し、後ろに一回転――いや、数十回のバク転をして距離を取った。

 なんちゅー動きだ、しかも一糸乱(いっしみだ)れぬ動きだったぞ。



 そうして静かに(にら)み合う二人。



「やはりいましたのね、無名聖女」

「これが奇襲のつもりですか。キックオバケ」



「二人とも……よし、分かった。俺は二人の戦いを見守る! 邪魔が入ったら、容赦(ようしゃ)なくそいつらをぶっ飛ばす。だから、思う存分戦え!」


 本来は決闘(・・)だったし、いいだろう。


「兄様、わたくしは勝ちます!」


 するとフォルは、凄まじい闘気を放出するや、突っ走った。

 なるほど、先制攻撃あるのみと踏んだか。



『覇王天翔拳!!』



 フォルの拳がサイネリアに向かっていく。



「当たらなければ、どうということもありませんわ」



 サイネリアはあっさり回避。

 だが、フォルの攻撃はそこから激しさを増していった。



『覇王爆砕拳! 冥王風神拳! 冥王雷神拳! 覇王龍星拳!!』



 奥義のコンボ攻撃か!!

 凄まじいコンボが炸裂(さくれつ)するが――しかし、サイネリアはギリギリで回避。……マジか。あのフォルの激流のような動きを読んでやがる!!



 フォルの奥義を全て避け切ったサイネリアは、太ましく高い木の方へ猛ダッシュすると、そのまま()け上がった。




『アメイジンググレイス・ムーンサルト!!!』




 そのままくるっとしなやかに回転し、フォルを押しつぶそうとしていた。まさかボディプレスする気か!? 確かに、フォルは小柄だから、圧殺すればダメージは大かもしれない。



『なんのそれしき! 覇王轟翔波です!!!』



 激しく拮抗(きっこう)する技と技。

 すげぇぜ……二人ともここまでとは思わなかった。どっちも凄い。動きもスキルも何もかも鮮烈で、圧倒的。ああ、もう正直、バトロワとかどうでもいい。この戦いを最後まで見届けたい。

 がんばれ、二人とも。どちらも負けるな。どちらも勝て!!



「――――――はぁっ!!」

「――――――たぁっ!!」



 大技は()き消え、さらに拳と蹴が衝突する。

 その後も攻守の一進一退が続きまくった。手汗握る状況とはまさにこのことか。なんて緊張感だよ……!



「……やりますわね、聖女(あなた)。少しは褒めて差し上げますわよ」

令嬢(あなた)もです。キックスキルを完全に(あなど)っていました」



 まるで互いを認め合うかのように、二人とも静かに笑った。



「ですけれどね、わたしは勝たねばならないのです!! なぜなら、わたしはヘールボップの娘……誇りにかけ、あなたを倒させて戴きますわ」



 あの構え……まさか、あの洞窟(どうくつ)で使ったスキルか!




『アメイジンググレイス・シャイニング・ウィザード!!!』




「くっ……! やはりその大技が本命でしたか……では、わたくしも全力全開(フルパワー)でいかせて戴きます……!」



 サイネリアの最強のキックスキルが飛んでこようとしていた、その時。フォルは両手を前に突き出し、握りこぶしを作った。それから、一度、両腕を左後方へ。聖なる光を一瞬にして拳に凝縮(ぎょうしゅく)させた。

 なんて闘気。なんて膨大な力。(はか)く、けれども力強い覇王の力。


 そうして、握り拳を前へ強く押し出すと――




『最終奥義・覇王武光拳――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』




 とんでもない声量で叫んだ。

 なんて咆哮(ほうこう)。あんな小さい体のどこから出てくるんだ、あんな声。てか……まだ奥義とかあったのかよ。って、最終(・・)!?

 そんな隠しスキルを持っていたとはな。やるな。せめて、俺くらいには打ち明けておいて欲しかったけどな、でもいい、なんたって、こんな激しく心躍る、燃えるような戦いは初めてみたからだ。



「つか、でも、なにも見えね…………!」



 突然、白銀の世界になった……。

 これこそフォルの、聖女の栄光か――。

いつも応援ありがとうございます。

もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ