第17話 海底洞窟ダンジョン捜索 - 水着の乙女たち -
メサイアとフォルがニコニコ笑顔で帰ってきた。
お土産を大量に持って。なんだか凄い数だな。
「おっ。たくさん買ってきたな。そんな紙袋いっぱい抱えて何を買ってきたんだ、メサイア」
「あ~、これ? これはね~」
あ、悪い顔だなぁ。嫌な予感しかしないぞ。ゴールドだとかダイヤモンドじゃなきゃいいがな。もっとも、そんな大金はなかったはずだが。
「じゃ~~~ん!」
――と、メサイアがそれを広げた。
なんだこのペラペラの黒い布切れ。
かなり薄いし、なんだか見覚えがある形状をしているような。……ああ、そうかコレ!
「おい、メサイア。これってまさか」
「そ、これは水着よ! フォル、リースの分も買ってあるから。あとサトル、あんたの分もね!」
へえ! 本物の水着か、これ。この世界にもあるんだな、こんな花柄だとかの水着。ちゃんと装備アイテム扱いなところも芸が細かい。
俺の分まであるとは気が利く。
「でも、まてよ。俺はフリーサイズでも構わんが、リースのサイズは大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ、兄様。リースの胸のサイズは、わたくしが記憶済みですから。なぜなら……毎日お風呂で、この『ゴッドハンド』で測っていますからね!」
――と、フォルは無抵抗のリースの胸を揉みしだきながら言った。言いやがった。おい、堂々と揉みしだくなセクハラ聖女!
むしろ、そこ変わりやがれ!
「みぁ~~…フォルちゃん、や、止めてくださいなのですよぉ…………」
あぁ……まずい!
フォルのヤツ、リースのメロンのような胸を、あんなに激しく、いやらしい手つきで……俺に見せつけるように! ――って、俺に見せつけるな! もっとやれ(?)
「ス、ストップだ、フォル! それ以上は、リースが悶絶しちまう……いや、すでに半分その領域に入り掛かっている気もするが……。とにかく、そこまでにしないともう構ってやらんぞ」
「うっ……。それはイヤですね。分かりました」
渋々ながらもフォルは手を放した。リースは解放されてホッとしていたが、顔が真っ赤だった。そりゃ、あんな風にされてはな。
「素直でよろしい。で、メサイアよ。海へ行くんだな?」
俺は、ベッドの方へ振り向くと――
「みんな、もう準備はいいかしら!?」
この女神、なんかもう水着に着替えていやがった。準備万端じゃないか。
「はえーよ! て、黒のビキニ……いつもとあんまり変わらないような気が」
正直言えば可愛いのだが、私服と違いが分からん。メサイアはいつも露出度高いし。結構、目のやり場に困るのだが……。
そんなワケで、海へ行くことになった。
◆
花の都フリージアから海は近かった。
歩いても数十分ってところだった。
メサイアによると、この近辺に『海底洞窟ダンジョン』とかあるらしい。そこの捜索も兼ねての海のようだった。
「へぇ~、南国みたいに綺麗な場所だなぁ。海の透明度すごいな。でも、浜辺にモンスターもそこそこか」
ゆるキャラのようなモンスターがあちらこちらに見えた。あんなマヌケな顔しているのに【Lv.100】以上もあるようだ。その程度なら俺でも対応できる。余裕だな。
俺たちは周囲を警戒しつつ、浜へ出た。
それにしても……。
「ふ~む」
「な、なによサトル。私の水着そんなに変?」
俺は、メサイアの水着を改めてチェック。
やっぱり、スタイルは抜群だな。無駄が一切ないスマートな肉体美。とても健康的で、白い肌がまぶしい。なるほど、女神なだけある。元死神でもあるらしいけど。そんな不吉なオーラも出ていない。むしろ、今は神々しささえある。
「そのネックレスは身につけているんだな。いい加減に教えてくれよ、そいつの謎を」
「イヤ。これ以上、詮索したら……そこら中のモンスターを大量に掻き集めて、擦りつけてやるから」
などと、恐ろしいことをサラリと言いやがったので、俺は諦めた。そうか、レッドラインを超えると殺されるのか。恐ろしい。
「ところで……あのゆるキャラ系のイカモンスターは何だ?」
今のところは攻撃をしてこないノンアクティブモンスターで、身の危険は感じないが。しかし、高レベルだからな。万が一にも触れて戦闘になったら怖いからな。
「調べてみるわね。……えっと、うん。あれは『イカゲソ』という【Lv.105】のモンスターね。でも、油断しないことね。かなり強力な水属性攻撃があるみたいよ」
ほぉん。『イカゲソ』ね。
なんだか美味そうな名前をしているヤツだ。けど、こっちから攻撃しない限りは無害。だったら、放置しておくのがいいだろうな。
腹が減ったら狩ってやるけどな!
「サトルさ~ん!」
「兄様~!」
着替え中だったリースとフォルが戻って来た。
「!?」
まずはリース。
彼女はなぜか『スク水』を着ていた。しかも『旧スクール水着』だと! そんなもんどこで買ってきた!!
メサイアのヤツ、とんでもないお店を利用したな。
「な、なんでスク水!?」
「あ、あのぉ……サトルさん。あたし、見たこともない水着なので自信ないんですけど……これって変です?」
「……あ、いや、その、破壊力がじゃなくて――似合ってるよ」
純白に近い肌。そして、体型がただでさえスリム。ただでさえ巨乳なリースにそれは……最高です。この世界にカメラがあったのなら写真に収めたかったぜ。しかし、そんな必要もない。俺の脳内メモリーに保存した! 永久保存だ!
「それでフォルは……うぉぉぉッ!?」
マイクロビキニィ!?
メサイアのよりも面積が少なく、肌の露出とんでもない。ま、まぶしすぎる。あまりのエロさに直視できねえ! やっぱりというか予想通りというか……いつも、シスター服に隠れて見えないが、超絶セクシー、ダイナマイトボディである。
くぅぅっ……鼻血が……!
そ、そういえば、あの胸の赤い『聖痕』が確か……【聖女の証】なんだっけ。改めて見ると、本当にそこに『聖痕』があったが……が、これ以上は、俺の鼻が持ちそうにない。直視できない。
「どうして、目を逸らすんですか、兄様。ちゃんと、わたくしを見てください。ほら、どうですか、わたくしの水着。感想を四文字以内できちんと答えて戴きたいです」
ズイズイッと距離をつめてくるフォル。
そんな近寄ってくれるな! もれなく鼻から大量出血するだろうが! つーか、四文字って――そりゃ『カワイイ』と言ってほしいのか? いや、カワイイけども!
「お、泳ぐぞー!!」
致死量の鼻血を噴き出す瞬間で、俺は踵を返す。そして誤魔化すようにして俺はダッシュ。海へ向かった!
魅力的すぎるみんなを観察するだなんて、今の俺には厳しい!
これ以上は紳士を誤魔化せない。死ぬ、死んでしまう。
女性経験のなさがここにきてアダになるとはっ!
「あーもう! 逃げないでくださいまし、兄様~!」
フォルが呼び止めてくるが――しかし、その時だった。
海の奥底からギラリと怪しい光が――!
「え……?」
なんかいる!? ちょ、マテ……なんかデカくないか!? 揺らめく影があまりにビッグサイズ。ま、まさか……!
その嫌な予感は的中した。
『ドバァァァァァァアアア!!』
と、水しぶきが上がるや、恐ろしく巨大なモンスターが現れやがった。――なんじゃそらあああっ!? デカすぎんだろう!
「まずいわ、サトル! あれは【Lv.320】の『デビルクラーケン』で……海底に潜むボスモンスターよ!! 気をつけて!」
メサイアがそう冷静にスキル『モンスターサーチ』してくれた。気をつけてって、なにをどう気をつければいいんだよ! こんな巨大イカをどう対処すりゃいいんだよ!
悪魔のような鋭い目つきに、複数の触手がウネウネとうごめいている。
「ボスモンスターだと……マジかよ!」
こんなところに巨大なイカボスモンスターとはな!
しかも【Lv.320】ときたか。
仕方ない、俺の【オートスキル】でなんとかするしかないよな。
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