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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

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第164話 聖地巡礼の儀式

 部屋に戻るとフォルの姿はなかった。

 俺はメサイアをベッドに座らせ、隣に座った。


「このまま寝るか? 無理はしてほしくない」

「大丈夫。会話するくらいの気力はあるから……」


 相変わらず熱っぽいっていうか、風邪っぽい。

 てか、女神が風邪を引くものなのだろうか。今までそんな場面に遭遇したことはなかったような。やはり、あの『夢』が関係しているのか。


「メサイア、呼吸荒くないか……。それにどんどん辛くなってきているよな。……こうなったら、フォルを呼んでグロリアスヒールを――」


「ま、まって……」


 うっ……そんな(うる)んだ瞳で見つめられたら、離れられないじゃないか。むしろ、ずっと(そば)にいてやりたい。


「分かった。それで、俺はどうすればいい」


 そう聞くと、メサイアは(うつむ)き……なにやらブツブツ言い始めていた。……ちょ、こわっ。なんかの呪詛(じゅそ)!?



「もうね、この都の息苦しい空気には我慢ならないわ。

 ……ああもう、イラつく! ほら、私って女神じゃない……なんかこの都に入ってから、ずっと体中に異変が起きてるの。苦しいし、なんかかゆいのよね。あんな変な夢も見るし! あ~、イライラするー!」



 ガ~っと不満を吐き出しまくるメサイア。

 なんだか支離滅裂だ。まあでもそうか、ストレス溜まっていたんだな。そうやって全ての不平不満を漏らすと、やっと落ち着いた。


「どうだ、少しは気分が良くなったか」

「…………うん。ぼうっとしていた頭も今はスッキリした」


 顔色もよくなったし、どうやら回復したようだ。


「サトル、オートスキルなんだけどね」

「やっと本題か」

「覚醒には、あとひとつ条件が必要」

「なに!?」

「聖地巡礼はきっかけ(・・・・)だった」

「きっかけ……いやだが、あれは『不老不死』だったんだろう? これといって俺の体に変化はないし、不死になった感じでもないぞ」


「そりゃそうよ。だって、みんなで巡礼していたでしょう。だったら、みんな『不老不死』なってなきゃおかしいもの」


 そう言われてみればそうだ。


「だとすれば……なんだ?」

「不老不死なんて言ってしまえば、神の力よ。……つまり、聖地巡礼とは『神王』になるための生贄の儀式の一部だったの」



「なァにィ! くぅ……あの神ヤロウ……! 俺たちを(はか)ったな!!」



 そもそも『聖地巡礼』は神王のススメでもあったのだ。

 この状況を見越していたというのか。だとしたら、とんでもねぇタヌキだな。ああ、そうだ、思えば何か企んでいやがる(・・・・・・・)とは思っていたんだ。


 そうか、それで最近やたら神になれだの推してきていたワケか。


「てか、このままだと俺……『神王』になっちまう!?」

「それはまだ分からない。けど、何にしてもこの『星の都』をどうにかしないとね。明日の大会で全てが分かると思うから」


「ああ……」


 俺はリースから預かっていた『ユニリング』を取り出した。



 ◆



 ようやく就寝となった。

 ――のだが、久しぶりにメサイアと同じ部屋、しかも同じベッドで寝ることになった。そういえば、小屋以来だな。かつての懐かしい記憶が鮮明に蘇る。


 昔はよくこうやって一緒に寝ていたっけな。

 けど、久々なせいか距離はちょっとだけ離れていた。


「今更遠慮するなよ、メサイア。こっちこい」

「え……でも」


 なに無駄に緊張してんだよ。

 こっちの方が心臓バクバクだってーの。


「いつもの気丈な振る舞いはどうした。らしくねぇぞ」

「う、うるさい……分かったわよ。そんなに言うんだったらね、こうよ」


 と、メサイアは手足を伸ばし、思いっきり(から)みついてきた。


 なんという不意打ち。


 そんな抱き枕みたいにされるとは思わなかった……。


「おぉ、柔くて気持ちい。これなら安眠、ぐっすり寝れそうだな」

「……ばか」


 女神に挟まれながら寝る、なんという天国。

 さすがに眠くなってきたなぁ。


「おやすみ~」

「はい♡ おやすみなさいませ、兄様♡」

「おう~…………おぉ!? まて、なんかフォルの声が……」


 振り向くとフォルがいた。いつの間に。

 更に、扉が勢いよく開くと――


「サトルさーん! 一緒に寝ましょう~♪」


 リースが飛んできた。


 更にさらに宿の窓をぶち破って(いや破るなよ!?)、ベルも降ってきた。


「うあぁぁぁ――――!? ベル、お前なんて登場の仕方してんだよ! ちゃんと弁償しておけよ!」


「いけずだなぁ理くん。わたしも混ぜてくれなきゃ~」



 みんな集合してしまった。


 部屋を別にした意味がねええ~~~~~~!!!!


 結局、みんなで寝た。



 ◆ ◆ ◆



 ヘールボップ家へ戻ったサイネリアは、今回の急な呼び出しに苛立(いらだ)っていた。本来であればサトルたちを引き入れ、『マックノート家』と『ハレー家』の権力を失墜させる展望であったはずだが、事態が急変したのだ。


「な、なんですって!? お父様……それは本当ですか」

「そうだ、サイネリアよ。マックノート家が不可侵領域『七剣星』を掌握したのだ。彼らはこの『星の都』のバランスだった。だが、ついに崩れ去ってしまった……その原因は定かではないが、この意味するところは、我々はマックノート家とは対等な関係ではなくなったということ」



「意味が分かりませんわ。

 だって、七剣星のフェクダはわたしの味方を……」



「彼女は、ヘールボップ家に長年仕えてくれていたからな。せめてもの義理立てだったのだろう……」


「そんな……」


「ヘールボップ家はこのままでは、マックノート家の隷属(れいぞく)となろう」

「れ、隷属って……まるで奴隷みたいではありませんか」

「奴隷よりはマシだろう。なあに、このままヤツ等の言いなりになるつもりは毛頭ない。サイネリアよ、お前の『力』はもうこの『星の都』に迎えているのだろう」


「はい……」


「では、待とうではないか――その時を。例え悪役に(てっ)する羽目(はめ)になったとしても、いつかきっと彼らは分かってくれるはず。この腐敗しきった都を正すには……これしかないのだと」


「お父様……分かりました。この都の奴隷制度を撤廃するためにも……わたしは『力』の敵にもなってみせますわ」


「すまないな。お前には辛い役目ばかりを押し付けてしまっている」

「構いませんわ。これこそがヘールボップ家の悲願なのですから」


 サイネリアは決意を胸に、明日の星の決闘大会『コメット』の出場を決めた。

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