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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

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第162話 盟友との再会

 日が暮れてしまった。

 星の都はあまりに広く、歩いて観光には時間が掛かり過ぎた。また明日とも考えたけど、次の日は、星の決闘大会『コメット』がある。


 今日はもう宿を取って、明日に備えようと思った。


 だが、トラブルってヤツはこちらの事などお構いなしにやってくる。まったく、空気を読んでほしいものだね。



「きゃあ!?」



 後方を歩いていたフォルが、何者かによって人質に取られていた。



「……フォル!」


「お~っと、動くなよ。余所者(よそもの)。すべては『ハレー家』のノヴァ様の為なのだ」

「ノヴァ様~? 誰だそれ」

「誰だそれではない! 決闘を提案した偉大なお方だ」

「ああ!」


 あの横柄な奴隷連呼少年か。俺の仲間を奪おうとしている。

 そんな無駄にカッコイイ名前だったのか。

 でも、そんなことはどうでもいいな。


「フォルを放せ」

「放せだぁ~~~? この状況分かってんのかよ!」


 男はフォルの喉元にナイフを突きつけた。

 ちなみに仲間もいたようで、全部で三人いた。


「コイツを殺すぞ」

「どうして欲しいんだよ」

「ほう、案外素直だな。オイ」


 ヤツは仲間に指示する。

 すると、二人もまた同じようにメサイアとリースを人質に。


「きゃ……サトル!」

「サトルさん!」


 残ったはベルだった。


「あらら、わたしは明日の優勝賞品だしそうなるか」


 あはは~と乾き気味に笑うベル。

 いや、笑っている場合ではないだろう。



「兄様、わたくし怖いです! 助けてくださいまし~!」



 その割になんだか楽しそうだな、お前。

 ていうか、顔が笑ってやがる! まあ、助けるけどさ。


「よし、こうしよう。まずフォルを人質にしたお前、名前は?」

「あん!? 俺は『()(うし)(とら)()(たつ)()(うま)(ひつじ)(さる)(とり)(いぬ)()ノ助』ってモンだ」



「は…………なんだって?」



「なんだ、聞こえなかったか。

 俺の名は『()(うし)(とら)()(たつ)()(うま)(ひつじ)(さる)(とり)(いぬ)()ノ助』だ! 長いので『干支ノ助』でいい」


 干支ノ助(えとのすけ)……

 ヤツは一文字も()まずにそう名乗った。


 あまりに衝撃的すぎる名前に、俺は――――



「ぷ……ぷぷっ」



 思わず吹いてしまった。



「き、貴様ァ!! 俺の名を笑うか!! この女の心臓を(えぐ)り出したろか!?」

「すまんすまん。予想外だったからさ、あとの二人は?」



「オレは『セイザ』だ!」

「オレは『ブラッド』だ!」



 ――つまり、『干支』、『星座』、『血液型』トリオってことか。



「ま、とにかくだ。まず、星座と血液ヤロウには退場してもらうぜ」

「なんだと!?」



 俺は既に【オートスキル】を発動していた。



『ヒドゥンクレバス――!!』



 奴らの足元からカチコチ凍り始めていた。



「うわ、なんだこりゃァ!?」

「オ、オレの足が体がああああああああああ……」



 メサイアとリースを人質に取っていた二人は凍結した。



「サトル! 助かったわ!!」

「こ、怖かったです、サトルさぁん!」



 よし、これで残るは……あの干支ノ助だけか。



「ば、ばかな……セイザ、ブラッド……なぜ勝手に凍ってしまったんだ!? なんの魔法だ!? こんなスキルは見たことがない……」



 ガクガクブルブルと震え始める干支ノ助。

 はじめて見る現象に戦慄(せんりつ)していた。って、おい、そんな震えられると手元が狂ってフォルが傷つくだろうが。その時は殺す。



「あ……兄様。この人、怖いです」

「ああ、待ってろ。すぐ助ける」


「さ、させるか!!」


 干支ノ助はフォルを腕で強く掴まえ、少しずつ後退していた。



「まて、干支ノ助。チャンスをやる」

「……チャ、チャンスだと? 言ってみろ」

「氷漬けにされたくなければ、俺と手を組め。この星の都の貴族について全部教えるんだ……そうしたら、お前は凍らなくて済むぞ」


「そ、そんなこと出来るか! 俺にハレー家を裏切れ(・・・)というのか!?」

「そうだ」

「そうだじゃねえええええええッ!!!」



 そうして、しばらく睨み合いが続いた。

 フォル、すまない……もうしばらくはそのままで――ん?



「お~い、干支ノ助。そろそろ聖地へ行くぞ――――お? なんだこの騒ぎ……なにをやっているんだお前は」



 なんか現れていた。


 いや…………ちょっとまて。

 あの闖入(ちんにゅう)してきた第三者の顔は見覚えがあるぞ。


 もしかして。



「あ! その勇者っぽい格好、お前はまさか……」


「んぁ? なんだ初対面にそんなフレンドリーに話しかけられる覚えは…………いや、フレンドだったわ(・・・・・・・・)。お前、こんなところで何やってんだよ、サトル」


「これはこっちのセリフだぞ! べべべべ!」



「ちがあああああああう! ワシは『ああああ』だっつーの!!」



「そうだよ! ボボボボだ!」


「もういいよ、そのボボボボでええわ」

「久しぶりだな、ああああ」

「おい、やっぱりわざとかサトル。まあいい、元気そうで何よりだ。ていうか、なんだ干支ノ助と知り合いだったか?」


 俺と干支ノ助を見比べる、ああああ。


「んや、この状況を察してくれよ」

「ふむ……」


 と、ああああは理解したようで、干支ノ助のところまで猛ダッシュするや――グーで思いっきり殴り飛ばしていた。



「ひでっべばばばばあぶぅ!!!!!」



 あまりの威力に家の壁に激突して、頭から地面に落ちた。

 うわ、ありゃヤベーぞ。脳震盪(のうしんとう)じゃすまないぞ。


「なにしとんじゃボケ!! 干支ノ助、お前をそのように教育した覚えはないじゃろうが!!」

「………………が、あ」


 あんな容赦ない鉄拳制裁を与えたら、さすがにすぐには起き上がれないだろう。すげぇ振りかぶっていたし。



「サトル、お前さんの大切な仲間に大変な迷惑をお掛けした。愚弟(ぐてい)の代わりに詫びさせてくれい」



 と、ああああは(ひたい)を地面に(こす)りつけて土下座した。



「……みんな、いいよな」


 人質に取られていたメサイアたちは頷いた。


「ああああさんは悪くないわ。ほら、顔をあげて」


 メサイアは彼を許し、立ち上がらせた。


「本当にすまん。ワシがいながらこのような……」

「いや、そりゃいいんだが、なぜこんなところに」


「ワシはもともとこの都の出身じゃけぇ。けどな、この都の貴族どもは腐ってやがる。腐敗臭を漂わせているゴミじゃ。

 嫌気がさしたワシは、仲間と共にレイドボス討伐へ出たんよ。それからは分かるな」


「そういうことだったか。そや、愚弟(ぐてい)って言っていたな」

「ああ、干支ノ助は弟だ」


「まじ!? あれ――でも『ずずずず』と『めめめめ』は?」

「ちゃう。『いいいい』と『うううう』な。あいつらもワシの弟じゃ。ワシらは七兄弟(・・・)でな。まあ、いずれ紹介することもあろうて。とにかく、今は干支ノ助だ」


 俺たちは詳しい事情を聞くことにした。

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