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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

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第158話 死神王の邪眼

 足の裏にマメが出来そうなほど歩き続けた。

 迷路はグルグル永遠に続き、まるで無限ループしているようにも思えてきた。あと最悪なことに、同じ岩ばかりという何の変化もない光景が続いているので、ストレスマッハだった。


「出口はどこだよ、サイネリア」


「おかしいですわね。いつもはこの道で合っていたはずなのに……辿(たど)り着けませんわ。どうなっているの……」


「俺は全裸だし、早く服が欲しいんだけどね。このままだと風邪を引く。てか、本当に『星の都』に繋がってるのかこの洞窟」


 などとウンザリしていると、


「サイなんとかさんは、実は方向音痴なのではありませんかぁ?」


 とまぁフォルは()みついた。おい、コラ。



「なんですって……」



 プチーンとキレるサイネリアさん。


 あぁ……せっかく平和になっていたんだがな。

 こりゃまたバチバチバトルかと頭を痛めていたが――。



「……ふんっ。もういいですわ」


 なんと、サイネリアは自信喪失っぽい表情でその場に座り込んだ。


「おいおい、諦めるなよ」

「いいえ、諦めてはいませんわ。ですが、こうなることは分かっていたのです」

「なに? どういうことだ……」

「ほら、メサイアさんたちが忽然(こつぜん)と消えてしまったでしょう。その時からこの洞窟はおかしかったのですわ。おそらく『マグネター』の仕業。あの者たちは、わたしたちが洞窟に入るのを狙っていたのかもしれませんわね」


 なるほど。

 あの霊山の時からしつこかったもんな。俺たちは見事にヤツ等の罠に掛かってしまったのかも。つまり、ここは鳥籠(とりかご)の中ってワケか。


「だからって、無抵抗のまま終わるお前じゃないだろう」

「当然です。マグネターがこの空間を歪ませているのだとしたら、それをどうにかすればいいだけのこと。ほら、こう仮説を立ててみれば、なんとも単純明快な話ですわね」


「んな適当な。ま、それが本当かどうかさておき、案外、()には適っているかもな。なあ、フォルはどう思う?」



「え……?」



 驚くフォルは、髪をツーサイドアップに整えようとしていた。


「なにやってんだ……フォル」

「こ、これは……な……ななななんでもないのですよ、兄様……」


 俺に気づかれて、恥ずかしそうに髪を戻す。 

 ……って、まさかサイネリアの真似? ウソだろ……そこまで対抗意識燃やしてんのかよ。可愛いなオイ。……この聖女、お持ち帰りしたい。



「な、なんでもないですから……! そんな、わたくしの顔をジロジロ見ないでください……恥ずかしいです……」

「いや、ジロジロっていうか……む、フォル。ちょっと動くな」

「はい!?」


 フォルの肩に『クモ』らしき小型モンスターが忍び寄っていた。……げ、ありゃ【超猛毒】の状態異常を吐き出すヤツだぞ!


 俺はそれを摘まみ取り、宙に投げて【ニトロ】で爆散した。



「わっ……あ、兄様、いきなり何を!」

「クモだ」

「クモ!?」


 気持ち悪いと(おび)えるフォルは、俺に激しくしがみつく。せっかくの聖なる感触だが、感覚を研ぎ澄ませて味わっている余裕はなさそうだ。


「くそ……。ワラワラと大量に出てきやがったな」

「そ、そのサトル……わたしはク、クモは大の苦手ですの……ですので」


「へ」


 サイネリアも俺にしがみついてきた。



「――って、これじゃ身動きが取れないじゃないか!! 天国で嬉しいけれど……! くそ、もっとクモ出てこい!!」



 史上最高にラッキーだが、参ったな。こうフォルとサイネリアに抱きつかれてしまっては……まあいいか、こんなチャンスをくれたクモ共に祝福を!



 ――なわけあるかあああああああああああ!!



「仕方ねえ……。おい、フォルとサイネリア、目を閉じとけ。絶対に開けるなよ。いいか、絶対だぞ。大事なことなのでもう一度言う。絶対だぞ(・・・・)



「え……はい、兄様。でも、一体なにをされる気なのですか?」

「顔が怖いですわよ、サトル」


「いいから。ああもう、じれったい。俺の手で目隠しする」


 俺はフォルとサイネリアの目を手で覆った。



「~~~~すぅ…………。さて、これを使う時がくるとはな」



『死神王の邪眼』



 開眼発動すると、赤黒い波動が広がるや、数千以上はいるクモを一括で蒸発させた。シュボボボッと煙をあげていくクモの存在は、一切合切消え去った。見事に全滅した。自分で言うのもなんだが、ここまでの激ヤバ破壊力だったとはな、目ん玉飛び出るほど驚きである。



「もういいぞ」


「え、はい……えぇ!? あの大量のクモはどこへ?」

「倒した」

「た、倒したって……兄様なにをなされたのですか!?」

「そりゃ……クモを目で殺したっていうか」

「目で!? あ……もしかして『邪眼』ですか!? あの時の……」



 そう、俺はコンスタンティンとの最終決戦で両目を失った。

 だけど、ガチャで奇跡的に手に入れた【封印されし者の邪眼】を自分の目に押し込み、視界を復活させていた。それがまさか『死神王の邪眼』だったとは思いもしなかったワケだが――そんなこんなで今も尚、俺の目はそのままだった。



「サ、サトル……あなたにそんな魔眼の力があっただなんて」

「んや、これは邪眼(・・)だ。……どうした、俺が怖いか、サイネリア」

「いえ、もっと魅力的に感じましたわ。なんて素敵な殿方。あなたなら、きっと星に願いを……」



「ん? 星に願い?」



「……なんでもありませんわ。それより、メサイアさんたちを探すのと、出口も探さなければなりませんわね。なにか手立ては……」


「それなんだけどね、うん」

「うんって、サトル、何を勝手に納得しているのです?」


「うん。うんうん。分かった。そっちへ行けばいいんだな」



「あの……サトル。ひとりで何をブツブツと?」



「悪いなサイネリア。ちょっとリースから連絡が入っていたから」

「え、リースさんから?」


 ハテナとなるサイネリア。

 そや、説明していなかったな。


「実はな俺とリースは――」


 テレパシーのことを話そうと思ったら、フォルが(ひじ)で突いてきた。

 ……そっか。


「兄様。それはいいですから、リースはなんと?」

「出口前にいるってさ。さあ、行こう」

「そうなんですね。じゃあ参りましょうか」



「え……サトル、あなた……なぜ」



 サイネリアは困惑する。そうだろうな。



 ま……俺たち、ただ霊山に遊びに来たわけじゃないからな。

 物見遊山(ものみゆさん)なんてしとる場合じゃないっつーの。



 また世界が危機(・・・・・)(おちい)っているとかさ。

 神王も本当、面倒なミッションを押し付けてくれたものだ。


 面倒臭いけど、更に面倒なことになるくらいなら……いいさ、また世界を救ってやる。なあ、そうだろう――メサイア。

いつも応援ありがとうございます。

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