表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第三章 星屑

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

160/557

第155話 エルフの愛の魔法

 突然現れた怪人『マグネター』は天然温泉の方へ走り去った。

 あの方向にはメサイアたちが……!!


 全裸で湯に()かっているんだぞ!!


 俺はそうはさせまいと、全力疾走(しっそう)でヤツ等を追いかけた。



「うおおおおおおおおおお!!」



 ……よし、もう後姿が見えたぞ。



 ここは『聖槍』で――――



 聖槍で…………。

 あれ、発動しない(・・・・・)。なにも出てこない。



 『聖槍・アンティオキア』は?

 『聖槍・アルメニア』は?



 出てこねええええええええええ!!!



「だったら、パニッシャートライデントだ……出てこい!!」



『し~~~ん』



 なーーーんも出なかった。

 けど、【ダークニトロ】は出る。仕方ない、ヤツ等に接近してお見舞いしてやる。と、俺は更に加速し、距離を詰めた。



 ――が、天然温泉に到着してしまった。



「あ……」



「「「え……」」」



 すっぽんぽんのメサイアは、俺をバケモノでも見るような顔で見てきた。

 リースは温泉にプカプカ浮いて気持ちよさそうにしていた。あと、ベルは生まれたままの姿で体操というか……ブリッジ状態でこっちを見ていた。



 なんつー格好してんだ!



「うーん、壮観! じゃ、ない! メサイア、この怪人共は新たな敵だ……倒すぞ!」

「そ、そうなんだ。けど……あんた、わたしの裸を凝視しすぎよヘンタイ!」



 棒立ちしていたメサイアは恥ずかしがり、温泉へ潜った。

 すると、顔半分だけは出し、俺を百万年分くらいの恨みを篭めて睨んできた。不倶戴天(ふぐたいてん)だね。



「理くん。わたしはちょっと動けそうにないんだよね~。ほら、ブリッジしてるし」

「ベル。そんなカッコウで恥ずかしくないのか」

「ん~? 別に。子供の頃はよく一緒にお風呂に入っていたじゃない」

「それは子供の頃だ! いつの記憶だよ。――って、リースはなんで裸のまま抱きついてくるんだよおおお」



「サトルさん、一緒にお風呂入りませんか♪」



「いや、それは大変、魅力的な提案だけど『マグネター』をなんとかしないと……」

「まぐねたー? ああ、あの変な人たち。……サトルさん、あたしを支えていてくれませんか。はい、こう手を腰に回して戴いて。それで結構です」


 俺はリースの腰を手で支えることになった。しかも、ぴったりくっついてくるし、俺で裸を隠しているつもりらしい。てか、非常に生々しい。



 ……てか、俺……鼻血が。ぐぅ!



 常人ならとっくに出血多量で死亡していることだろう。

 だが俺は、これまでに(つちか)った女体耐性が尋常じゃないほどに鍛え上げられているため、なんとかぶっ倒れずに済んでいた。


 ……いや、ギリギリだったかもしれん。

 スキル『血の煉獄』の役には立つけどな!



 ――で、リースは空いっぱいにレインボー魔方陣をスーパー展開。

 謎の言語を超高速詠唱し、魔法スキルを次々に発動していった。



『求愛のプロミネンス! 慈愛のエターナルフロスト! 最愛のダークサイクロン! 愛情のダイアストロフィズム!』



 いろいろ混じった愛の魔法は暴風雨(ストーム)となり、『マグネター』軍団を森の奥へと吹き飛ばした。



 ――あれじゃ、きっと灰燼(かいじん)となったな。


 怪人だけに。


 てか、リースの愛が重いぞ……!



「ナイスゥ! ジージー、リース」

「いえいえ、これくらい。でも、もっと()めてください♪ もれなく、サトルさんへの好感度、限界突破しますから♡」


 ちなみに『ジージー』ってのは『Good Game』の略で、『いい試合だった』とか『お疲れ様』の意味だ。そうやって褒めていると、俺の胸に顔を埋めてくるリース。



 そんなにされては期待に応えるしかないだろう。

 俺は、リースの頭を()でつつも、お姫様抱っこした。



「リース。そのままは風邪を引く。温泉に入るんだ」

「分かりました。でもずっとこのままでもいいです♡」



 リースは俺の首に腕を回してきた。



「おーい、メサイア。リースをなんとかしてくれ。離れられん」


「まったくもー。リース、温泉に入りましょう」


「メサイアさん……まさか嫉妬ですか?

 ……そうなら、あたしたちの邪魔をしないでください」


 ぷいっとリースは、メサイアを拒絶した。



「え……」



 驚くメサイアは呆気らかんとしていた。

 だけど、負けじと反論を始めた。


「リ、リース。サトルが困っているでしょう。我儘(わがまま)はよくないわ。ね、だから離れて」


「イヤです。それに、メサイアさんの小さな胸では、サトルさんは満足されないでしょうから、あたしが癒してあげるんです」



「なっ――――!」



 えー…珍しいな。リースがこんな反抗的なの。

 って、小さな胸って。メサイアはそこそこあるぞ。

 まあ、そりゃリースのバインバインには劣るけどさ。



「リース! む、胸は関係ないでしょう! もう、サトルも黙ってないで何とか言いなさいよ。これじゃ、私がバカみたいじゃない!」



「――あ、そうだな。すまん。ついお前の裸に見惚れていたわ」

「……み、見ないでよバカ!」


 手で隠すメサイアは背を向けた。

 いや~背中はそれはそれで……。


「やっと追いつきましたわ。

 ……あら、これはいったい。エルフに……黒髪と……ブリッジをしている銀髪の女。どういうシチュエーションですの?」


 追いついてきたサイネリアとフォルが合流した。


「あ、兄様……。って、リース! なんで兄様にお姫様抱っこされているのですか!? ず、ずるいのです……」



 こりゃどう整理したもんかね。


 とにかく……いったん、落ち着こう。


 みんなで温泉に入ることにした。



 ◆



「ふぅ~…………」



 結局、みんなで温泉に入ることになったな。

 俺以外はみんな女の子だけど、一部を除いてはまったく気にしていない。気にしているのはヘールボップ家の令嬢ことサイネリアだけ。



 まだほとんど初対面だし、そりゃ至極当然の反応だけれど。彼女は温泉の隅で背を向けていた。一緒に入る度胸があるだけ、なかなかだと思う。



「兄様の筋肉……おいしそうです……」



 じゅるりとヨダレを垂らすヘンタイ聖女・フォルは俺の胸筋(きょうきん)にベタベタ触れていた。相手がもし男だったのなら鬱陶(うっとう)しすぎるつーか、ぶっ殺すところだが、幸い聖女。しかも、フォル。別に不快感もなければ、大歓迎だった。



「サイネリアがいるんだ。あらぬ誤解を招くから、舐めるのはよせよ」

「分かってますって。それより、あの自称・令嬢はなぜあんな隅に? 無理なさらず後で、ひとりで(・・・・)ゆっくり入ればよろしいでしょうに」


 フォルはサイネリアに聞こえるように、わざとらしく言った。



「な、なんですって。自称ですって!? わたしはヘールボップ家よ。覚えておきなさい! いえ、脳内に刻んでおきなさい……この無名聖女」


「無名言うなですー!! シャー!!」



 あ~あ。また火花を。

 そんな光景を微笑ましく観察していると、ベルが隣にやってきた。泳いで。こら、泳ぐんじゃありません。


「理くん。これどういうこと? あの『ヘールボップ家』のご令嬢がなぜこんなところに」

「なんだ、ベルは知っているのか」

「知ってるもなにも……彼女は『ミクトラン王』に認められた貴族だよ。花の都のポインセチア城によく顔を出していたし、馴染み深い顔だよ」


 ミクトラン王というと、花の都・フリージアの王様だ。

 その正体は、この世界の神王・アルクトゥルス。


 今は俺を『神』の後継者と認め、はよなれと勧めてくるのだが――それはまた別の話。その話は今は忘却の彼方へ。



「ほう。本当に貴族なんだな」


「うん。彼女の御父上はこっちの界隈じゃ有名人だったよ。貴族にしては民主的っていうか、民から搾取(さくしゅ)するってタイプではなかったね。一部では『賢人』とまで評されて支持されていたほどだよ。

 ――けどね、【レイドボス】事件とか聖地滅亡危機とかいろいろあったじゃない。それからは、あんまり良い噂は聞かないね」



「そうなのか」



 なんだろう、この違和感。

 俺はどこかで何かを間違えた(・・・・)気がする。



 どこだ。



 あの霊山に入ったとき? ゴーレムを粉砕したとき? サイネリアと出会ったとき? それとも、あのマグネターと遭遇したときか。



 どこか分からないけど……なにか起こるような気がしていた。



「兄様ぁ! た、助けてくださいまし!!」


「え」


 よく見ると、サイネリアがフォルを背後から奇襲し、胸を乱暴に(つか)んでいた。……うわ、なんて光景だ。てか、なにがどうしてそうなった!


 てか、サイネリアのヤツ、あのフォルを力で圧倒するだなんて。



 強いな……!

いつも応援ありがとうございます。

もしも面白い・続きが読みたいと感じましたら、ぜひブックマーク・評価をお願いします。感想もお気軽に書いて戴けると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ