第150話 イクシード
俺は……死んだかのように思えた。
だが、すっかり忘れていたスキル【イクシード】により復活を果たした。
「うぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉおぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
「バ、バカな!!! 貴様なぜまだ生きて――――――!!!!! 肉体は滅び、なにかもが消滅したはず!!! なぜだああああああああああ!!!!!」
俺が蘇生したことに驚愕するコンスタンティンは、ありえないモノを見るような目で叫んだ。まあ、幽霊なのには間違いないかもな。
12人のコンスタンティンは再び、【世界終焉剣・エクスカイザー】を構え始めた。やることだけは早いな。けどな――!
「させるかよ!!!!!!」
俺は、
これまでずっと温存していた最大の大技スキルを――
「これが、俺の、怒りだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
『――――――――――エンデュランスッッ!!!!!!』
「かぁっ……! そ、それは…………あの憎き神王の…………光、か」
・
・
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『うぉぉああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!』
――――――。
【虹】の輝きが聖地を包んだ。
もう、なにかもが消え去った
…………あぁ、俺は。やっと。
◆ ◆ ◆
鐘の音だ。
あ、そうか。どこかで聞いたことがあったんだよな。
『……あ、れ。フォル』
「よろしくお願いします。フォーチュンさま」
「いえ、私は『フォーチュン』ではありません。神王・アルクトゥルスなんですよ。これから、あなたと共に旅をするのです。ですから、この先にある『小屋』を目指すのですよ」
「はい……これが『フォーチュンの導き』なのですね」
フォルは『小屋』へ向かった。
◆ ◆ ◆
――また鐘の音だ。
「おや、あれは可愛らしいエルフですね。なるほど、アヴァロンを追い出されたと。……よし、可愛いので仲間に加えましょう。……そうですね、イノシシを使って――」
そこらにいたイノシシモンスター『グリンブルスティ』を煽った。
「きゃあああああ! モンスターがなんであたしを!! いやあああ」
リースは近くにあった『小屋』に突っ込んだ。
そっか。
それで、小屋に突っ込んだんだ。
◆ ◆ ◆
鐘の音は続く。
桜が吹雪いている。
これは、本当に本当に昔の話だ。
従妹はオンラインゲームが好きで、俺とよく遊んでいたっけ。
ある日、彼女は『現実とオンラインゲームが融合』しただかの、そんな最先端のゲームテストを手伝うため――不運な事故に巻き込まれ……
でも、彼女は、奇跡的に深い眠りについていただけだった。
だから、金の卵に。
◆ ◆ ◆
――――――ん。
「あぁ、この甘い香り。メサイア」
「うん。ここは『家』よ」
「…………あぁ」
「そ。あんたはね、一週間くらいは寝ていたと思う」
「長いなそれ。通りで腹が減ったわけだ……。で、あれ、戦争は?」
「とっくに終わったわよ。世界はもうすっかり平和。なーんも起きていないわ」
そっか。
あれから『コンスタンティン』を倒し、世界は平和になったらしい。
そこで、ゴトっと物の落ちる音がした。
「あ、兄様! お目覚めですか……よかった!」
「お、フォル。久しぶり」
「よかった、本当に!!」
フォルは大泣きし、俺に抱きつき……『よかった』と、それをずっと繰り返していた。ああ、……随分と心配させてしまったようだな。
「すまん。なんとか帰ってこれたよ」
「はい……」
そして、またも物が落ちた。
うわ、果物が大量に床に落ちて――
「え!? サトルさん!?」
「リース! あれ、髪型変わったか?」
「サトルさぁぁぁあっぁあん!!」
リースもまた大粒の涙を流し、俺に抱きついてきた。
こう連続で女の子に泣かれると、さすがに心が痛いな。
「リースにも心配を掛けたな。俺は無事だぞ。けど、なんかレベルとかスキル全部失ったっぽいなぁ……リセットでも掛ったかな」
「サトルさんがご無事で本当に良かったです……」
俺もリースにまた会えて良かった。
で、ふと、視線を泳がすと――
「お、ベル。お前も……服、変わったか。あれ、ビキニアーマーはどうした? なんで、そんなマトモな服を着ているんだ!?」
ベルはすげぇオシャレしていた。
なんだろう、凄く頼り甲斐のありそうなお姉さんって感じ。
「…………あ、理くん。目を覚ましたんだ……」
ちょ……!
あの、冷静で、淡泊で、無感情のベルが『涙』を!?
もう一度言う。
『涙』を!?
「お、おいおい……珍しいこともあるもんだな、ベルが泣くなんて……」
「そりゃ泣くよ!! もう、すごーーーく心配したんだから!!」
……おぉ、ベルが自ら飛びついて来た。
これは現実!?
「それとも夢か」
「夢なわけないでしょ。じゃあ、証拠ね!」
みんな、一斉にキスを求めてくる――!
「うわ、みんな! ちょっとー!」
ドタバタと騒がしい。俺のベッド上でなにしてんだか。
その隙を抜け出してきたのは、メサイアだった。
「――――ん」
あ……。
甘い香りと味がする。
夢じゃないんだ。
これは、本物だ。
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