第149話 サクリファイス
12人のコンスタンティンは一斉に【世界終焉剣・エクスカイザー】の大技を放ってきた。
くそっ……!
あんな、それこそ世界の終わりのような砲撃……俺は耐えられるとしても、みんなは耐えられん!!
俺は、メサイアに『テレポート』を強く指示した。
「頼む。俺がアレを耐えるから……!! みんなをテレポートで逃がしてくれ!! 城の外なら行けるはずだ! メサイア!!」
「で…………でも、それじゃ、サトルが!!」
「いいんだ。俺は!! 信じろ!! 絶対に帰ってくると約束する!!!」
「……サトル。わたし……あんたを愛してる」
「ああ、知ってるさ!!」
『――――――』
メサイアはテレポートを使った。
みんないなくなった。
これで、遠慮なく――!!
「ぐぐぐぐぐがあああぁぁあああああああああああっ!!!!」
だが、俺は向こうの力に押されていく。
さすがの『コンスタンティン12人分』……。
こ、これはもう限界が……!!!
「フハハハハハハ!! 我、12人分の『終焉の力』には勝てまい!! 貴様は所詮、神王の空蝉だっただけのこと!!」
「なぜだ……なぜ俺をそんな執拗に狙う!! もともとの目的はアーサーじゃなかったのか!?」
「アーサーは、聖地を滅ぼす為に必要だっただけの……それだけの存在!!
真の目的は、貴様!! 貴様だ!! お前は……そう、あの神王の――!!! 我を認めなかった、あのアルクトゥルスの――!!!!!」
「うあぁぁあああああががああああああ……!!!!!」
ヤロー…怒りに任せて、一気に押してきやがった!
やべえ、腕がへし折れる……!!
とんでもない力が……『黄金の光』を圧倒していた。
あれが、『終焉の力』ってことか…………!!!
「死ねえええええええええええええええええええええええ!!!」
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
俺は――【終焉】に負け――――
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虹を見た。
ある日、虹を見た。
美しい空中庭園。
平和で、とても平和で――。
「……サトル殿。こちらへ来てしまったのですね」
「あんた……神王・アルクトゥルス」
「ええ、全てを話す時が来たようです」
「す、すべて?」
「あまり時間はありません。いいですか、心して聞いてください」
神王は、真っ直ぐ俺を見つめた。
「まず、サトル。あなたは……私であり、私はあなたであるのです」
「……え?」
「――そうでしょう。混乱されるでしょうね。私はあなたの――そうですね、遥か昔の姿。一度は滅んだ惑星を再構築し、創造し、この世界を創った」
「けど、俺は……確か『契約』して。それと、ベルの言っていた『金色の円盤』は……」
「そうです。その通り。
もともとこの世界は【サクリファイスオンライン】をベースにした世界です。これはね、私が――あなた自身が昔プレイしていたオンラインゲームなんです。私はそのデータを元に、この世界を構築したのです。
遥か昔、現実とゲームの世界が融合して、滅んだ世界があった……。ある意味、【生贄】となったあの世界は、私の手により生まれ変わった」
神王は、話を続ける。
「それから、私はこの世界を観測し続けた。
ですが、たびたび生じる『戦争』――『善』と『悪』はずっと繰り返されていた。滅び、再生を続けた。ですから、私はバランスを保つためにも【聖地】を置いたのです。
それは成功したかのように見えましたが……しかし、当時青年の『コンスタンティン』は、『聖者』をこころざし、私の元までたどり着きました。
ですが、私は彼を拒絶しました。なぜなら、彼の未来に【終焉】が見えたからです。それからです。彼は、『ラウディオス・プトレマイオス』の作った【死の呪い】を悪用し、この世界を女神のいない『死神の世界』――そう、『闇の世界』にしてしまいました。またもバランスは崩壊したのです。その結果が【レイドボス】でした。
そこで私は考えました。私自身が動けばよいと。
けれど、私は『神王』ですから、この【ビフロスト】を空けるわけにはいきませんでした。そこで、妻と話し合い、私は『契約』したのです。私の【魂】の半分を【生贄】にしてね。
それと、『金色の円盤』ですが、あれは【金の卵】という古代の技術でしてね。あれだけが唯一のオリジナル。私が作ったものではありません。
そして、もともとアレの中は『ハーデンベルギア』が眠っていたものでした。私はハーデンベルギアを目覚めさせ、それから、あの装置を使い、あなたをつくったわけです」
「それで、魂を生贄に……。俺が――――あんた」
なんだよそれ……。
俺は、神王の半身だったってことかよ。
「卑下する必要はありません。さっきはあのように言いましたが、あなたは、あなた自身です。昔も今も、これからも。
――ですから、どうか、あなた自身のために聖地をお守りください」
そこで――
【リミットブレイクγ】
効果:一定確率で[オートヒール]を発動する。[オートヒール]の回復力 + 25%、HPが25%を下回った場合[オートハイパーリペア]を 5% の確率で発動する。HP/SPを全回復する。
死亡時、一度だけ蘇生できる。蘇生後【イクシード】を発動する。【イクシード】を取得後、α、β、γのスキルは消滅する。
そんなスキルが発動した。
そうか、俺……死んだんだ。
けど、そうだな、これをスッカリ忘れていた。
『イクシード――――――!!』
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