第146話 大聖戦② - 円卓の騎士 -
敵・コンスタンティン軍は、容赦ない砲撃を繰り返した。
いつの間にか『魔導兵器』のようなものまで持ち出してくるとは……!
あんなのアリか!? 反則だ……!
おかげで、前へ出ることは叶わなかった。
とっておきは、この状況では厳しいな……味方を巻き込んじまう。
だが、それどころか、味方は次々にやられ……
「こっちの戦力は!? レッドスカーフ!」
「…………あと百人だ」
「ひゃ…………百人。たったの百人……」
「戦は所詮、物量がモノを言う。私たちが生き残っているのが奇跡なくらいだ。それより、もう完全に囲まれているぞ」
今や、フォルの守護スキルである聖域『グロリアスサンクチュアリ』は破壊され、ベルのシールドのみで守られている……。
それもいつまで持つか。
「すまん、ベル」
「いいよ。一緒に死ねるなら本望さ。けどね、わたしのシールドはそう簡単には突破できないよ!!」
盾で守りつつ、攻撃にも徹するベル。
もうワケの分からないほど、シールドスキルを連射していた。
『ホーリーシールド』、『グレイスシールド』、『ホーリークロス』、『ロイヤルシールド』、『エレメントシールド』、『ヴィーナスシールド』、『ルーンシールド』、『エグゼキューションシールド』、『オーディンシールド』、『アポカリプスシールド』、『グロムシールド』、『グノーシスシールド』、『ヒーリングシールド』、『ネメシスシールド』、『アークシールド』、『アヴェンジャーシールド』、『ジェネシスシールド』
止まらぬ猛反撃。
いくつものスキルが打ち上げられ、
それらは、敵軍を焼き、焦がし、粉砕し、爆散、裂傷、猛毒に、あるいは凍結させ、麻痺もさせた。何かの呪いにも掛け、運の悪い者は致命的なダメージを受けていた。
ベルのトンデモ乱発のおかげで、敵軍の数を確実に減らしていた。
けど、それでも敵は粘り強く耐えていた。くそ、練度高すぎだろ!
「くっ……。無茶しすぎた」
「そりゃそうだ! 大丈夫なのか!? ベル!」
「うん。フォルちゃんに治癒はしてもらっているけどね。なかなか……」
フォルから『グロリアスヒール』を受けていた。けど、精神的苦痛は計り知れない。きっと、いやかなりキツイはずだ。
「もう俺が飛び出るしかないか……!」
それしか方法はない。
「行くの、サトル」
「ああ、もうこれしかない……。メサイア、お前はせめて、みんなを逃がしてやってくれ。確かテレポート使えたろ」
「あ、うん。けど……サトルは!?」
「俺はこれだけで十分だ」
最後に、俺はメサイアの唇に重ね合わせた。
「――――――」
「……みんな、いつか、虹の空中庭園で逢おう!!」
俺は、そう言い残し……戦場へ飛び出した。
いつかのドラゴン戦のように、【ダークニトロ】の推進力を得て、一気に空へ飛翔。かなりの高さに到達した。
「これで、終わりだあああああああああああああ…………!!!!!」
え……
俯瞰で見てようやく分かったことがあった。
コンスタンティン軍は、さっきの戦いで『六万五千』ってところまでには減ってはいた。数は減っていたんだ。
だが、
「お、おいおい……!」
コンスタンティン軍――『六万五千』を更に取り囲むように……
大規模すぎる、圧倒的な軍勢が押し寄せていた。
「これは……まさか。ギルドのみんなやってくれたのか!!!」
間に合ったのか……!
「我ら聖地防衛のため――【聖地・ランスロット】加勢する!! 全軍砲撃せよ!」
「余たち【聖地・ガウェイン】も参戦する!!」
「私共【聖地・ガラハッド】も助成に参った!! 掃討を開始する!!」
「俺も戦う!! 【聖地・ケイ】見参した!! 追放されたぼっちだけな! ちくしょぉぉぉ……! いくぜえええ!!」
「間に合いましたね。【聖地・トリスタン】も戦います!!」
「よっしゃあああ!! 【聖地・ガレス】突撃だああああ!!!! 突撃ィ! 突撃ィ!!」
「アタイの出番やね! 【聖地・ボールス】敵を駆逐する!!」
「ガハハハ! こりゃおもしれぇ! 【聖地・ラモラック】やっちまええええ!! 捕虜は出すなよ!!」
「いやはや、まさかパロ様の代わりを務めることになるとは……【聖地・パロミデス】も進軍する!! 敵を抹殺せよ!!」
「ヒッヒヒヒ……コンスタンティン軍は、どんな色の血を流すんだァ!? 【聖地・ユーウェイン】敵軍を捕らえ、血の雨を降らせろォ……!! そして、その血を飲み干せェ!!」
「ひぃ……。ユーウェイン殿怖すぎでしょ! 【聖地・アグラヴェイン】も向かうぞ! ドラゴンを放て!」
「ワシも助太刀に参った。皆の者、【聖地・ペリノア】の精鋭たちよ! 全能力解放を許す! 心行くまで存分に暴れるがよい!」
「おお……すげぇ。すごすぎるぜ。これが【円卓の騎士】か」
「まだだ! 【聖地・モードレッド】もまだ終わっちゃいない!!」
レッドスカーフ!!
「私どもも参りました。【聖地・ベディヴィア】――敵を殲滅するのです」
「え、お! ベディヴィアって、なんかメサイアそっくりだぞ……。まさか! 神王の嫁か……?」
詳しい事は分からんが、なんかっぽいな。
「私は一人だけど……【聖地・パーシヴァル】も!」
「いや、貴女は一人なんかじゃない。僕がいます! 【聖地・アーサー】も戦います!」
あの女の子は『パーシヴァル』か。その横にアーサー。
これで舞台は整ったってことか――!!
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