第140話 聖地・コンスタンティン攻略開始
日はすっかり暮れた。
宿屋に戻ると、リースからとんでもない事を聞かされた。
「なに、コンスタンティン軍が聖地を襲い始めた!?」
「はい……。お父さんの緊急のテレパシーが入ってきて……それで」
動き始めたか……!
よし、うまい具合に『情報』に釣られたらしいな。これで、向こうの戦力の数万は削げるはず。
「それで、情報操作ってなによ?」
メサイアが質問を投げてくる。
「簡単さ。聖地・パーシヴァルが立て直しを完了し、コンスタンティンに攻め入るらしいと噂を流してもらった」
「えっ、そんな事したらまずいのでは!?」
フォルが驚くが――
「大丈夫だ。聖地・パーシヴァルは、アーサーが言っていたろ。滅びたって。つまり、あそこにはなにもないんだ」
「ああ、そっか! だから、聖地・パーシヴァルに」
「理くん。それだけじゃないんでしょ」
「お、ベル。察しがいいな。そう、パーシヴァルには、罠を仕掛けておいた。そりゃ、みすみす数万の兵をコンスタンティンに戻してたまるかってね」
「つまり、モヒカンくんたちを使って、偽情報を流し、コンスタンティン軍の数万の兵を、何もないパーシヴァルに行かせたワケね」
ベルがまとめてくれた。
それで、大体あっとる。
「――で、その罠って?」
リースは首を傾げていた。
うん。説明していくか。
「それなんだけどね――――」
◆ ◆ ◆
【 聖地・パーシヴァル 】
二万の軍を率いるは、隊長のルーカンだった。
彼は、コンスタンティン王から大役を任され、情報通り『聖地・パーシヴァル』へ進軍した。
パーシヴァルといえば、ドラゴンに襲われ一度は壊滅した。その後、コンスタンティンの『聖者の行進』――十万の兵の大侵攻により、また滅んだ。
しかし、またも復活を遂げたようだ。
そんなに早く立て直すとは、やはり、アーサーを討つしかないとルーカンは考えた。
「隊長! 報告致します。この聖地・パーシヴァルはもぬけの殻。なにもありません!」
部下が状況をそう報告した。
「なに!? なにもないと申すか!?」
「はい、いったい何が――――うわ!!」
――その時、すでに先回りしていた『ああああ騎士団』がソレを発動した。
「コンスタンティン軍。これで貴様らは終わりじゃ!」
ああああは笑う。
『ズドドドドドドオォォォッ!!!』
「バカな――――!!」
ルーカンは驚く。
激震が起こると、地面が崩落し始めたのだから。
「「「うあぁぁぁあ――――――――――!!!!!」」」
・
・
・
「落ちたな」
ああああは確信した。というより、少しビビっていた。
「ああああのアニキ。これが『特大エクサダイト』の威力とは……」
「ああ、まさか『聖地・トリスタン』の大聖堂にあった『特大エクサダイト』を使うことになるとはな」
聖地・パーシヴァルは、もともと広範囲に広がる地下避難所があった。その地形を利用し、二万の兵を叩き落とす作戦だった。
「なかなかエゲツない作戦を考えてくれるよ、サトル。だが、これでこいつらはそう簡単には這い上がってこれないな」
この作戦により、コンタンティン軍は二万の戦力を失った。
◆ ◆ ◆
【 聖地・コンスタンティン - 王の間 】
「なに……! 二万の軍が行方不明だと……!! 貴様、それは確かか!!」
「そ、そのようで……。しかも、プロキシマ上級騎士殿とケンタウリ上級騎士殿もまったく状況が掴め――――ぐあああああああああああああああ!!」
コンスタンティン王は、報告していた臣下を塵にした。
「……もうよい。聞くだけ耳障りだ。……おのれ、おのれ……!」
コンスタンティンは激しい怒りに狂った。
ここまで抵抗するとは、予想外だったが、まだ兵力は八万はあった。このままでは、無駄に戦力を減らすだけ。ならば、残りの残存兵力を使い、隣国である【聖地・モードレッド】を滅ぼしてくれよう――そう、決意を固めたのである。
――それと同時に、あの男を暗殺する。
王には、しっかりと見えていたのだ。
水面下で行動する者たちの存在を。
「貴様の情報には感謝するぞ」
「ええ。王のためならばお力になりましょう」
「ああ……頼むぞ。お前の有益な情報が我が勝利へと繋がるのだからな」
深々と頭を垂れる男。
そこにはギルド『サンフラワー』のあるメンバーの姿があった。
◆ ◆ ◆
「よし――『ああああ騎士団』がやってくれたみたいだな」
たった今、リースから朗報を受けた。
今頃、コンスタンティンは怒り狂っているに違いない。
俺の勘が確かなら、この『聖地・モードレッド』に一気に攻めてくるはず。そうなると、こちらは戦局的に不利かと思うが、ギルドのみんなが今は躍起になって味方を集めてくれている。全聖地の勢力がこちらに加われば、その時、俺たちは完全勝利する。
勝てる……!
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