第122話 逆転の女神 - 女神は俺に微笑んだ -
聖者に――いや、それ以上の力を手に入れた最高指導者・ドクトリン。
ヤツは、魔剣・エクスカイザーを手にし、勝ち誇っていた。
「みなぎる……! 力がみなぎってくるぞ……! フハハハハハッ!」
あのヤロー! 力が増幅してやがる!
あのままでは『聖者』すら超えるバケモノに……させるか!!
「それ以上、強くさせるものか!」
「まって、落ち着いてサトル。私たちも」
「メサイア……。みんなも」
そうだ、こんな時こそ力を合わせて!
「メサイア! お前は女神スキルをありったけぶつけろ! フォル、奥義をぶちかませ! リース、いざとなったら【アルマゲドン】を許可する!!」
リースの獄禁呪スキル【アルマゲドン】は、ヤバすぎてその使用を封印してもらっていた。だが、もうそんな悠長を言っていられる状況ではない。ちなみに【アルマゲドン】の効果をおさらいしておこう。
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【スキル】アルマゲドン
【Max Lv】10
【効果内容】
世界滅亡級の『超巨大隕石』を落とし、全てを無に帰す。
このスキルを最大レベルで発動すれば、
世界は一瞬にして終焉へ向かう。獄禁呪スキル。
[Lv.01]:無属性魔法攻撃 10000%~30000%
タイダルウェーブ発生率 + 100%
有効レンジ:半径100km
(中略)
[Lv.10]:無属性魔法攻撃 18000%~50000%
タイダルウェーブ発生率 + 1000%
有効レンジ:半径1000km
SP消費量:3000(固定)
固定詠唱速度:100%
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アヴァロンに甚大な被害が出るかもだが……。
幸い、ここは『謎すぎる異空間』だ。だから、外には影響はないと見た。
それに、敵は想像以上の力を持っている。
ありゃ、レイドボスの比じゃないぞ!
「先制あるのみ! みんな、いくぞ!!」
俺はみんなと距離を取る。
その間にもメサイアが女神専用スキル『アポカリプス』を発動。
どうやら一定時間、パーティメンバー全員のHPを連続で高速回復し続けるようだ。この回復速度なら、大ダメージを負っても自然回復込みで何とかなるはずだ。いいぞ!
そうこうしていると、フォルが全速力で走っていく。
空に舞うと――
『秘奥義!! 覇王轟翔波――――――!!』
以前に増して、スキルレベルの上がった秘奥義が『赤い光』を帯びて放たれた。
そこに合わせるようにして、
俺は『聖槍・覚醒アルメニア』をぶん投げた。
「おっらぁぁぁあああああああああああああッ!!!!!」
さらに、リースが――
『ダークコメット!!』
暗黒の彗星を放った。
あれは、【アルマゲドン】には劣るが、相当な破壊力を持つ。
いける……これならいける!!
「フハハハハハ……! その程度か! その程度か!! 世界終焉剣を手に入れた私は無敵……最強!! 今こそこの剣の力を…………なに? それは本当か」
ドクトリンの手が止まる。
剣に耳を傾けている!? なんだ……!?
「幸運なヤツ等め。ひとまず、貴様たちの『攻撃を無力化』してやろう……!!」
ヤツは、エクスカイザーを一振りすると……
バカな!!
俺たちのスキルを『無力化』しやがった!
んな……!
「ほう、これが剣の力。素晴らしい。なんという圧倒的パワー!!」
「なにをしやがった!?」
「この剣が教えてくれたんだよ。スキルを無力化できるってな。これがその結果さ……フハハハハ!!」
んなアホな!!
そんなもんどうやって勝てばいいんだよ!!
「さあ、何度でも撃ってくるがいい。その度に貴様たちのスキルを無効化してやろう。そして、貴様たちは思い知る……私には勝てぬのだとな!! さあ、決めろ。私の軍門に下るか……死ぬか」
ふざけてる……!
焦っていると、パロが近くで、
「ごめんなさい……にゃ。パロの、ぼくのせいで……」
「パロ、お前が悪いんじゃない。全てはヤツの悪事だ。
確かにこの状況は絶望的だ……けどな、俺はまだ諦めちゃいない! さっき言ったろ、仲間がいるって。それを今から証明してやる」
「……証明?」
俺は、メサイアに合図を送る。
メサイアには、女神専用スキルを散々取得してもらっていた。その中に、ドクトリンに対抗できるカードがあるとしたら……まだ希望はある。
さあ、メサイア……あるんだろ。
グッと……サムズアップするメサイア。
女神は俺に微笑んだ。
俺はその満面の笑みを見て、つい口元が綻んだ。
「…………クク、ククククク……」
笑いが、止まらない。
「き、貴様……なにがおかしい!! ……あぁ、さては、この状況があまりに絶望的なのだから、笑うしかなくなった、というわけか。哀れな」
ドクトリンはニヤニヤ笑う。
だが、俺はそれ以上に笑う。
「クククク、フゥハハハハハ、フゥ~~~~~~~~~ハハハハハハハハ!!!!!」
「イカれやがったか。もういい、貴様たちはここで消えてもらう」
剣を構えるドクトリン。
そうして、スキルを放った。
とんでもない巨大な暗黒星雲が襲い掛かってきやがった――!!!
勝った!!
俺の、勝ちだああああああああああああァ!!!!!
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