第119話 古の聖教会 - グラストンベリィ -
聖剣を探しに『グラストンベリィ』へ向かうことになった。
「あれ、ベルさんは?」
途中から合流したフォルが、キョロキョロとベルを探していた。
「ああ、ベルは新しい盾スキルを試しに行った。だから、俺たちとは別行動だな」
なるほど――と、フォルは納得した。
「では、兄様を誘惑する魔のビキニーアーマーは当分の間は、帰ってこないというのですね。……フフフ」
なんだ、魔のビキニアーマーって……。
フォルのヤツ、目が怖いぞ。さすが、ヘンタイ聖女だ。
さてさて、今度こそ向かおうとしたら、どこかで子供立ちの楽しそうな声が聞こえた。
――ん。ありゃ、リース。
へぇ。子供たちに囲まれているとは、人気者なんだな。
俺はその様子を観察していた。すると、男の子がリースのスカートを捲った。
「ぶッ――――!!」
見えとる! ピンクの可愛いアレが見えとる!!
「きゃぁぁぁ! サトルさん見ないで!!」
そう恥じらうリース。
出会った頃はそんな羞恥心もなかったものだが、変わったものだ。――って、ガン見しとる場合じゃない。先へ進まねば。
「リース。子供立ちと戯れているところすまないが、聖剣を探しに行くぞ。それか、子供立ちの面倒を見ているか?」
「一緒に行きます。あたしも聖剣がどのようなモノなのか気になるので」
スカートを捲られた状態で、リースは真剣な顔で言った。
……見えているんだよなぁ。うーむ。
◆
【 古の聖教会 - グラストンベリィ前 】
アヴァロンの中央に位置する湖。
そこに廃れた教会がポツンとあった。あの中に?
「サトルさん。あの教会の中に聖剣はあると、お父さんから聞いています。ですが、あたしはあの中へ入ったことは一度もありません。――ですから、なにが起こるか検討もつかないのです。……でも、サトルさんなら」
「ああ、心配するな。俺もみんなもいる」
みんな、うんうんと頷いた。
よし、行くぞ……!
教会へ向かって歩き出した――時だった。
目の前にボロボロの騎士が立ちはだかった。
「お前……! ……誰だっけ!?」
「ク、クローズド様だ!! お前にボコボコにされたおかげで、顔が変形しちまったんだ!」
「む? クローズド……? ああ、いたな。そんなヤツ。てか、メサイアのループを抜けたのか! しつこいヤツだな」
「ああ、そうとも! なんとか奇跡的に脱出したのだ! オレはこう見えても上級騎士……ザコ兵共と一緒にしてくれるな! しかし……」
「しかし?」
「腹が減った……」
ドサッ……と、クローズドは地面に倒れた。
すると、メサイアが呆れた顔で、
「サトル、あの変なの倒れたわ。どうするの」
「――どうするって言われてもなぁ。放置しておくしかないだろう?」
俺たちは、ボロボロをスルーした。
「……まて! まだ戦いは終わっていない! その前に、食べ物をよこしやがれください!!」
「なんで敵に施さなきゃならないんだ……。諦めろよ、クローズド。あんたは負けたんだ。素直に祖国へ帰れよ」
「……ククク。隙を見せたなァ……!!」
クローズドは不敵に笑うと、リースの足首を強く掴んだ。
「きゃぁ!? ……は、放して!」
「放すものか! このまま『自爆』してやる! 見よ! この『エクサダイト』の量をなァ……!!」
おいおい……『エクサダイト』だって!?
って……なんだ?
「サトル。エクサダイトは、エクサニウムよりも希少なレアメタルよ。主に武具の過剰『ウルトラ精錬』や魔法スキルの火力補助に使えるのだけど……超強力な爆弾にもなるの!」
焦りを滲ませたメサイアが説明してくれた。
……あの慌てよう、ガチでやべーな……。
「クローズドてめええええええッ!!!」
「ふはははは……オレは、この瞬間をず~~~っと待っていたのだ! 貴様たちを葬るためにな!! あぁ……そうさ、オレは最初から貴様らを道連れにする魂胆だったというわけさ! ざまぁみろ!! ふははははははは……!」
ヤロー!!
自爆される前に、ブッ飛ばす!!
「お~っと動くなよ? まだ話は済んじゃいない。いいか、女どもは全員裸になってもら――――」
そのゲス台詞が飛び出た瞬間、俺はプチーーーーーーンときて……
「させるかボケェェェェェェェエエエ――――――ッ!!!!!!!!」
俺は、少し前に覚えた聖者専用スキル『スターダストナックル』を光の速さで発動。怒りのまま、クローズドの顔面に拳を入れた。
「ふぉげぶえぶえうええええええええっばばばあええべべええええええええむあぁあーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
クローズドは地面へメリ込み、その衝撃で地割れが出来た。そのまま地下深く落ちていった。それこそ、奈落の果てまで……。
どこかで大規模の爆発が起き、大地が揺れた。今度こそヤツは生きて帰ってこれないだろう。
「俺の仲間の裸を見ようなど……万死に値する」
――なんてカッコつけていると、
「サトルさん! 怖かった……すっごく怖かったです……!!」
泣きついてくるリース。
俺は、リースをぎゅっと抱きしめた。
「リース。もう安心しろ。ずっと傍にいてやるからな」
「……はいっ」
……それにしても、クローズドの野郎。
自分の命も惜しくないとはな……これが連中のやり方ってことか!?
コンスタンティンのヤツ等は、そこまでしてアヴァロンを滅ぼしたいのか!
許さん……絶対に許さん!!
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