第116話 アヴァロン救済② - 聖槍覚醒 -
敵将のクローズドは倒した。
急いで次の出現地点へ駆けつけてみると。
「フォル! リース!」
二人とも捕らえられていた。
バ、バカな……二人ともLv.9999だぞ。そんじょそこらの兵なんかに簡単に負けるはずがない。……しかし、これが現実。受け入れるしかない。幸い、彼女たちは軽傷を負っている程度だ。
ほ……無事で何よりだ。だが、人質には変わりはない。
「二人とも何があった!」
「…………」「…………」
二人とも沈黙。
クソ……! 『沈黙』の状態異常か……!
そんな上級スキルを扱えるヤツとはな。ヤツか、あの碧色の髪…………女騎士!? アレが『アルデバラン』か!?
俺はてっきり、あの最高指導者かと……違ったか。
まあ、だからと言って手加減はしないけどな。けど、フォルとリースを人質に取られている。厳しい状況に変わりはない。
どうする!?
「報告は受けているぞ。貴公が、クローズドとその部隊をやった者か。……なるほど、凄まじい闘気を感じる。おもしろい、この戦い決闘で如何かな。そこの男」
アルデバランは、俺を強い目力で威圧してきた。
……コイツ! 明らかにクローズドとは桁違いだ。あの隙のないオーラは、俗に言う『十聖騎士』のそれに近い。『聖者』がいるように、騎士にも相応の聖クラスがあるんだとか……いつしか神王に聞いたことがあった。……まさかな。
「私はアルデバラン! コンスタンティン王に仕え、絶対忠誠を誓う者!」
――アルデバランは、剣――違う!!
『刀』を抜いた。
騎士が『刀』だって!?
「……騎士が『刀』を使うなんて聞いたことないぞ……! ちょっと驚いたが、いいさ。あんたの望み通り、決闘でやってやる。メサイア、ベル、手を出すなよ」
「分かった」「了解」
俺は、自身の持つ最強クラスの聖槍『覚醒アルメニア』を召喚し、手にした。
「ほう。聖槍なのに、なんと禍々しい槍だ。それはとても聖なる槍には見受けられない。まるで、穢れ、呪われた槍……だが、そんな瑣末な問題はどうでもよい。それを遥かに超越する、我が神器『宗近』の前には平伏すしかないのだからな!」
「神器だと……! 俺こそ、そんなもん知るかッ!!」
「愚かな。少しは慧眼に長けているかと思ったが……私の勘違いだったようだな!」
アルデバランの『刀』に碧色の稲妻が激しく走る。
ただでさえ、青い刃。その周囲に幻想的なまでのオーラを帯びて、その色をより一層濃くした。……なんて美しい。まるであれが彼女の魂の色ではないかと錯覚してしまうほどに――
――まずい、見とれている場合じゃないぞ……!
「聖槍をくらいやがれええぇえええええ――――――!!!!!!」
俺は、槍を最大出力でブン投げた!!
槍は一直線にヤツへ到達し……
「やったか!?」
ヤツは『刀』を振り下ろし、俺の槍と……拮抗しやがった!
「し、信じられん! 俺の槍を受けやがった……だと!」
バカな、そんなはずがない!!
俺は、Lv.10000で……『聖者』だぞ!? それなのに、ヤツは平然と受けてやがる。あれが『神器』の力というわけか!?
クソ、負けてられっかよ!
ここで負けたら、アヴァロンは救えない。
それ以上に、フォルとリースを助けられない!
それだけは絶対にさせねぇ!!!
「超越の力――【トランセンデンス】も発動してやらああああああ!! うらあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
俺は……ガチの本気で全てのパワーを出しきった!! さすがのアルデバランも顔が引きつる。……このまま押し切れば!
衝突していた光と光がひとつの赫奕の塊となり、次第に、ヤツの方へ傾き始めた。もう一息だ。あとちょっと、あとほんの少しで――!!
「これで、俺の、勝ちだあああああああああああああああああ!!!!!!!」
「おのれえええええええええ!!!」
――――――…
アルデバランは、俺の聖槍をモロに受け、瀕死のダメージを負った。しかも、ヤツとヤツの兵も被害を被り、全滅した。
「……はぁ。……はぁ……久しぶりに本気だしちまったわ」
正直、あの女騎士は手強かった。つか、ビビった。あそこまでやるとはな。だが、俺の勝利だ……勝った。勝ったぞ……!
「サトルさ~~~ん!」「兄さまぁぁぁ!」
ベルが二人を救出してくれていた。
リースとフォルが涙ながら駆け寄ってくる。……良かった、無事で。
「二人ともケガはないか?」
「はい、あたしは大丈夫です。サトルさんこそ、大丈夫です?」
「おう、俺は無傷だよ。ちょっと疲れただけだ」
「兄様、回復はわたくしにお任せ下さいね」
「頼むよ、フォル」
「しっかし、超本気だったからな……疲れはしたが――うわぁぁあ!?」
安堵したその時。
俺は面を食らった。
よく見れば、女騎士だけ立ち上がっていた。
ウソ……だろ。あの全力の塊をまともに受けて、まだ立ち上がるのかよ!! バケモノかよ……。しかし、アルデバランは満身創痍。もう戦える体ではない。ボロボロだ。
「…………くっ、殺せ。……このまま生き恥を晒して生きていくくらいなら、貴様にトドメを刺してもらう方がマシだ!! ……さあ、やれ」
アルデバランは敗北を認めつつも、刀を杖代わりにし、立ち上がった。
……コイツ。
ああ言っているクセに、言ってることとやってることが矛盾している。
アルデバランは、刀を構え、まるで諦めていなかった。……あれじゃあ、生きたいと言っているようなものだ。まったく。あの頑固な面構え、どこかの女神様みたいだな。
「うるせー! 知るか!」
「……わ、私をこのまま見捨てるというのか! 後悔するぞ! ……コンスタンティン様が黙っちゃいないぞ! それでも……それでもいいというのか!?」
「ああ……好きにしろ。その時はその時だ。じゃあな」
「…………」
女騎士・アルデバランは、感情を押し込めるようにして、その場に崩れた。
目的は達成した。
これでアヴァロンは救われたはず。その事実だけがあれば十分だ。
さあ、帰ろう。
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