第115話 アヴァロン救済① - 終極の業火・アンタレス -
準備は整った。
あとは至近距離にいる『クローズド』率いる部隊と本人を強襲するだけ。
というか、もうしていた。
こりゃ、まるで遠い昔の記憶にある『桶狭間』だな。人生ウン十年を舞っておくべきだったか?
――さあて、俺は【オートスキル】をセットしたまま、敵陣に突っ込む! とにかく前へ。前進あるのみ!
こっちの方が早いからな! 処理が!
大きな盾を持ったベルに先導してもらい、突撃していく。
敵勢力は約五十人。ヤツ等のど真ん中に大胆に登場してやった。
「なっ、なんだコイツ等!?」
俺たちの奇襲に驚く兵たち。
敵はしばし混乱し、やっとのことで臨戦態勢に入った。だが、かなり陣形が乱れている。チャンスだ。
「て、敵襲! 敵襲だ!!」「やっちまえええ!!」「クローズド様をお守りするのだ!!」「うぉぉおぉぉぉ!」
五十人が一斉に襲い掛かってきた!!
その瞬間――【オートスキル】が発動!
予めセットした新スキル『アンタレス』が巨大な炎の蠍を呼び起こし、前方に広がった。兵たちは終極の業火に焼かれ、体勢を大きく崩し、特大のダメージを受けていた。与えてやった。
「「「「「うああああああああああああああああッ!!!」」」」」
猛炎は連鎖し、兵たちを焦がす。
「今だ! メサイア!!」
「分かったわ!」
俺が指示を出すと、後方にいるメサイアはそれを敵陣に向けて発動した。
『インフィニティ・オーディール!!』
例の『ループスキル』をヤツ等全員に限定して使用したのだ!! どうやら、メサイアのループスキルは、使用レベルさえ下げてしまえば、効果の範囲を狭めることも出来るようだ。つまりヤツ等は、この瞬間にも『無限地獄』に突き落とされたのだ。
「やったな、メサイア! ヤツ等、同じ時間を永遠に過ごし始めたぞ! こっちの存在に気づいてすらいない」
残存していた複数の兵たちは、メサイアのループスキルの範囲内で、まったりと休息を始めていた。それはまるで、俺たちとは別次元……夢境にいるかのような光景だった。
効果の範囲を限定すると、こうなっちまうんだなぁ……恐ろしい。倒れているヤツ等も、次第にあの繰り返される毎日を過ごすのだろうな。
やっと終わったと、喜んでいると――
「ま、まだだァ!! オレはまだ終わるわけにはいかないんだァァ!!」
「クローズド!!」
ヤツだけは必死に足掻き、こちらへ戻ってこようとしていた。なんて強い意志だ。しかし! 俺は容赦なく――
『二度と戻ってくんじゃねええええ!! ニトロ式ドロップキック!!』
「やめ――ぐっほぉぉぉおぉおおォォオォォォォォォォ――――――!!!」
ヤツの顔面に見事命中し、クローズド共々兵たちは永遠にループする運命となった。ざまぁない。
「理くん、鬼だねぇ~。でも、作戦成功だね。お疲れ様。カッコよかったよ」
ちょっと引き気味のベルから労いの言葉を戴いた。
「コンスタンティン兵は、アヴァロンを何度も滅ぼしたからな。当然の報いだ」
「これであとは向こうだけだね」
そう、これで残るは『アルデバラン』とかいうヤツだけだ。
だが、ソイツの情報は少ない……つーか、誰か分からん。
どんなヤツだったかも正体不明。記憶にないな。
幸い、場所だけは検討がつく。
ベルが言う向こうにおそらく『アルデバラン』は、ヤツはいる。
そこは、フォルとリースが向かったポイント。あの二人がなかなか帰ってこないところを考えると……まだ戦っているのかもしれない。
そうであれば、俺たちは全速力で向かう必要がある。
もしかしたら、ピンチなのかも……。嫌な予感がするな。
急いで向かわねば!
アヴァロンを救うためにも。
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