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【コミカライズ】全自動攻撃【オート】スキルで俺だけ超速レベルアップ~女神が導く怠惰な転生者のサクッと異世界攻略~  作者: 桜井正宗
第二章 聖地巡礼

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第112話 無限の復讐

 エルフの郷・アヴァロンはそれほど広くない。


 世間は狭いと言うように、小国程度の規模のこの郷では、情報が簡単に()れてしまうだろう。だから、俺はメサイア以外には、事実を話さないことにした。

 情報の漏洩(ろうえい)は、致命的な敗北へと繋がるからな。



 さて、改めて現在の状況を整理すると……



 必ず『赤い月』の夜からアヴァロンはじまっている。


 二~三時間後には決まってイベント発生。

 どこかのポイントにコンスタンティン軍が複数出現する。その後、アヴァロンは炎に包まれ、炎上。以下ループというのが大体の流れのようだ。


 これは、俺とメサイアの断片的な記憶を元に整理した情報だ。……そうなると、これからは二人で行動する方がいいわけだ。たぶん。


 だが……


「ちょっとまって。サトル、あんた……前の過去でリース、フォル、ベル、パロ……誰かしらとイチャイチャしていたわけよね?」

「んあ? ……それがなんだ」

「なんだじゃないわよ! どうして、私が一切含まれていないわけ!? こんなの屈辱よ! 侮辱よ! 蔑視よ! 神王様に訴えてやるー!」


 メサイアは、激しくブチギレた。

 つーか、そこかよオイ!


「メサイア。それは、過去にループした記憶の欠片にすぎないんだ。今は、お前と一緒の時間を過ごしているだろう。それでいいじゃないか。過去のことは水に流してだな……」

「むぅー…。もっともらしい……一理あるわね」


 そう渋々納得した様子で、メサイアは次に俺のズボンを脱がせ(・・・・・・・)――ってうぉぉぉい! ななな、なんで脱がすー!?


「なにしやがりゅ!?」

「……他の女の子とは、散々楽しんだんでしょ!?」

「はぁ? だから、それはループで……しかも、そんな楽しんだとかないわ。マッサージとか密着ストレッチとか、添い寝とか膝枕とかその程度だ!」

「十分楽しんでいるじゃない! もう絶対に許せない! いっそのこと、私を襲いなさいよ!!」



「襲うかアホ!!」



 支離滅裂(しりめつれつ)すぎるメサイア。

 なんとか落ち着かせないと! それに、こんなところを誰かに見られたら……。見られたら……


「――――――」


「あ」


 現在、リースの家のベランダ。

 騒いでいればそりゃ誰か来るというか、ベルが固まっていた。


「あー…。お邪魔だったかな。あはは……」


 ベルは、誤魔化す様にして立ち去ろうとしていたが……俺が止めた。


「まて、ベル」

「……サトルくん?」

「お前に、折り入って頼みがあるんだ」

「うん。そりゃ構わないけど条件があるよ」

「ほ~う、条件か。いいだろう、言ってみろ」

「このアヴァロンで期間限定(・・・・)で販売されている特殊な『盾スキル』があるんだ。それを買ってくれたらいいよ。

 けどね、サマーセールもしているクセに『1億プル』もしてさ~。もちろん、全部とは言わないよ。半分は出せるから」


 なるほどね。ベルらしいというか何というか。

 そんな特殊スキルとか逆に気になるし、見てみたい。

 1億プルは高額すぎるが、お財布に余裕はあるので平気だ。



「交渉成立だな。それじゃあ作戦を話す」



 ……よし、これできっと上手くいくはずだ。



 ◆



 ふと、嫌な予感がした。

 俺は本当にこのままでいいのか。


 メサイアには事実を話し、ベルたちには何も話さず……引き入れてもいない。このままで本当にいいのか。確かに、情報が()れるのはマズイ。だが、このままで成功するとも思えなくなってきた。


 繰り返すように俺は自問自答した。



 ……『失敗』を恐れているのか俺は。


 失敗。

 そうだ。思い出せ。きっとあるはずなんだ、こんな状況になったことも。


 一回や二回はあったはずだ。



「…………!!」



 うん、ないね。


 これが初めてのようだ。


「兄様♡ 兄様ではありませんか。リースの部屋の前でどうしたのですか? ひょっとして夜這いでしょうか。それでしたら、わたくしの方へ来て下さらないと♡」


 ん……気づけば、フォルが背後から密着していた。


「なんだヘンタイ聖女」

「ちょっ、兄様いきなりどこを……! あの。そこは……その…………」

「お前が俺のハイパーデンジャラスゾーンを触ってきているんだうが!? ヤメレ!」

「あぁ……そんな。乱暴にしないでくださいまし~♡」

「おい、誰かに勘違いされるだろ!?」

「ふぅ~…♡」


 いや、それ俺のセリフだろうが……!?

 だめだこのヘンタイ聖女……早くなんとかしないと。


「ところで、兄様」

「なんだ、ヘンタイ」

「♡ ……実はですね、ごにょごにょ……」

「へえ? 近所のエルフが……」


 先ほどフォルは、息抜きにちょっと外に出たようで、近所の『カタバミ』という中年エルフが軍と接触していたところを目撃したらしい。……おかしいな、俺の記憶が確かならば、エルフは余所者に対しては、かなり冷たい態度を取っていたっけな。

 そや、どっかの記憶じゃ、俺たちはそいつに摘まみだされたような気がした。嫌な記憶って、なぜか強く印象に残りやすいんだよな。こりゃ、確かだな。



 なるほど、軍との接触(・・・・・)ときたか。



 裏切者は『カタバミ』で間違いなさそうだ。


 フォルのおかげで有力な情報を入手できたな。

 さすが、フォーチュンの力。今回ばかりは褒め称えよう。


 ……ふむ。


 だが、これでも足りない気が。

 そんな不安を払拭するように、彼女が現れた。


「……あの、サトルさん」

「リース。すまない、キミの部屋の前で騒いじゃったな」

「いえ、いいんです。でも……フォルちゃん。サトルさんを困らせちゃ駄目ですよ。離れて」


「あ……はい。リースちょっと怖いのです」


 自業自得だな。有力な情報には助かったけど。


「それで、リース。俺になにか用があったんじゃ……いや、用があったのは俺か。そうだ、キミにも頼みがあるんだ。引き受けてくれるよな」

「もちろんですよ。大方の情報は理解していますから、ご安心を」


 リースのヤツ、いつもの盗聴か。

 ホント、俺のどこに盗聴器が隠されているのか、いまだに謎なんだよね。


「それなら話は早い。リース、フォル、お前たち二人は軍の出現ポイントに先回りして、ヤツ等を潰してほしい。十万規模は無理でも、五十人程度の相手なら何とかなるだろ? もちろん不安があるなら、早めに言ってくれ。これは、ベルにも伝えてある。あいつには、特別任務(・・・・)で別の場所に向かってもらっている。ちなみに、メサイアにも秘密裏に行動してもらっているので、あしからず! 事情は聞くな、以上だ」


 ふたりとも素直にコクっと(うなず)き――


「了解です!」「わかりました!」


 あっさり了承してくれた。


 そうとなれば、俺は、リースの親父さんを説得し……『カタバミ』をシメる。そして、軍を今度こそ徹底的にぶっ潰す。



 ……やられたら、やり返す……無限(・・)返しだ!!!

いつも応援ありがとうございます。

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