第95話 神はサイコロを振らない(Beautiful But Cruel)
美しく、されど残酷に
全グループでの乱闘が終了し、決勝トーナメントに出場する16人が決定した。
そして直ぐに組み合わせ抽選がなされ、その結果はギルド本部長ザンダより、高らかに発表された。
「これより、組み合わせ抽選の結果を発表する!
第1試合、
Bグループ代表ジャン=モアッサル
対Pグループ代表ローレン=マクフライド!
第2試合、
Aグループ代表ガルシア=エーゼンベルツ
対Kグループ代表シュタイン=ホルバー!
第3試合、
Fグループ代表オッズ=ホウァイト
対Gグループ代表リュラン=ティモー!
第4試合、
Nグループ代表ヴェイス=グラーム
対Oグループ代表シャイル=ドゴール!
第5試合、
Hグループ代表セイル=バラック
対Jグループ代表オビス=マクマフ!
第6試合、
Dグループ代表ウィリアム=バーン
対Mグループ代表ヌーク=セシル!
第7試合、
Iグループ代表メル=リムラン
対Lグループ代表マイク=ジャスパン!
第8試合、
Cグループ代表ゼロ=グランディオ
対Eグループ代表ボリス=ルアード!
以上だ!」
俺は第8試合か、ならば第4競技場だな。
この国立闘技場は計4つの闘技場から成っている。
最大4試合を同時に行う事が出来る。
因みにイーゼル達がいるVIP席は中央にあるので、全方向観覧可能である。
第4競技場では第7試合と第8試合が行われる。
まずは第7試合からなので、どっちが勝つかでも予想しようかな。
それにしてもIグループ代表のメル=リムランだっけか?
決勝トーナメントに上がってきた唯一の女性だ。
女性でここまでやれるって事は相当だな。
恐らくメル=リムランが勝つだろうな。
俺がそう予想している内に第7試合が始まった。
メル=リムランは体の柔軟さを活かし、まるで新体操のような動きで接敵する。
そして相手は何も出来ずに腹を斬られKOされた。
「勝者、メル=リムラン!」
「へぇ、やるじゃん」
俺は素直に感心すると、第8試合を行う為、ステージの上に上がった。
対戦相手はボリス=ルアード。
大柄で筋骨隆々、明らかに力のゴリ押しで勝ち上がってきたような感じだ。
ボリスは俺を見るなり、こう吐いた。
「何だァ?俺様の相手はこのガキかァ?チッ、つまんねぇなァ」
「そう言うお前は体はデカイのに頭は弱そうだな」
俺はボリスを煽ると、怒りで戦々と震えていた。
「それでは第8試合、始め!」
「死ねェ、クソガキィィィ!!」
殺すのは反則なんだがな。
やっぱり煽って焚き付けると何も考えずに突っ込んで来るよな。
怒りに身を任せると冷静な判断が出来なくなるからな。
まぁ冷静な判断をした所で、俺には到底及ばないがな。
俺は剣の柄でボリスの首を殴打する。
首には頸神経が通っている。
そこを破壊しない程度に手加減すれば、殺す事なく相手を無力化出来る。
「勝者、ゼロ=グランディオ!」
因みに会場には回復魔法が施された結界が張ってある為、第7試合のマイク=ジャスパンのように、刺された傷は直ぐに回復する。
失神したら傷は治るが直ぐに目覚めはしない。
ボリスは医療班に運ばれていった。
これで少しは身の程を知っただろう。
さて、次の準々決勝は例のメル=リムランだ。
あの柔軟さは少々厄介で、例え接近して剣を振っても簡単に躱されるだろう。
だが、俺は既に勝ち筋は見えていた。
今思えば、登場もしない奴に名前付ける必要なかったな。