第94話 神はサイコロを振らない(Merciless Party)
慈悲なき宴
ギルド本部長ザンダの開会宣言を終え、俺はCグループのステージへと着いた。
今年の剣魔祭、参加者はざっと800人。
つまり1つのグループに50人くらいか。
最初の戦いは乱闘だが、確か細かいルールがあったな。
気絶、若しくは場外に行ったら脱落。
殺人、魔法使用禁止。
最後にステージに立っていた者が勝利、だったな。
各ステージに約50人ずつ冒険者が集まり、遂に試合開始のゴングが鳴る。
「皆、準備は出来たな?それでは剣魔祭予選、乱闘の開始だぁ!!」
ザンダが合図をすると、各グループ一斉に戦闘が始まる。
俺達のグループも戦闘が始まったが、俺の身長が低いせいか、誰とも戦闘状態になっていない。
俺はステージの中央に向かい、ラグナロクを抜剣し、体の後ろから時計回りに刃を振るい、再び体の後ろに刃を運ぶ。
するとその斬撃が同心円状に広がり、1人、また1人と斬撃により吹き飛ばされ、遂にグループの全員が斬撃の波によって場外へと飛ばされ、ステージには俺1人が立っている状態となった。
「おっと!?ここでCグループで早くも決着が着いたぁ!残っているのは金ランク、ゼロ=グランディオだぁぁ!!」
本部長、お前実況もやってんのか。
さて、予想通り一撃で終わってしまったので、他のグループでも見ているか。
つか、他の2つぐらいはもう直ぐ終わりそうだな。
人数がかなり減っている。
それに比べて幾つかはずっと拮抗しているな。
これ終わるのか?
暇じゃん。
「そして、Aグループ、Hグループでも決着が着いたぁ!Aグループは白金ランク、ガルシア=エーゼンベルツ!Hグループは銀ランク、セイル=バラックだぁ!」
ガルシアは兎も角、セイルまで出場していたのか。
ふーん。
因みにこの後、全グループが決着するまで90分掛かった為、念話でイーゼル達と駄弁っていた。
~イーゼルside~
ゼロが一瞬で試合を終わらせているのを見ていると、ゼロから念話が来た。
「ん?ゼロから念話?」
「(早く終わって暇だから、何か面白い事言って)」
「(無茶振りだなぁ)」
イーゼルが念話を始めると、その様子を不審に思ったのか、ルナとカーシャが尋ねて来た。
「イーゼルくん、何してるの?」
「急に黙って、どうかなさったのですか?」
「あぁ、いや。ゼロから念話」
念話と聞いた途端、ルナが興奮し始めた。
念話は元々消失魔法である。
「念話?何何?何の話してたの?」
イーゼルが話そうとした瞬間、何処からともなくゼロの声が聞こえた。
「イーゼルに面白い事言って、と言っただけだ」
「え?ゼロくん!?何処から?」
「ゼロ様!?ゼロ様の声が聞こえますわ!」
「あれ?念話ってこんな事出来たっけ?」
「あぁ、思念魔法と通信魔法の合技だ。こっちは思念魔法の念話、そっちは通信魔法の拡声だ」
「そんな高等技術を・・・僕に無茶振りとして使わないで欲しいな」
「暇」
「(弄んで時間使えば良かったのに)」
「念話だから聞こえてんぞ」
その後、ルナとカーシャはゼロと楽しくお喋りしていたので、イーゼルはゼロの無茶振りを見事に回避するのだった。
ゼロの性格=作者の性格
だいたいいつもこんな感じ